さだまさしとコンサート

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 2025年3月26日(日)に、4年ぶりに島根県民会館大ホールで開催されたさだまさしさんの4688回目のコンサート(もちろん前人未踏の日本記録です)へ行ってきました(前回はコロナ禍の真っ最中!)。デビュー51年目の軌跡と奇跡が凝縮された白熱のステージを堪能してきました。舞台の最後には、自分がいかに好きなことをやって過ごしているかをしみじみと語っておられましたね。例のドキュメンタリー映画『長江』による28億円の大借金(金利を入れて35億円)にしても、ステージがなかったら、ここまで生きてくるのは大変だったろうと回想しておられました。大借金を抱えて苦しんでいた30代の半ばには、コンサート「年間187回」という地獄のような回数の年もありましたっけ。私は毎回コンサートに行く度に、歌う曲順、トークの内容を一言漏らさず、暗がりの会場の中でひたすら記録している「ま虫」です。〔笑〕。

 さださんは51年間の長きにわたって精力的にライブ活動を続けてこられましたが、「さださんにとってライブとはどのようなものですか?」という質問に、次の様に答えておられます。

 どう言ったらいいんだろう、何かに例えようがないんだよね。なんでこんなにライブをやるんだろうね。歌が好きなわけでもないのに。でも歌作りは好きなんですよ。歌ができた瞬間が一番興奮するのね。その瞬間を共有したくてライブをやっているんだろうね。「俺、いい仕事したでしょ?」って言いたいの。だけど作ってから3ヵ月も経つと飽きちゃうから、「早く次の曲作んなくちゃ」と思って……その繰り返しでずっと続けてるんだろうね。あとは、コンサートでは毎回悩みながら歌ってるんですよ、「この歌ってもしかして、こういうふうに歌ったほうがいいんじゃないか?」って。そういう発見が常にあるから飽きないんだと思う。

 そうした発見をしたいが故に、彼はライブをずっと続けているんですね。

 かもしれないね。あと、僕は大声を出すというのが一番のストレス発散で。多少腹が立ったりストレスが溜まったりしているときでも、ステージでは全部吐き出して忘れられる。だから「これは思い出すたびに腹が立つな」と思うことはライブで吐き出して、反対に覚えていなきゃいけないことはトークにする。

 僕のコンサートでは、トークが安心してくつろげる場所なのかなと思っていて。僕の歌は、色々感じたり考え込んだり、キュンとしたり怒ったりと、心に働きかける曲が多いから、トークのときくらいは肩の力を抜いてゆっくりしてもらえたら。アイスクリームに添えられているウェハースみたいなもんだよね。アイスクリームを食べて舌が冷たくなると甘味を感じなくなるから、そしたらウェハースで舌を温めてもらって、またアイスをおいしく味わってもらうっていうことなんだけど…。まぁ、うちはウェハースから売れるアイス屋(笑)。なんなら「ウェハースだけで買えませんか?」っていう人もいるくらい(笑)。だから来年はウェハースだけのライブもやろうと思っていますよ。

 国難のコロナ禍でコンサートが一切できなくなった時にも、「ショーを止めてはいけない」との固い信念から、何が何でも続けようと、お客さんの数を半数以下にして大赤字の中、続けてこられました。

 回数にはあまり意味がないと思うんですけど、ショービジネスに関わる人間の責任というのかな、それは感じますね。コンサートはお客さんがいなくなったら自然にできなくなりますが、足を運び続けてくださっているのだから、その方々の期待に応えていかなきゃいけない。だから、ありったけのものをステージに並べるんです。『お客さんがお腹いっぱいになって飽きちゃうよ』ってよく言われました。でも、お腹いっぱいにならなかったら、来てくれたかいがないじゃないですか。幸いにも胃拡張のお客さんが多くて、何を出しても食べてくれますしね〔笑〕。

 さださんは、歌うかしゃべるか〔笑〕でストレスを発散させているようです。

 結果論だけど、それが自分を支えてきたんじゃないかなと思いますね。もしもステージがなかったら、ここまで生きてくるのは大変だったろうなとは思う。コンサートがあるから行かなきゃって思うし、お客さんに来てもらった以上は楽しんで帰ってもらわなきゃって思うしね。で、コンサートっていうのは毎回同じことは絶対にできないでしよ。昨日良いライブができたからって、同じようになぞろうとすると絶対にうまくいかない。掴んだと思っても、翌日にはどこかにいっちゃう。毎回違うからこそ、常にうまくいくように求める。それが楽しいのかもしれないね。

 さださんのステージは、不思議なくらい人の心を温かくしてくれます。私の考えでは、それは客席の温度感を大切にしながらステージを進めていくからなのだと思います。だから、ライブでも同じ曲であっても聴衆が作り出す空気感とのマッチングで、1回1回異なる感動を見る者に与えてくれるのでしょう。

 もういっぺん『さだまさし』を生まれ変わってやるかって言われたら、真っ平御免ですけどね。こんなにしんどいことは、やりたくねえ。波瀾万丈すぎる。でも、苦しかったけど、今でも苦しいけど、それが自分に与えられたものだろうなと思ってます。次はもっと分かりやすく人の役に立つ人生がいいな。お医者さんとかさ。被災地に行くと、いつもうらやましいもん。でも、避難所行って歌うとさ、みんないい顔で笑ってくれたり。ああ、これはこれでいいんだなって思ったり……分かった、もういっぺんやる、『さだまさし』

 そんなさださんのソロデビュー45枚目、通算50枚目のアルバム『生命の樹~Tree of Life』が、5月14日に発売になりました。昨年CMソングとして先行配信され話題をさらった「Believe」、“失ったたいせつなひと”たちへ捧ぐ「Tomorrow」、子供を戦争で奪われた親の気持ちを歌った「母標」など、新曲が7曲収録されています。さらには、能登に思いを馳せた「初恋駅」、奈良・葛城の當麻寺を舞台にした「残月」など、グレープの新曲も3曲収録されました。吉田さんとのハモリが時の流れと進化を感じさせてくれ堪りません。「生命の樹 –序–」を合わせた全11曲の<さだまさしの現在進行形の“うた”>が収録されています。私はすぐに予約して入手しました。さださんの新しいギター《Tree of Life Premium》の向こうに真っすぐ立ち尽くす“樹”が象徴的な今作のジャケット写真(写真下)も素敵です。タイトルはもちろんさだまさしさんの直筆です。収録曲のティザー映像も公開されています。♥♥♥


 60代、70代になると、できないことが増えてくるのは当たり前じゃないですか。何もしないと下がっていく下りのエスカレータに乗っているような年齢ですよ。だけど、ぼくはそれを当たり前だと思わないで、下りエスカレータを上に向かって逆走しています。音楽活動も財団のほうも逆走して二階に上がろうとしている。万が一上がれたら三階、いや屋上をめざしますもん。みんな自分の人生を二階建てとか三階建てで終わらせようとするからいけないんです。病気や事故のことも考えられなくはないけれど、でもぼくは上がれるところまで逆走しますね。そりゃしんどいですけど、黙って立っていたら後に下がるだけですから、一歩ずつでも歩かなきゃ。  (さだまさし)

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