「お手洗い」

 英作文の授業で「お手洗いをお借りしたいのですが」という日本語を、May I use your toilet?」と英語で書いた生徒がいました。ここで、日本語の「借りる」につられてborrow(借りる)を使うのが日本人高校生特有の誤りです。これでは便器をどこかに持っていくことになりかねませんから、use(使う)を使わなければなりません。ついでながら、「電話を借りてもいいですか」をborrowを使わない、と解説した参考書がありますが、携帯電話の普及した今日、全く問題ありません。

 トイレに関することは「汚い」「下品」とされますし、非常にプライベートな話題ですから、明らかな言語的タブーです。日本語でも、お手洗い、ご不浄、洗面所、化粧室、パウダールーム、トイレ、便所、WCなどと、さまざまな呼称が見られますね。

 さてこの英文で、toiletという言葉は、アメリカ人の耳にはちょっと下品(vulgar)に聞こえるので訂正が必要です。アメリカ英語では、toiletは「便器」そのものを意味するからです。便器のイメージから排泄行為を連想させがちなため、あまり大人の使う洗練された表現ではないのです。ただし、イギリス英語では頻繁に使われています。個人の家にお邪魔している場合には、May I use your bathroom?、ホテル・映画館やレストランなどの公共の場所では、May I use your restroom?と尋ねます。特に女性用でpowder roomという表現もあります。飛行機や列車に設置されている「(公衆)トイレ」は、lavatoryと呼んでいます。飛行機でlavatoryという語が使われている理由に関しては、井上千尋(ベッドフォードシャー大学准教授)氏は、「「空の旅」の特別感を演出したり、設計段階でも地上建造物でよく使われるtoiletなどと混同されないよう、差別化するための方策だったのではないかと思います」と述べておられますが、いまいちよく分からない解説です。♥♥♥

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