「血は争えない」

 “Blood will tell.”は、血は争えない」という意味を持った諺で、どの英和辞典にも載っている表現です。これは、親子や兄弟の間の血縁関係が、個人の性格や行動に影響を与えることを示していて、具体的には、子供は親に似ていることが自然であり、血は争えないというニュアンスが含まれている慣用句です。blood=血筋の意味です。血筋は語る、が直訳ですが、生まれの良し悪し(血筋)は黙っていてもおのずと現われる = 血筋は争えない、という意味になったものです。しかし、私の調べたところでは、この諺は現代でも意味は通じますが、《古風》で文学的な響きのある表現で、日常会話でネイティブが頻繁に使うものではありません。そのように思っていたところ、先日読んだAsahi Weekly, November 16, 2025の「デビッドセインのこれを英語でどう言うの?」で、この諺が取り上げられており、やはり「古風である」としていました。普通はLike father, like son.(父に似て、息子に似て→親子だ→血は争えない)と言います。ただし最近では性別を問わない、Like parent, like child.という言い方もあります。

 “Blood will tell.” は19~20世紀の文学や、格言めいた場面でよく見られる表現で、「血は争えない(生まれ持った性質は表に出る)」 という意味です。しかし現在の英語では

  • 口語としてはほとんど使われることはなく

  • 使われるとすれば 皮肉っぽく、または 意図的に古風な雰囲気を出す時で

  • 書き言葉や文学的文体では見かけることがあるという位置づけです。

 ネイティブの感覚としては、「意味は分かるが、日常で言えばやや時代がかった/修辞的に響く」という印象が一般的です。似た意味で現代的に言うなら、状況にもよりますが、現代の自然な表現は例えば:

  • You can’t escape your nature.(人は生まれ持った性質から逃れられない)

  • It runs in the family.(家系的なものだ) ※センター試験に出題されたことがあります。2009年本試験第2問A問10です:You never seem to gain weight. How do you stay so slim?――Just lucky, I guess. It (          ) in the family.   ①comes  ②goes  ③runs  ④works

  • Like father, like son./Like mother, like daughter.(この親にしてこの子あり)

これらのほうが日常ではよく使われます。「古風だ」という意見は妥当と言えるでしょう。♥♥♥

カテゴリー: 英語語法 | コメントする

「原文典拠の法則」を徹底

 毎日の授業の中で、英語の長文を読みながら、内容一致問題を数多く解いています。マーク模試でも何度も出てくる問題です。私は、必ず本文の該当箇所に下線を引いて根拠を明確にして○×判定をすように、うるさく言っています。点数のいい生徒たちは、このようにして「思考の痕跡」を問題用紙に残しています。成績の悪い生徒は「ただ何となく」解答しているようです。実は、この差がデカイのです。設問の「キーワード」(名詞・動詞)をヒントにして、本文中の該当部分を素早く見つけ出す、そして選択肢と比較対照し、「言い換え」となっているものを正解とするのです。これを「原文典拠の法則」(あるいは「同一内容異表現の法則」)と言います。これができない最も大きな要因は単語力不足です。本文または選択肢の正確な意味を取ることができていないのです。そして時間内に読み切ることができません。教訓は、語彙力を大いに鍛えるべし!ここで一つ大切なことがあります。普段から練習では、「正解」が分かったらそれでよし、とするのではなく、「不正解」の選択肢(ダミー)もどこが間違っているのかをしっかり確認しておく。誤りの選択肢は、どこかが巧妙に「すり替え」られているか、「記述なし」です。これをやっておくと、本番で生きてきます。本番では、正解が分かれば次に行けばいいのですが、素早く、確実にそれをやるためにも、練習では負荷をかけておくとよいのです。どんなに大変でもこれを忠実に実行しておくと、本番で成果が出てきます。原文典拠の法則」。しっかり励みましょう。

 自治医科大学に通っている先輩が教室を訪ねてくれ、後輩たちに体験談をしてくれました。その中で、自分の答案で、自信を持って答えることができて正解だった問題はいいけれど、理由は分からないけれどもたまたま偶然正解となった問題は、きちんと見直す習慣をつけたことが良かった、ということを報告してくれました。そうなんです。「答えさえ合えばそれでいい」といった勉強姿勢では決して力はつかないのです。

