秋田県の実践

 毎年、小学6年生と中学3年を対象に「全国学力・学習状況調査」(全国学力テスト)が実施されています。その都道府県別の平均点を公表している現行の方法に対して、過度な競争を招くなどと一部の知事が反対・疑問視していることを巡り(「意味があるのか分からない問題を解かせられながら、平均正答率で並べ比べられる」)、文部科学省が成績の公表方法などの変更を検討しているといいます。「全国学力テスト」は昭和31年に始まりましたが、競争を煽るとして昭和41年に廃止されました。しかし平成15年に行われた国際的な学力調査で日本の子どもたちの大幅な学力低下が明らかになり、文科省はそれまでの「ゆとり」路線を転換、平成19年から「全国学力テスト」を再開しました。平均正答率が低かった自治体が、高かった自治体の取り組みなどを参考にして指導改善に取り組み、底上げを図ったことにより、学力は大きく向上しました。県別平均点公表への反対が、成績の振るわない県の知事が自身への批判を避けるための反対だとしたら、全くもって論外なことです。

 秋田県は、その小学校の「全国学力テスト」で2007年、2008年と二年連続全国トップに輝き、その教育方法や家庭のあり方に、にわかに注目が集まりました。その後も2010年まで連続トップを誇ります。今もなお成績上位に輝いています。つけ加えれば、秋田県は子供たちの体力テストでも、全国トップクラスの成績を収めています。今や秋田県は、日本の伝統教育指針、「文武両道」のもっとも成功している地域なのです。この要因は一体何なのでしょうか?国際教養大学の初代学長だった故・中嶋嶺雄(なかじまみねお)先生(⇒私の訃報記事はコチラ)が明らかにしておられました。

 結論だけを先に述べると、養育期の子供をもつ親は、次の四項目を実践することだと言います。
    ①必ず家族揃って朝食・夕食をとる
    ②塾に頼らず家庭で勉強させる
    ③テレビばかり見させない
    ④地域の行事に必ず親子で参加する

 こんな簡単なことで、いい家庭環境が築けるのか?学習成績が向上するのか?そんな疑問を抱く人もいるでしょうが、ここに挙げた項目は、秋田県で実際に行われているものなのです。中島先生が一番強調されていたことが、「家庭のあり方」でした。「好結果を生んだ要因の一つとして、家庭がしっかりしていることが挙げられた。朝食、夕食を両親や家族とともに規則正しくとる。それは学童・生徒の精神や情緒の安定につながっている」 「秋田の子どもたちは塾に通う率がきわめて低い。しかしその分、家庭で予習・復習する。テレビを見る時間も少ない。さらに、子どもたちが地域社会で役割を演じていて、田舎に行けば行くほど鎮守の祭りにも多く加わっている」

 何のことはありません。日本社会で昭和30年代頃まで行われていて、だんだんと廃れていった家庭生活こそが、子供たちの教育にとって一番良いということなのです。今の時代、子供をどんなふうに教育したらいいかと、迷っている親御さんも少なくないことでしょう。あまりにも価値観が多様化して、「何でもあり」の世の中になってしまったからです。しかし、この問題をあまり難しく考える必要はなさそうです。試しに、前記の四項目を一ヵ月でもきっちりと守ってみてはどうでしょう。バラバラになった家族の絆がよみがえるに違いありません。家族の絆がよみがえることが、すべての始まりのようだ、というのが中島先生の見立てでした。

 「元来、子供の性質は、わが父母は善き人と思い、わが家を楽しきところと思う心あるゆえ、この子供心を利用すべし」(福沢諭吉) これは至言です。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 パーマリンク

コメントを残す