石破ブーメラン辞任

 言っていることとやっていることが違う人間には、尊敬の念を抱くことができません。石破総理が総裁選挙の時には極めて具体的に熱っぽく語っていたことが、政策には全く入ってきませんでした。見事に「言行不一致」を示しており、政治に対する国民の信頼を失墜させました。昨年の12月には、衆院予算委員会集中審議で「当選したからといって公約をその通りに実行するとはならない」「これまでも自民党は公約を守ったことはない」などと平気で発言していた人です。第27回参院選において、自公で過半数を割り込む大敗となった石破茂首相(自民党総裁)は、「国民の厳しい審判を頂いた。深くお詫び申し上げる」「ここから先はいばらの道だ」としながらも、「政治を停滞させない」と続投を表明しました。日米関税交渉や物価高、厳しい安全保障環境、首都直下型地震や南海トラフへの不安などの政策課題を挙げました。3回連続して大敗しておきながら、選挙がなかったかのように、誰も責任を取らずにこのまま進もうとしていました。組織のトップとしてはあり得ない姿でしょう。「一切の偽りのない心で、うそのない心で国家国民のために尽くす。その思いでこれから先、臨んでまいりたい」と続投の強い意思を示していました。

 7月28日に行われた「両院議員懇談会」では60何人の議員が発言しましたが、続投を容認したのはわずか5~6人と少数でした。首相を取り巻く厳しい現状が浮き彫りになった恰好です。元衆院議員で実業家の糸山英太郎(83歳)さんは、「人間はたとえダメでも優しさや人間味があるものだが、石破にはそれがない。呼んで説教をしようとか電話をしてあげようかという気にもならない。負けたんだから辞めるべきだし、このままトランプが来た時も相手にしてもらえない。25%の関税が15%になったと喜んでいるが、しっかりと日本はお土産を取られますよ。ただ、このままの状況が続いて、野党が不信任案を出せば、自民党の中からも賛同者が出て、通ってしまう。8月15日ごろがヤマ場になる」と、辞任に追い込まれるのは不可避とみていました。しかしそれでも本人は辞めることはありませんでした。

 石破さんは、かつて2007年の参院選で敗北した故・安倍晋三首相に対して、党の総務会で「選挙に負けたのに続投するのは理屈が通らない」と厳しく辞任を迫り、「惨敗後も“使命を果たす”というのでは国民に説明がつかないのではないか。やめるべきではないか」「私だったら即座に辞めて、落選した人に謝って回る」と発言して、退陣を迫っていた人です。2009年に東京都議選で自民党が敗北した時も、自らも閣僚でありながら、麻生太郎首相に退陣を求めていた人物です。その時の発言が今、ブーメランのようにご本人に返ってきているのです。当時の自分の言葉のように、自ら責任をとらなければいけません。過去に言っていたこととやっていることがブレている人に、国民は信頼を置くことはないのです。あの時の言葉は一体何だったんでしょうか?党内野党だった時代には、なかなかいいことを、正論を熱く語っていて、特に地方では人気の高かった政治家ですが、いざ自分が総理になったらブレまくりです。自分の言ったことには責任を持たないと、国民の信頼はますます離れていくばかりでしょう。「自分の信念をしっかりと持ち、それを貫いている人」がブレない人の定義で、自分の信念(=正しいと信じる考え方)を持っている人は、それを拠り所にすることができるので、自信を持って強く生きて行くことができます。そうすればブレにくいし、どんなにゆらゆらと揺れている時でも、原点に戻る、あるいは原点に気づくことができます。ブレても振り子の原点に戻ることができるのです。英語では「有言実行」“Walk The Talk”(言った通りに歩く=WTT)と言います。これに対して、“No Action Talk Only”(言うだけで行動しない=NATO 造語)では信頼されることはありません。人の上に立つリーダーは、WTTに加盟し、間違ってもNATOに加わってはなりません。

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 「比較第1党としての責任、国家、国民への責任を果たしていかねばならない」とあたかも国民の支持を得たかのような言い回しにも違和感を覚えました。与党は大きく議席を減らしたが、比較して第1党はどこかと言ったら自民党。建前としては『国民はまだ自民党を支持しているんだ。』だから総理大臣を続けるんだ、と言っているかのようです。「比較第一党に胸を張るのではなく、過半数を達成できなかったことを重く受け止めるべきだ」という小泉農相の言葉の方が正論です。続投の理由に、地震を持ち出してきたのにも強い違和感を覚えました。意固地になっている面も見られます。『読売新聞』に退陣表明の号外スクープを報じられたり、人から言われて辞めるのは嫌なのでしょう。ましてや「石破降ろし」に躍起になっている裏金問題の中心にいた安部派の連中に言われたくない、という気持ちが本音なのでしょうね。

 内閣の支持率も過去最低(22%)。党内には石破首相に退陣を求める声が上がっており(逆に「石破辞めるな!」のデモも)、「石破降ろし」の退陣論がますます強まるのだろうとは思いましたが、「じゃあ誰がやるの?誰が火中の栗を拾うの?」という疑問も同時に湧いてきます。今自民党の総裁になったからといって、少数与党ですから総理大臣になれるかどうかも分かりません。これからも少数で議会、国会で運営できるのかとなると、辞めるべきだとはみんな言うけれど、じゃあ誰が?と言うとなかなかそれが具体的に出てこないのが現実ではないかと思います。ところがあろうことか、石破内閣の支持率がじわじわと向上し始めました(35.4%)。「辞任すべきだ」は40.0%で、「辞任は必要ない」は57.5%と盛り返していました(共同通信社調査)。

 広島平和記念式典での石破総理の式辞を聞かれましたか?内容はいいことを言ってはいるのですが、いかんせん官僚の作った(?)作文をひたすら下を向いて棒読みするだけで、これでは聞いている人に感動は伝わりません。一方、「平和への誓い」の小学生代表の二人は前を見て堂々と語っていました。よほど練習して原稿は完全に自分のものとして暗記していたのでしょうね。こちらの方がよほど胸を打ちます。政治家はなぜこんな簡単なことすら分からないのでしょうね。

 9月7日(日)石破首相は党総裁を辞任し退陣することを表明しました。「引きずり降ろされた」感じですね。続投への強い意欲を示してきましたが、党内の「石破おろし」が加速し、このまま9月8日の臨時総裁選の要求の意思確認に進んでは、党内に決定的な亀裂・分断を生みかねないとして、党内分裂を避けるための退陣でした。就任342日。1年持ちませんでしたね。保身のために大義のない解散に走ろうとしたり、裏金問題の中心にあった旧安部派が「石破おろし」で主導的役割を担い、閣僚・副大臣・政務官が職を辞することなく倒閣に走り、失政・失言で辞任したばかりの前󠄂農林水産相が党のコメ政策の委員会トップに就くなど、最低限のけじめすら失われてしまったのが今の自民党です。信頼の回復などあり得ないでしょう。♥♥♥

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