 「原文典拠の法則」。しっかりと励みましょう!私が模試の度に「見直し」をさせているのは、ここら辺のコツを自分で会得してもらいたいためなんです。「センター試験」時代はこれだけで高得点を取ることができました。しかし、「共通テスト」では、書かれていないことを「推測」して答える問題(most likely~で聞かれる)も出題されます。私が授業で強調していることは、先ほど説明した「原文典拠の法則」があくまでも基本で、これができない人が「推測」する問題を解くことはできないということです。あくまでも基本は「原文典拠の法則」であって、その先に推論問題があるということです。ということで、私は最近は「心温まるいい話」である過去の「センター試験」の第6問を集中的に演習に使って「原文典拠の法則」の練習をやっています。いい訓練になりますよ。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする

utilize

  「使う」「利用する」を表す英語表現として、useutilizeがありますね。ほとんどの受験用単語集ではuse=utilizeとしていますが、英米の辞典を見るとutilizeは “formal”(格式ばった)な英語とあります。意味は“to use something for a particular purpose”[LDOCE] 、“formal   to use sth, especially for a practical purpose”[OALD]とあります。LDOCEには“In everyday English, people usually say use rather than utilize : The money will be used to build a new sports hall.”という注記も見られます。竹岡広信先生『LEAP』には、「日常ではuseの方が使われる」という注記が入っています。私自身もこの程度の理解を持っていました。

 しかしながら、ディビッド・セイン先生『英語ライティングルールブック(改訂新版)』(学研、2024年)には、格式張った語である上に、utilizeには「最大限に利用する」という意味があるので、使用には注意が必要だとあります。次の用例を見てください。

      A. This office isn’t being used.   ――     B. This office isn’t being utilized.

Aは単に「このオフィスは使われていない」という意味なのに対して、Bは「このオフィスはまだ100%活用されていない」という意味になります。このような大きな意味の違いを生むことがあるので、useの代わりとしてutilizeを使うのは避けた方が賢明だ、というのがセイン先生のご意見でした。use は、一般的な日常用語として非常に広く使え、意味としては単純に「使う」です。 utilize は、use に比べると、日常生活用語としては、めったに使いません。意味としては、utilize は、ただ単に「使う」だけでなく、それを「有効に活用する、最大限に活用する」という意味を含んでいるのです。例えば、The teachers were unable to use the new computers (教師たちは新しいコンピューターを使えなかった)は、The teachers didn’t know how to operate the new computers (教師たちは新しいコンピューターの操作方法を知らなかった)と同じ意味になります。一方で、The teachers were unable to utilize the new computers (教師たちは新しいコンピューターを有効活用できなかった)は、the teachers could not find ways to employ the computers in instruction (教師たちは新しいコンピューターを教育に活用する方法を見つけられなかった)ということを示唆しています。useは一般的で幅広く使われる「使う」という動詞で、日常的な場面で使われるのに対して、utilizeはよりフォーマルな文脈で、具体的な目的のために「(最大限に)活用する」といった専門的・技術的なニュアンスを持ちます。次のような二つの英文の対比をご覧ください。上のutilizeの使用は避けた方が無難でしょう(セイン上揭書参照)。

「この道具はどうやって使うんですか」
  △How is this tool utilized?
  ◎How is this tool used?

「この新しい道具の使い方が分からない」
  △I don't know how to utilize the new equipment.
  ◎I don't know how to use the new equipment.

