奈良公園のシカ

 奈良は、日本の歴史と文化が脈々と受け継がれてきた伝統的な場所です。奈良公園での鹿との出会い、3つの世界文化遺産、そして豊かな自然が広がる南部や東部。かつて仏教が伝来し、芸術、伝統文化がここから生まれ、日本各地に広がっていきました。奈良を訪れ、さまざまな体験を通じて、過去から現在へのつながりを感じ取ることができます。私の大好きな街です。

 奈良時代、春日大社の御祭神の武甕槌命(たけみかづちのみこと)が、白い鹿に乗って御蓋山に降臨した社伝に由来します。以来、春日大社の周辺地域では、鹿が神様のお供でありお使いとして神聖視され、大切に扱われるようになり、人間と共生してきました。768年創建の春日大社(かすがたいしゃ)「神の使い」として保護したことが起源とされます。明治以降は殺傷禁止区域が設定され、「奈良のシカ」として、国の天然記念物に指定されました。狩猟や開拓で鹿のすみかがどんどん減っていく中で、宗教的に保護された集団が独自性を保ったわけです。現在は奈良公園を中心に約1300頭の鹿が生息しており、1957年には天然記念物に指定されました。鹿苑で6月に子鹿公開、10月に鹿の角きりが行われます。角きりは江戸時代の1672年から鹿の角による事故を防ぐために行われている伝統行事です。奈良公園鹿は野生動物であり、公園内に生えている植物(シバ、葉っぱ、どんぐりなど)を主食としています。日の出の頃に「泊まり場」から「採食場」へ移動して過ごし、夕方前になると「泊まり場」へ戻って反すうしながら休息をとるような暮らしをしています。

 奈良公園鹿の大好物のおやつの鹿せんべいは、消化しやすいように主に米ぬかと小麦粉で作られています。鹿の健康を考えて砂糖などは一切使用されていません。その歴史は古く、すでに江戸時代前期から存在していたと言われています。一束10枚で200円で購入でき、売り上げの一部は、鹿の保護費用に充てられています。鹿にはこの鹿せんべいを与え、それ以外の食べ物(お菓子、パン、野菜、残飯など)を与えてはいけません。鹿せんべい以外のものを食べると健康を害する恐れがあり、特に人が手に持っているビニール袋や紙(地図・パンフレット)の誤飲は危険です。鹿せんべいを与えるときは、じらしたりせずに、1枚ずつ躊躇せずに素早くあげましょう。鹿は目の前に鹿せんべいがあるのになかなかもらえないような場合、噛みついてきたりする危険性があります。鹿せんべいがなくなったら両手をパーのように開いて広げて「もう持っていないよ」と鹿に教えてあげましょう。鹿は野生動物です。無理に触ったり追いかけたりすると、鹿にストレスを与えるため、自然な距離感を保つことが大切です。特に求愛期(秋)や出産期(春~初夏)の鹿は気が立ちやすく、近づきすぎると攻撃的になることがあります。鹿を尊重しながら、安心・安全に魅力を感じてください。奈良公園内では、鹿が誤って飲み込まないようにゴミは必ず持ち帰り、周囲の環境を守ることを心がけることが必要です。また、興奮した鹿は急に動いたり攻撃的な行動をする場合があるため、小さな子どもが鹿に近づきすぎないよう保護者がしっかり見守ることも重要です。鹿と共存を楽しむためには、ルールとマナーを守ることが大切なんです。奈良公園では5月中旬~6月頃に、鹿が出産の時期を迎え、例年約200頭が誕生します。

 さて奈良公園鹿は、「鹿せんべい」を手に持っている人を見かけると、すごい勢いで近づいてきます。そして頭を上下に振り、鹿せんべいをくれと催促します。それがお辞儀をしているようだということで知られていますね。このお辞儀行動を丁寧な日本文化と結びつけて、海外からの観光客にはなかなかの人気です。これが実に可愛らしいんです。それが人気の一つでもあるのですが、その様子を見たいがために、集まってきた鹿に、鹿せんべいをなかなかあげないでじらしてしまい、その結果噛みつかれたりする理由の一つにもなっています。一枚の鹿せんべいでお辞儀をたくさん見たいがために、じらしたりすると、鹿が怒って体当たりをしたり、鹿せんべいごと手を噛んだりすることもあるのだそうです。鹿はなぜ、お辞儀をするのでしょうか?観察報告によれば、おじぎの回数が多い(速く振る)ほど「鹿せんべいをもらえる回数は多かった」といいます。さらに、鹿せんべいを見せると「ほとんどのシカがおじぎをした」が、せんべいを持っていない場合はほとんどの鹿が「おじぎをしなかった」とのこと。つまり、「おじぎすることが、せんべいをもらうのに有利な行動だ」ということが、鹿の間で学習された結果のようです。お母さんジカがお辞儀をしながら、観光客からせんべいをもらっているのをみた子ジカたちが、学習してそれを真似たのでしょう。鹿にとっては間違いなく「催促」の行動なんですが、それを受け取る人間側は「あいさつ」「感謝」などとズレた受け止め方をしているのかもしれませんね。♥♥♥

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