英語で「歓迎会」は、welcoming partyかwelcome party、一体どちらなのでしょうか?和英辞典・英和辞典の記述も分かれるところです。
●welcome party…フェイバリット和英、アドバンストフェイバリット和英、スーパーアンカー和英、ジュニアスーパーアンカー和英、新和英中、プログレッシブ和英
●welcoming party…最新ビジネス和英口語辞典
●welcoming party/ welcome party 両形を示す…ジーニアス和英、オーレックス和英、ウィズダム和英、新和英大、ライトハウス和英
面白いのは、『ニューセンチュリー和英辞典』(三省堂)の1991年版とその改訂版1996年では、下記のような記述の変更が見られました。2011年の改訂版『グランドセンチュリー和英辞典』にも引き継がれています。

▲問題の発端となった市橋本
そもそも、この問題の発端となったのは、私の知る限り、市橋敬三『英語専門家の誤りを指摘』(日本英語教育研究所、1983年)という冊子(写真上)であり、その後、大幅に増補改訂されて『日米口語表現辞典』(研究社)となりました。最近、研究社から、『話すためのアメリカ口語表現辞典』(普及版・エッセンシャル版)が出ています。そこでは、
●歓迎会の訳語にwelcome partyが与えられているが、これは英米を問わず、誤りといっていい程、使われていない。
●英和、和英辞典で「歓迎会」にはwelcome partyが判を押したように紹介されているが、これは英米を問わず誤りと言っていいほど使われていない。welcoming partyが使われている。
と、断ぜられたのです。市橋氏の報告を受けて、舌津 清(当時名古屋市立大学)氏が詳細な現地調査を実施されています。その結果によれば、両者が使われており、welcoming partyのほうがやや普通、といったところでした(Ngram Viwerもご覧ください⇒コチラ)。その点、『ジーニアス和英』の「welcome party(♦時にwelcoming partyとも言う)」という記述は問題アリです。
普通に使う 時々使う めったに使わない 絶対使わない
a welcoming party 11人 4人 2人 3人
a welcome party 4人 4人 5人 6人
日本語の「歓迎会」はあらゆる場合に通用するのに対して、英語の場合は必ずしもそうではなく、英米では日本のようにしょっちゅう歓迎会をやらないようです。故郷への帰郷者、職場への新人、近隣への移住者等、場合に応じて異なる表現を使うことも多いようです。舌津氏の調査でも、a reception, a welcome home[back] party, a welcome to our town party, a welcome-to-the-staff for Mr. Brown, a home-warming partyなどの表現が観察されています。“They both mean it is a party to welcome someone (from returning to their country for example). However “a welcoming party” can also mean “a party that makes you feel welcome”, like everyone is really nice and happy.”といった反応を示すネイティブ・スピーカーもいます。
私が確認したところでは、ボリンジャー博士、イルソン博士、アルジオ博士も同様のご意見でした。a welcoming partyがa welcome partyよりも普通の表現であることは明らかと思われますが、後者を誤りと決めつけることは行き過ぎでしょう。私は念のために、アルジオ博士にお願いして、ジョージア大学で現地調査を実施しましたが、同様の結果が得られています。一つの資料に頼りすぎることの危険性を示す好例でしょう。♥♥♥
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