The company utilized AI to improve customer service.
(その会社は顧客サービスを改善するためにAIを活用した。)

We need to utilize all available resources to solve the problem.
(問題を解決するために、利用可能な全ての資源を最大限活用する必要がある。)

 utilizeは、「目的に応じて戦略的に使う」「限られた資源を有効活用する」といった文脈で使われます。したがって、ネイティブでも、utilizeを何でもかんでも多用されると大げさで不自然と感じることがあります。普通の「使う」なら use で十分でしょう。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする

神戸コロッケ

◎週末はグルメ情報!!今週はコロッケ

 全国に35店舗を構える「神戸コロッケ」(本社:ロック・フィールド/兵庫県神戸市)が2022年5月26日、「JR神戸駅」(神戸市中央区)構内に常設店をオープンしました。 1989年に誕生し、百貨店を中心に出店する「神戸コロッケ」ですが、2022年2月~3月に同駅に催事出店した際、連日大行列ができ好評だったため、常設店が実現したといいます。神戸市内では「神戸阪急」「大丸神戸店」「元町本店」に次ぐ4店舗目となります。メニューは、シンプルな「じゃが牛コロッケ」(172円)のほか、蟹の旨みたっぷりの「本ずわい蟹のクリームコロッケ」(297円)、大葉とゴマがふわっと香る「海老と帆立のカツ」(297円)がラインアップ。会社や学校帰りに気軽に利用できます(営業時間:朝11時~夜8時まで)。場所は「JR神戸駅」中央口改札外コンコース北側。 ※値段は2022年当時 現在はずいぶん値上がりしています。

 「神戸コロッケ」は1989年4 月、神戸・元町(南京町)に1号店を出店して以来、素材と製法にこだわったコロッケを提供し続けてきました。北海道北見市端野町産の男爵芋など、素材本来のおいしさを引き出したコロッケを揃えています。通勤・通学、行楽などで駅を利用するお客様はもちろん、近隣にお住まいの方にも気軽に立ち寄っていただけるよう、日常に“おいしさ”と“ワクワク”を届けてくれるお店です。

 全ては美味しく、安心・安全なコロッケのために素材選びから食卓に届けるまで、「神戸コロッケ」が創業時より大切にしていることが「コロッケ憲章」です。①ジャガ芋は、生産者の顔がみえるものを使用すること。②コロッケ職人は、手間を惜しまないこと。③コロッケは、素材を活かした日常の食であること。④コロッケが食卓に並ぶまで、おいしさに責任を持つこと。⑤コロッケは、永遠に全ての人の味方であること。

 私はこの「神戸コロッケ」を気に入っているんです。全国の有名デパートの地下食品売り場には「神戸コロッケ」の店があるので、いつも買って帰っています。シンプルな「じゃがいもコロッケ」は、野菜の甘みが活きたシンプルな味わいです。1個108円(税込)という安さはもちろんですが、シンプルでやさしい味が最大の魅力ではないでしょうか。「黒毛和牛のビーフコロッケ」(195円)も絶対です。今日も、三宮駅前「阪急デパート」の売り場で求めました。

 「ジューシーミンチカツ」は、肉の食感を楽しむことができます。2種類の挽き目のミンチ肉が使用されていて、つなぎを最小限にしているという “ジューシーミンチカツ” は、ガッツリと肉の食感を楽しみたいときにぴったり。シンプルなじゃがいもコロッケとともに、神戸コロッケ」に行くなら、忘れずに買っておきたいメニューです。全てはおいしく、安心・安全なコロッケのために。素材選びから食卓へお届けするまで、「神戸コロッケ」が創業時より大切にしていること。その変わらない思いを胸に、コロッケ作りに向き合う。それが「コロッケ憲章」です。


 

    数多くの産地の中で、北海道北見市端野町男爵いもを使っています。端野町は北海道の北東に位置し、昼夜の寒暖差が大きく雨が少ないなど、男爵いもを育てるのにとても適した地域です。恵まれた自然環境により、でんぷん価が高く、ホクホクとした食感の男爵いもが育ちます。1990年代初頭、コロッケに合う本当においしいじゃがいもを追い求めて、たどり着いたのが端野町です。端野町は北海道の北東に位置し、昼夜の寒暖差が大きく雨が少ないなど、恵まれた自然環境により、でんぷん価が高く、ホクホクとした食感の男爵いもが育ちます。それ以来、二人三脚で歩む深い絆で、毎年おいしいじゃがいもを実らせています。広大な畑が多い北海道では、薬剤を使って茎や葉を枯らした後に、じゃがいもを掘り出すのが一般的ですが、「神戸コロッケ」の契約農家では、薬をまかず茎葉処理機で茎と葉を刈り取ります。手間がかかりますが、健康な土壌が保たれ、環境への負荷を減らすことができます。一年中おいしいじゃがいもを味わっていただけるよう、毎年2月頃から雪をコンテナにつめて倉庫内の温度と湿度をベストな状態に保つ「雪中備蓄」を行っています。また、自然のチカラを利用することで、電力が節約され、エコロジーにも貢献しています。ダンボールでの輸送はゴミになるだけでなく、湿度が原因でカビが発生する場合があります。神戸コロッケのじゃがいもは、環境への配慮と通気性を考慮したコンテナ輸送を行っています。自然にも素材にもやさしく、コロッケの品質を支えているのです。

