出発進行

 私はいつも電車通勤(松江~米子)の際、運転手さんのすぐ後方に立ったり座ったりして、前方の景色を眺めています。その際に、運転士さんが駅を出発するとき、前方を指さしながら「出発進行!」と大きな声を出しておられるのを目撃します(写真上)。この声を聞くと、「さあ、今から発車だ!」という緊張感と高揚感を感じます。その後、電車は発車していくため、「出発進行」「電車が出発し、進行します」という意味だと思っている人も多いことでしょう。ただ数ある鉄道用語の中でも、「出発進行」ほど意味が誤解されて伝わっている言葉は他にありません。私も最初のうちはそう思っていました。あの「出発進行!」は決して「さあ、行くぞ!」という景気づけのフレーズではありません。


 電車の運行では、小さなミスでも大惨事につながりかねないため、乗務員は、信号や標識の確認をより確実に行うために、信号や指示を指さしながら声に出すことになっています。これを「指差喚呼」(しさかんこ)と言います(⇒詳しくはコチラをお読みください)。まず結論から言うと、「出発進行」の正しい意味は次の通りです:出発信号機が進行信号を現示している状態のこと

  「出発信号機」とは、主にホームの端にあって、駅の構内から出てもよいかどうかを示す信号機のことです。

1.進行信号

2.出発信号機

① 進行信号とは「青信号」のこと

ものすごく簡単に言えば、「進行信号」とは「青信号」のことです。あの青信号のことを、鉄道用語では「進行信号」と堅苦しく表現します。ちなみに、黄色は「注意信号」、赤は「停止信号」と呼びます。まとめると次の通りです。

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② 出発信号機とは「駅の出口に設けられた信号機」

まず、鉄道路線は「駅」と「駅間」に分類できます。そして、駅と駅間に分類できるということは、どこかに「境界線」があるわけです。別の言い方をすると、駅の「入口」「出口」が存在するわけ。

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このうち、駅の「出口」に設けられる信号機こそが「出発信号機」なのです。

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ちなみに、駅の「入口」にある信号機は「場内信号機」と呼びます。

 駅の「出口」に設けられた出発信号機に「青」、すなわち進行信号が灯されている状態。これを「出発進行」と呼びます。つまり「出発進行」とは、出発信号機に進行信号が灯っているという「状態」を指す言葉であって、列車が駅から動き出す「動作」を示す言葉ではないのです。しかし実際には、「出発進行 = 駅からの発車」という認識が一般的になってしまっていますね。「出発」も「進行」も、その言葉だけを見れば、確かに動き出していくさまを表しているように思えます。ですので、それを組み合わせた「出発進行」が、駅からの発車だと誤認されるのも無理はありません。というわけで、出発進行とは、「信号機の名称 + 信号の色」を組み合わせた用語なんですね。なお、「信号機の名称 + 信号の色」の組み合わせは他にもいろいろあり、「出発注意」「出発停止」という用語も存在します。 「出発進行」は「状態」を表す言葉であって「動作」ではありません。♥♥♥

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