英語はなぜ同じ言葉の繰り返しを避けるのか?

 英語を指導する際に、特に重要なことは「英語では同じ言葉の繰り返しを避ける」ということです。これがある程度分かってくると、英文を読む技術がずいぶんと進歩します。英語では、同じことを文の中で違う言葉で次々と言い換えていくことが多いのです。「ほら、さっき出てきた言葉が、今度はこんな表現で言い換えられているよ」と、私は授業でよく口にします。英語において同じ言葉の繰り返しを避ける」傾向があるのは、主に以下の理由からです。

1. 言語のリズムと流暢さ

 英語は、リズムと流暢さを重視する傾向があり、同じ単語やフレーズを繰り返すと文章が単調で冗長に感じられることがあります。「繰り返し」を避けることで、会話や文章が滑らかで心地よいものになり、読み手や聞き手にとっても理解しやすくなります。英語の文章論では、文体の美的感覚として、同じ語句を何度も見たり聞いたりすると、文章や発話としての美しさがないと考えられているのです。elegant variation(洗練された変化)と言われて重要視されています。

2. 語彙の多様性

 英語には豊富な語彙があるため、同じ意味を表現する異なる単語やフレーズを使うことで、表現に幅を持たせることができます。言葉を繰り返すことなく、さまざまな表現方法を使うことで、文章がより精緻で興味深くなります。

3. 冗長性の回避

 「繰り返し」は冗長に感じられる場合があり、特に文が長くなると注意が散漫になりやすいのです。同じ単語を繰り返さないことで、文章が簡潔で効率的になり、伝えたい情報がより強調されます。

4. 言語的な効率性

 言葉の「繰り返し」を避けることで、無駄な部分を省き、より効率的なコミュニケーションを実現できます。リスナーや読み手は「繰り返し」を避けることで、新しい情報に集中しやすくなります。

5. 語法的・文法的な慣習

 英語の文法には、「同じ言葉の繰り返しを避ける」という慣習が含まれています。例えば、接続詞代名詞を使って、繰り返しを減らすことが一般的です。代名詞he, she, it, they など)や不定冠詞定冠詞の区別、同義語を用いることで、文章がスムーズで理解しやすくなります。具体例を見てみましょう。

 昔々、おじいさんおばあさんが住んでいました。ある日、おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。おばあさんが川で洗濯をしていると大きな桃がながれてきました。おばあさんはその桃を家に持ち帰って「この桃を割りましょう」とおじいさんに言いました。おじいさんは、「そうしよう」と言いました。

 Once upon a time, there lived an old man and an old woman. One day, the old man went into the mountain to get some firewood.  The old woman went to the river to wash clothes, and then she saw a big peach come floating down the river. She carried it home with her and said to her husband, “Let’s cut it open.” And he agreed.

    日本語では「おじいさん」、「おばあさん」がそれぞれ4回ずつ繰り返されています。一方、英語ではan old man and an old woman、 the old man、the old woman、 she、 her husband、 heなど同じ対象(この場合では「おじいさん」と「おばあさん」)を繰り返して取り上げるにしても、冠詞のaをtheに変えたり、代名詞を使ったりして変化しています。日本語の場合でも、「おじいさん」、「おばあさん」を「彼」とか「彼女」に変えることがあるにはあるのですが、あまり使われません。「彼」や「彼女」という日本語の言い方には、boyfriend、 girlfriend、あるいはlover、sweetheartという特別な意味もあるので、使い方が制限されます。また「老人」「老女」「老婆]などの言い方もありますが、やや特殊な意味になります。一方、英語では、an old manがheに、an old womanがsheに言い変えられるなど、代名詞が好んで使われたりします。

 このように、「繰り返し」を避けることで、文章が自然で読みやすくなります。まとめると、英語では表現の多様性やリズム、効率性を重視するため、同じ言葉の繰り返しを避けることが一般的なのです。これを実感してもらうことが、英語学習のまず第一歩です。♥♥♥

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