尊敬するデイビッド・セイン先生の『ネイティブが教える英語の副詞の使い方』(研究社、2020年)には、「conspicuously(著しく、目立って)は、どちらかといえば悪いことに使うことが多いようです」とあります。今日はこの記述の真偽について取り上げます。副詞conspicuously自体は必ずしも悪い意味ではありませんが、文脈によっては「悪目立ちする」「不自然に目立つ」というニュアンスで使われることが多い、というのが実態に近いようです。「悪い、不快な、場違いな目立ち方」を表す文脈で使われることが多いのです。基本の意味は、conspicuously = はっきり目立つ形で/人目を引くほど ということで、語自体は 中立で必ずしも悪い意味ではありません。しかしこの語は、「目立つこと自体がマイナス」な文脈でよく使われるのです。特に英語では、「隠そうと思えば隠せるのに、あるいは隠すべきなのに、見え見えである」というニュアンスが根底に漂っています。
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欠如・不足
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不自然さ・批判
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違和感
と一緒に使われることが多いようです。
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He was conspicuously absent from the meeting.(彼は目立つほど欠席していた → 来るはずなのに来なかった→いかにも不自然な欠席だ)
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The report is conspicuously lacking in evidence.(証拠が不自然なほど欠けている)
日本語だと「悪目立ちして」「不自然に」という訳が合うことが多いですね。さらには、 皮肉・批判と相性がよく、書き言葉・フォーマルな文脈で、婉曲に批判する表現として使われやすいです。
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Her silence was conspicuous.
(彼女の沈黙は意味深に目立っていた)
もちろん、良い意味でも普通に使われます。
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She wore a conspicuously beautiful dress.(ひと目でわかるほど美しいドレスを着ていた)
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The company has conspicuously improved its safety standards.(安全基準が明らかに改善された)
ただしこの場合でも、「誰が見ても分かるほど」という客観的な目立ち方を表します。
もし英作文で「悪く聞こえないように」したい場合には、clearly / noticeably / visibly の方が無難なこともあります。結論から言うと、conspicuously は必ずしも悪い意味ではありませんが、実際の用法では、「悪い・不快な・場違いな目立ち方」を表す文脈で使われることが多いというのは事実です。「とても(very)」や「著しく(remarkably)」の代わりとして使うと、意図せず「(悪い意味で)目立っている」「見え透いている」という皮肉に聞こえてしまうリスクがあるのです。
英語では「目立つ」という行為自体が、文脈によってはネガティブに響きやすいのです。特に以下のような場合に使われることが多いからです。
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conspicuously absent(目立って欠席している → 「いないことが逆に目立つ」)
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conspicuously wasteful(あからさまに浪費している)
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conspicuously rude(露骨に失礼)
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conspicuously inappropriate(明らかに不適切)
こうした例が多いため、「悪い意味で使うことが多い」という印象が生まれるのです。He is conspicuously smart.と言うと、「彼は(鼻につくほど)見せびらかすように頭が良い」という皮肉に聞こえる可能性があります。心から褒めたい時は、普通にHe is remarkably/ outstandingly smart.を使うのが安全です。
もちろんポジティブな文脈でも普通に使われます。
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conspicuously brave(ひときわ勇敢)
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conspicuously successful(目覚ましく成功した)
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conspicuously generous(際立って寛大)
つまり、意味自体は中立ですが、ネガティブな文脈で使われる頻度が高いというのが実態のようです。
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“conspicuously” は「目立って」という中立的な副詞
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しかし「悪目立ち」「不適切に目立つ」などの文脈で使われることが多い
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ポジティブにも使えるが、頻度としてはネガティブ寄り



