トリアージ

 「トリアージ」という言葉は、一般の方にはあまりなじみのない言葉だと思います。1995年の阪神・淡路大震災」の時にはマスコミもこぞって取り上げましたが、「喉元過ぎれば」の例に漏れず、普段は耳にすることもないかもしれません。大震災のような大規模災害の時には、多くの負傷者や病人が出ますが、それに十分対応できるだけの薬も設備も人手も足りません。このような時に出来るだけ多くの人を助けるにはどうすればいいでしょうか?もちろん、一刻も早く、十分な薬や設備や人を現場に送り出すことが一番です。しかし、阪神・淡路大震災の時でも救援が十分に行き渡るまでには何日も、いえ現実には何週間以上もかかったことを覚えておられるでしょう。本当に必要なのは発生直後の時期なんです。こういう薬も設備も人も限られた医療現場において、一人でも多くの人を助けるためには、被災者を効率よく適切な医療を受けられるように振り分けてあげることが必要になってきます。

 つまり、比較的軽いけがの人にはしばらくの間我慢してもらい、絶対に助けられない重症者やすでに心肺停止してしまった患者さんに長時間関わることはあきらめ、けがの種類や程度を素早く見極めて出来るだけ効率よく適切な医療機関に送ってあげることが必要なのです。このような“現場での振り分け”を「トリアージ」と呼びます。患者さん一人一人に振り分けられた結果が一目で分かるように、「トリアージタグ」という色で識別できる標識を付けるようになっています。色は、赤色(生命が危機的でいますぐ治療が必要)、黄色(処置までに数時間の余裕がある)、緑色(生命の危険がなく外来で十分)、黒色(すでに心肺停止状態だったり救命の見込みがない)の4色です。この「トリアージタグ」は医師会、各消防本部、日赤、自衛隊、空港事務所などが備えています。

 私がこの「トリアージ」という言葉に初めて興味を抱いたのは、故・西村京太郎先生『十津川警部 トリアージ 生死を分けた石見銀山』(講談社ノベルス、2008年を読んだ時でした。「十津川警部に告ぐ。十億円を支払え。さもなければ、石見銀山は爆破され、世界遺産の一つが消える」という犯人からの声明に当惑する十津川警部。しかし、かつて事件現場で十津川が下した治療順位判断(トリアージ)が原因で、足を切断した被害者が、石見銀山の傍に住んでいることが判明。因縁を感じる十津川の世界遺産爆破阻止に向けて必死の捜査が始まる、という筋書きでした。世界遺産に登録されたばかりの石見銀山が、人気ベストセラー作家の西村京太郎先生に取り上げられる、ということで地元では大騒ぎになったものでした。

 カズレイザーさんが司会を務める「X年後の関係者たち」7月1日(月)分放送では、その石見銀山の世界遺産登録の過程が取り上げられました。遡ること17年前󠄂。 日本のとある遺跡が、アジアで初めて鉱山遺跡として世界遺産に登録されました。それが石見銀山です。 石見銀山とは、島根県大田市大森町にある日本最大の銀山です。 銀山としての最盛期は17世紀で、日本は世界に存在する銀のおよそ3分の1を産出したと推定されていますが、その大半を石見が占めたと言われています。 そんな石見銀山が時を超え、世界遺産を目指すきっかけとなったのは当時の島根県知事の一言でした。1,000人を超える土地所有者の同意や鉱業権の譲渡など、さまざまな問題に立ち向かう関係者たち。総額32億円、12年がかりのビック・プロジェクトの知られざる苦労と困難の実態に迫りました。島根県に住んでいながら、当事者たちのこれだけの苦悩と努力があったことを、恥ずかしながら私は知りませんでした。勉強になった番組でした。♥♥♥

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