Do your best!

 日本人の中には「頑張って」という意味で “Do your best!” を使う人が多く見られます。このフレーズを応援フレーズだと思って使っている人もいるかもしれません。しかし、この do one’s best という表現、あまり応援フレーズとして他人に使う表現ではないのです。もしも他人に “Do your best.” と言ってしまうと、ちょっと「上から目線」に感じられてしまうかもしれません。「あなたにはあまり期待はしていない」「あなたはまだ全力を出し切ってはいない」「応援しているけど、いい結果が出なくても私はがっかりしないから失敗しても大丈夫だよ」といったニュアンスのある言葉です。「最善をつくしなさい」と言っていることになるので、なんだか押し付けているような感じがしないでしょうか?そのためか、よほど親しい間柄ではない限り、友達にこの表現を使うことはほとんどないのです。デビッド・バーカ『英語じょうずになる事典(上)』(アルク、2017年)によれば、この表現は、お母さんが自分の子どもに向かって、試験の直前に少しでもプレッシャーを軽くしてあげたいときなどに使う言葉だと言います。アメリカから来日したある助っ人野球選手は、日本人のファンにしつこいくらいに“Do your best!”と声を掛けられ続けて、かなりイライラしたそうです。日本のファンはきっと応援のつもりで声を掛けているのでしょうが、ネイティブ・スピーカーにとっては「お前は今持てる全ての力を出し切っていないじゃないか。全力でいけよ!と言われているような気分になったのでしょう。このように、使い方によっては批判的に聞こえる含みもある表現なので注意が必要です。どちらかというと、自分自身のことについて「(やれるかどうか分からないけれども)できるところまで最善を尽くしてやってみるよ。と言うようなときに、“I’ll do my best.”ということが多いでしょう。

▲日本人特有の誤りを解説した面白い小辞典

 「頑張って」と応援をしたいのであれば、“Good luck!” “Come on!” “Don’t give up!” “You’re nearly there!” “Break your leg!”などと言えばよいでしょう。

 「がんばってください」の意味で、日本人が使ってしまいがちな表現にTry your best.があります。次の会話をじっくり読んでみてください。

 A: My piano teacher says I'm ready to give my first recital.
B: Really? Well, try your best.
A: I'm trying my best! Can't you be more encouraging?
A:「ピアノの先生に、もう初リサイタルをやってもいいって言われたの」
B:「まじで?まあ、精一杯努力することだね」
A:「一生懸命やってるわよ!もっと励ましてくれてもいいじゃない」
     ―『CNN ENGLISH EXPRESS』4月号、2018年

  Try your best.と言うと「(ダメだろうけど)精いっぱいがんばることだね」という冷たく、意図したこととは全く反対の意味になってしまいます。“Keep up the good work.”(がんばってね)と言えばよかったのです。 ♥♥♥

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