 静岡ファクトリーでは、産地から届けられた素材を、素材本来の良さを最大限に活かして加工・調理しています。また、人に自然に地球にやさしい施設を目指し、風力発電やビオトープなど、自然との調和を大切にした取り組みも行われています。素材の力を実感するきっかけとなった「じゃがいも」にちなんで、静岡ファクトリー第1棟は“神戸ポテト工場”という愛称で呼ばれ、その象徴としてファクトリーの敷地内に、じゃがいものモニュメントが設置されています。

 じゃがいもは皮の近くに栄養分が多く、風味も豊かです。特に新じゃがは皮が薄いので、皮むきは最小限にとどめ、素材がもつおいしさと栄養を出来るだけ残しています。例えば瑞々しい採れたてのじゃがいもは、柔らかく崩れやすいのが特徴。ホクホクとした味わいと食感が楽しめるよう、蒸し調理の時間を短くするなど、じゃがいもの状態に合わせて、細かな調整を行っています。素材自体がおいしいから、それを引き立てることが大切。たとえば「シンプルなじゃがいもコロッケ」は、野菜の自然な甘みを引き出し、風味を余すことなく活かすことで、素材本来のやさしい味わいと、しっかりとした旨みを、絶妙なバランスで感じられるように仕上げています。

 大正時代に和洋折衷メニューとして誕生したコロッケは、日本の三大洋食として親しまれ、今なお、子供から大人まで楽しめる国民食として愛されています。しかし、社会・経済が目まぐるしく変化していた1989年当時、市販されているコロッケは冷凍が主流で、「安心・安全」「おいしさ」よりも利便性を重視する風潮が否めませんでした。そこで、安心・安全で本当においしいコロッケが日本の食卓に必要ではないか、という強い想いから、その年の春に、「神戸コロッケ」は誕生したのです。

 「神戸コロッケ」の公式キャラクターである招き猫のイラストが目印のお店です。招喜家は、父・にゃお吉、母・にゃお江と6匹の子供たちからなる招き猫の家族です。みんなじゃがいもが大好きで、そのじゃがいも好きをかわれ、「神戸コロッケ」の公式キャラクターを務めています。

 今日は南京町の中華街を散策していて、端っこの方に「神戸コロッケ」のお店がありました。残り一個となっていた「黒毛和牛のビーフコロッケ」(297円)を買って歩きながら食べました。やはりアツアツのコロッケ、とても美味しかったです。

 

 京都伊勢丹の地下2階にも「神戸コロッケ」のお店がありました。「じゃが牛コロッケ」を買って帰り、翌朝電子レンジで30秒ほど温めて食べると、アツアツホクホクになり美味しかったです。♥♥♥

カテゴリー: グルメ | コメントする

コーヒー好きの松下幸之助

松下幸之助

 下幸之助(まつしたこうのすけ)が、松下電器の相談役だった頃のエピソードをご紹介しましょう。コーヒー好きの幸之助は、ある日秘書に、「コーヒーをつくってくれるか。うちでコーヒーをつくる器具があったな。あれでつくってみてくれや」と頼みました。ほどなく運ばれてきたコーヒーを飲みながら、ふと幸之助は秘書に尋ねました。「ところできみ、うちのコーヒーメーカーの占有率はいくらや」早速秘書が調べると、外資系の二社が63%を占めており、松下電器の市場占有率はわずか7%にとどまっていました。秘書が、「わが社の占有率はかなり低くて、7パーセントです」と報告すると、幸之助は言いました。「えらい少ないやないか。これは松下電器のいわばお家芸の商品や。それが7パーセントやそこらじゃあかんな。やはり一番にならないといかん。各メーカーの商品をいっぺん全部持ってこさせてくれ」

