早稲田大学入試の不正行為

 ネット全盛時代に、電子情報機器を悪用した新手のカンニング不正行為がまた発覚しました。早稲田大学は、2024年度一般選抜入試において不正行為が発生したことを公表。メガネ型の情報通信端末「スマートグラス」(眼鏡のように装着し、データの投映や、外部と映像や音声のやり取りをすることができる電子端末)を使って、化学の試験問題を撮影し、試験時間中にSNSを介して外部に流出させたとして、18歳の男子受験生(私立高校3年生)が偽計業務妨害容疑で書類送検されました。早稲田大学によると、2月16日の基幹・創造・先進理工学部一般選抜の試験時間中、入試問題を撮影した画像がインターネットを介して流出しました。受験生が、外部の人に解答案の作成を依頼、入試問題と知らないまま解答案が作成され、依頼主の受験生に送付されました。この受験生は21日に商学部も受験し、その際大学職員が眼鏡の小型カメラに気づき、早稲田大学はただちに調査を開始し、警察や文部科学省にも通報。調査の結果、不正行為を行った者を特定し、警察の事情聴取により、この受験生が着用したスマートグラスで入試問題を撮影してスマートフォンに転送し、画像をSNSで外部と共有、やりとりしていたことが判明しました。「共通テストの結果が悪く、志望の国立大学に落ちた。他の大学も落ちることが不安で不正を思いついた」と供述しているそうです。

 早稲田大学では、今回の不正行為が悪意をもって入念に計画されたもので、学内調査では全容を解明することが困難と判断すると共に、他大学でも同様の不正が行われることを懸念して、警察に告訴状を提出しました。不正行為を行った受験生に対しては、受験したすべての入試結果を無効として、今後も不正行為に対しては厳正に対処し、公平・公正な入試環境の維持に努めていくとしています。

 2023年1月の「大学入学共通テスト」からは、試験開始前に、監督者の指示に従って、受験生は一斉にスマホを机の上に出し、電源を切ってからカバンにしまうことになりました。しかしどこの大学でも、試験監督者は一人ひとりをチェックするわけではなく、いくらでもすり抜けることは可能です。今年の大学入学共通テスト」でも、4人の不正行為を確認しています。大学入試センターによると、不正行為のあった4人のうち、2人はカンニングペーパーの使用でした。山口県内の会場で地理歴史・公民の試験時間に受験生1人が複数枚のメモを机上に置いているのが確認。広島県内の会場では受験生1人が数学2での時間に、数式が書いてある紙を机上に置いていたといいます。残る2人のうち、1人は東京都内の会場で、外国語の試験時間が終了して「解答やめ」の指示があったのに従いませんでした。過去に一番多い不正行為がこれです。もう1人は岐阜県内で理科2の試験時に不正行為とされる定規の使用が確認されたといいます。

 平成23年には京都大学の入試で携帯電話を使って問題をインターネットの質問サイトに投稿した受験生が逮捕されました。令和4年の「大学入学共通テスト」では、女子受験生が袖口に隠し持ったスマホで問題を撮影、「家庭教師紹介サイト」を通して解答を求めたことが発覚しました。事件を受けて、大学入試センターでは、スマホの電波を遮断する装置を共通テストの全会場(1万室)に設置することを検討しましたが、遮断装置の導入には電波法に基づき、国の免許を得る手続きや、毎年約72億円の費用が必要と試算されたため、「コストが見合わない」と導入を見送りました(韓国や中国の一部では金属探知機を導入して持ち込み禁止)。大学入試センターは現在大赤字ですものね。文科省は「技術が進歩する中、不正の根絶は難しい。不正が発覚した場合には厳しく取り締まるということを各大学にはさらに徹底して周知してもらい、受験生のモラルに訴えていくしかない」と話します。

 昨今の電子機器の性能向上は著しく、入試でのルール強化やカンニング対策が追いついていない現状があります。質問への答えを自力で生み出す生成AIを使えば、受験生は手元の端末だけで瞬時に解答を入手できます。生成AIの急速な進化で、不正が試験会場で完結する恐れが現実のものとなっているのです。この手の危機は今後もより進化し、ますます小型化していきます。これらの使い方を誤るとどんな代償を払わねばならないかをよく覚えておきたいですね。心の中の天使と悪魔。卑怯な手段に走らせない日頃の教育活動、何よりも地道な学びが大切です。♥♥♥

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