心温まるいい話~共通テスト第6問

 来年の「共通テスト」【第6問】(物語文)「心温まるいい話」が出題されると、八幡は予想しています。最近の出題例を詳細に検討し、「令和7年度大学入試共通テスト問題評価・分析委員会報告書」をじっくりと読んでみての予想です。今年度の「追試験」第6問の問題がまさにそうでした。私はいい問題だと思いました。「追試験」は本番のリハーサルになっていることが多いので、来年の本番はこのような「心温まるいい話」が出題されるものと踏んでいます。私は以前から言っていることですが、本番の予想には必ずしっくりと目を通しておくことが必要です。今日は生徒たちにこの追試問題を解いてもらいました。

▲2025年共通テスト追試験第6問

 ある男の子が一人で祖父母のところに旅行することになり、その道中で起きたことに関する物語を読み、ワークシートを完成させるという設定です。資料を読んで適切なイラストを選択したり、登場人物の感情の移り変わりをたどったりするなど、よくできた設問だと感じました。約720語で4つの設問。英文の量・難易度共に標準的で、設問数とのバランスも適切であると思いました。先生方にオススメしておきます。

 しかしながら、「令和7年度大学入試共通テスト問題評価・分析委員会報告書」では、この問題に対して幾つかの疑義と改善点が述べられています。まずは、英文で書かれているのに、日本国内と思われる場面設定は不自然に感じる、という点です。日本国内が舞台となっていると思われる物語を、英語で読ませることの不自然さが指摘されているのです。果たして不自然でしょうか?しかし私はそれは大きな問題にはならないと思います。日本の高校生に身近な設定で話が展開しているのです。

 問1に関わるワークシートの「Draw a picture that best shows  Hiroki and the “chocolate woman after she had gotten on the train.という指示のbestはワークシートの指示としては不自然だと感じる」という点も指摘されていますが、私には全く問題ありません。英語の試験・教科書・説明文でもよく使われる自然な表現です。この問いは物語文のある場面をイラストで答えさせる問題です。第4段落の“I moved my backpack from the aisle seat.”(aisleがキーワード)と“I retreated away from the left armrest and shifted my body toward the window.”の部分でほぼ正答は一義的に決まるので設問に問題はありませんが、“As she sat down, she spread her arms and legs into the space I had occupied before.”という部分が、心温まる物語の善良な登場人物が取る行動と余り結び付かないものではと疑義が表明されています。正解の根拠となる老婦人の行動(腕と足を広げて席に座る)について、「心温まる物語の善良な登場人物が取る行動と余り結び付かないものであった」という指摘です。これも私は特に疑義を感じませんでした。女性のイラストを見ればさほどひどい姿勢とは見えません。疲れている時など手足を伸ばして座ることはよくあります。問題作成部会は「解答には影響が及ばないとはいえ、受験者に読ませる文章の質をより高いものにするため、この指摘を今後の問題作成に生かしていきたい。」とのコメントをしています。私はそれよりも正解選択肢のイラストの少年の描写が、実に細かくよく描けている点に感心しました。じっくりと見てみてください。

 問2は、生徒が苦手とする事象の時系列の理解を問う問題です。この時系列整理問題は選択肢を先読みして、日本語で簡単にメモしておくだけで、効率的に解くことができます。選択肢④の英語を理解するのに高い力が求められたと考えられます。③が偽肢であることは明白ではありますが、④の“She shows interest in something else to make things less awkward.”という英文が、やや分かりにくかった受験者は少なくなかったと思われます。そしてそれが第7段落の“… then she took out her phone and started tapping on it”の部分との対応を見抜く問題です。上手い「抽象化」の言い換えです。④の内容と必ずしも結び付かなかった受験者もかなりいたと思われます。「もう少し明瞭な選択肢でも良かったと思われる」との意見がありますが、私は難易度を上げるためにこの言い換えを考案した出題者の意図は、よく理解できます。

 問3では、登場人物ヒロキとチョコレートの女性の性格を本文から読み取る力が求められました。 英文の内容から登場人物の特性を問ういい問題でした。

 問4は、ジュンコがヒロキに対して感動した理由を問う問題で、“You’ve handled this situation in a way that’s beyond your age.”(年齢以上にしっかりとふるまった)の抽象化であり、本文の正確な読解ができれば正答を得ることのできる問題でした。選択肢にも紛らわしいものはありませんでした。総じて私はよくできた、それでいて「心温まるいい話」だったと感じています。

 過去の「センター試験」には、この種の実に「心温まるいい話」がたくさん出題されていたので(私一番のお気に入りは2000年の第6問)、私はそれらをストックして日頃の演習に利用しています。♥♥♥

カテゴリー: 英語指導に関して パーマリンク

コメントを残す