 こうして市場に出回っているコーヒーメーカーを全部本社特別会議室に並べさせたのです。幸之助は、会議室に経営幹部たちを呼びよせて、「外資系の商品が63パーセントも占めているということは、単に松下電器一社の問題ではない。日本の問題ではないか」とはっぱをかけました。その後、責任者、技術者たちの並々ならぬ努力によって、画期的な新製品を開発しました。それに100万台の売上げ目標を立て、宣伝、販売戦略にも工夫をこらして、ついに目標を達成し、占有率も第一位となるに至ったのでした。私自身も買い求めました(ただそれほどの感動はなかったように記憶しています。すぐにキューリグエフィーアイリスオーヤマUCCのコーヒーメーカーに買い換えています)。後日、その成果を喜びつつ、幸之助は厳しい指摘をしています。「きょう天下を取っていても、あすはパッと変わるような時代である。だから喫茶店でコーヒーを飲んでいるあいだにも、あす打つ手をどうするか考えるようでなければ経営者とはいえない。多くの人の声を聞いて。「ああ、そうか」では時すでに遅い。シェアが下がっていることまで指摘するのは、相談役の仕事とは違う」 新商品の売れ行き、新しい宣伝、販促のあり方等、事業においては多くの課題がつきつけられています。もとより課題がなくなるようなことはないでしょうが、そうした事態にも倦まず、予見される事態に対して、さまざまな憂いを抱き続ける経営者の姿勢こそ、経営を支える原動力と言えるでしょう。常に憂いを抱き続ける姿勢が肝要ということです。彼はこんなことも言っています。♥♥♥

 かりにも経営者として人の上に立つ者が、人よりも先に憂い、あとから楽しむということでなくては、経営者として失格といわなくてはならない。体は休ませたり、遊んでいることがあってもいい。しかしそのときでも、心まで休養や遊びの中にひたりきってしまうのでなく、心は常に先憂でなくてはいけない。遊んでいるときにまったく遊びに心を許してしまうような人は、真の経営者とはいえない。(『経済談義』より)

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする

ヤヌス語

 一つの単語が文脈によって真逆の意味を持つことができるものを、英語では「contronym」、または「Janus word」(ヤヌス語)と呼んでいます。これらの単語は、言葉の逆説的な性質を示し、言語の多様性と複雑さを体現しています。このヤヌス語」(Janus words)という用語は、ローマ神話の神「ヤヌス(Janus)」に由来します。ヤヌスは、前と後ろに二つの顔を持つ(後頭部同士がつながっている)双面神で、門を守護する神です。一つの顔が前を向き、もう一つの顔が後ろを向いているとされています。この特徴は過去と未来、始まりと終わりを象徴し、同時に異なる方向を見ることができることを意味します。門は入り口と出口という正反対の機能を持つために、ヤヌス神も始まりと終わりという反対の現象を見守るとされ、そこから二つの異なる意味を持つ言葉が「ヤヌス語」と呼ばれるようになりました。同じ単語が文脈によって異なる意味を持つ性質が、「ヤヌス神」の二面性と対応しているからですね。ちなみに一年の始まり(入り口)であるJanuary(1月)は、「ヤヌス神」に由来しています。

