使えるものは何でも

 「英語の勉強の8割までは単語の勉強」が私の持論です(「花より単語」)。そして生徒が毎日一番苦労しているのもこの「単語の暗記」です。暗記の作業はとにかく苦痛です。覚えてもすぐに忘れます。私は授業の中で、時々「語呂合わせ」を持ち出すことがあります。代表的なものは、dictionary(辞書)「字引く書なり」kennel(犬小屋)「犬寝る」deny(否定する)「そうでないlawyer(弁護士)牢屋に出入りするに関係があるから」などです。あ、結構面白いぞ、となってきたらしめたものです。その他にも、killは人を切るから「殺す」です。quarrelは人間関係がコワレルから「けんか、口論」です。私はよく机をバンッ(ban)と叩いて「禁止する」と教えます。その昔、ベストセラーになった『英単語連想記憶術』(青春出版)なる本には、これでもかというぐらい例が挙げられていました。続編・続々編が出たくらいですものね。かつて、barnという結構レベルの高い英単語を、「納屋でね」といった意味深な「語呂合わせ」で教室で紹介した同僚がいましたが、この単語がセンター試験の長文読解問題に出た時には、狂喜乱舞したことでしたね〔笑〕。

 こんな具合にして、英単語が全部覚えられるものなら、苦痛も半減するのでしょうが、なかなかどうしてそんなに上手くいくものではありません。しかし眠い目をこすりながら呪文のごとくひたすら「丸暗記」では、すぐに忘れてしまいます。そこに少しでも何らかの手がかりを工夫して、記憶しやすい方法を見つけるようにしたいものです。私は「音声」「語呂合わせ」「カタカナ語」「語根」「派生語のルール」「音と意味のイメージ」(例:gl-, fl-, dr-, sp-, shr-)などもフル活用して繰り返し、繰り返し徹底を図っています(この反復というのが重要です)。少しでも受験生の暗記の負担が軽くなる方法を模索しながら指導しているんです。すべり台を滑り落ちるとそのまま下まで滑り落ちてしまいますね。ところが途中に何か突起物があるとそれにひっかかって止まります。これと同じで記憶も何かひっかかりがあると脳に記憶されるのです。「箸にも棒にも掛からず」覚えられないような単語を、どこかに引っ掛けるようにするのです(写真下)。最新刊のすずきひろし『語源×語感×イメージでごっそり覚える英単語事典』(ベレ出版、2025年4月)はそんな見事な試みの一冊でした。

 私が高く評価する竹岡広信(たけおかひろのぶ)先生の単語集『LEAP』(数研出版)でも、所々に竹岡流のギャグが登場したり、語源にまつわる情報、単語の使い方に関するワンポイントアドバイスが細字で挙げられていて、読むのが楽しくなります。私は通勤電車の中で楽しみながら読んでいます。かつて松江北高の英語科職員室に掃除にやって来る生徒たちに、この単語集の感想を聞いてみたことがあります。単語にまつわるウンチクが小さい文字でいろいろと書かれていることに対して、英語の得意なできる生徒たちはこれを「読んでいて面白い」と言い、苦手な生徒たちは「面倒くさい」と反応が見事に分かれたのは興味深いことだと思いました。私は「語根」を活用した勉強法を強く薦めているのですが、「単語の記憶」に使えるものは何でも使おうというスタンスです。単語集もそのような姿勢のものを使おうと思っています。それにピッタリなものが竹岡先生『LEAP』なのです。昨秋に改訂版が出ました(⇒単なる改訂版ではありません。相当変わっています。私の紹介記事はコチラコチラです)。今、本屋さんに並んでいます。♥♥♥

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