 これらの単語は、文脈によっては正反対の意味を持つことができるため、英語学習者にとっては特に注意が必要です。contronymは、言葉の真逆の意味を持つことができるため、会話や文章において混乱を招く可能性があるので厄介なんです。例えば、「left」には「去った」という意味もありますが、「残った」という意味もあります。このような単語は、言葉遊びや文学的な表現において豊かなニュアンスを提供してくれますが、同時にコミュニケーションにおいては明確さを欠くことがあり厄介です。その性質上、文脈によって意味が180度変わることがあります。例えば、The judge will sanction the action.と言った場合、それは「行動を認可する」という意味にも、「行動に罰を与える」という意味にも取れます。このように、文脈を理解することは、正確なコミュニケーションのために不可欠です。sanctionは元々「宣誓」の意味だったものが、その後「承認」「経済的不承認、制裁」という相反する2つの意味を持つようになったのです。

 peruseという動詞も、もともと「精査する、精読する」という意味だったものが、時間が経つにつれ「ザッと読む、目を通す」とより広い意味を含むようになり、今日では文脈から判断しなければ分からない単語となっています。実に厄介ですね。両義性を持つ単語は、言葉遊びや文学的な表現において豊かなニュアンスを提供してくれますが、我々非ネイティブにとっては混乱の元となることもあります。これらの単語は、会話や文章の中で、文脈を注意深く選ぶ必要があります。例えば、「The window is open.」と言った場合、それは窓が「開いている」という意味にも、「壊れている」という意味にも取れます。このように、contronymは、英語表現の中で特別な位置を占め、言語の理解を深めるための参考になります。

 動詞のclipには「クリップなどで留める」という意味もあれば、「はさみなどで切り取る」の意味もあります。最近『英語教育』誌の「クエスチョンボックス」欄で問題とされた(2024年11月号)scan「~を注意深く調べる」「~をざっと見る〔読む〕」にも正反対の意味があります。defeat「打ち負かすこと」「敗北」もこれに当たります。dust「ほこりなどを払う」「まぶす」も同様です。こうした「ヤヌス語」が実に厄介なのは、その多くが必ずしも難解な意味を持つ語というわけではなく、日常的で使用頻度の高い単語であるという点です。 

 日本語にも同様の現象が見られます。例えば、「おもむろに」という言葉は、本来「ゆっくり」という意味ですが、ほぼ同数の人たちが、「突然に」という意味だと思っていることが、文化庁の報告で上がってきています。また「おめでたい」という形容詞は、一般的には「縁起が良い」という意味ですが、最近では「お前はなんておめでたいヤツなんだ」と誰かに言われた場合、ここでは「考え方が甘い、楽観的だ、愚かだ」くらいの意味に転じます。「憎い」も、普通は対象に敵意や反感を持ち、その存在を許さないと思うほどに忌み嫌うことの意味ですが、反語的に、少し引け目に思うほど好ましいさまや感心させられるさま、を指すこともあります。こういう風に、文脈いかんでその意味が 180度変わってしまう、実に興味深い現象です。アメリカ辞典界で最大の出版社であるメリアム・ウェブスター社(Merriam Webster)が、英語におけるこの種の「ヤヌス語」について解説した記事がありますので、紹介しておきましょう。⇒コチラです♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする

目的と目標

 好業績を継続している企業では「ビジョン」「理念」が定着し、それが徹底されて確立しています。ビジョンとは企業の「存在意義」です。「ミッション」と呼ばれることもあります。理念とは「行動規範」です。それらが単なるお題目ではなく、そこで働く人に深く浸透しているのが強い会社です。そのためには、経営者自らがまず先頭に立って、ビジョン理念の体現者とならなければなりませんが、まずその大前提として「目的」「目標」の違いを十分に認識しておく必要があります。

 粉飾や偽装など不正を働く企業や政治家が後を絶ちませんが(例えば最近ではビッグモータ小林製薬トヨタ自動車JR九州、ミニストップ、ニデック等)、それは、この「目的」「目標」の違いが分かっていない経営者が多いからです。さらには、不正とまではいかなくとも、働く人が活き活きと働いていなかったり、本来ならもっとパフォーマンスが出るはずの会社がそうでない場合にも、この「目的」「目標」の混在が起こっていたり、本来の「目的」が忘れられているような場合も少なくないのです。みなさんは「目的」「目標」の違いを理解していますか?「目的」「目標」を似たような意味だと捉えて、いちいち区別せずに使っている人も少なくないかもしれません。

 目的」目標」は、次のように明確に区別することができます。

目的: 最終的に行きつくところ、あるいは存在意義
目標: 目的に至るまでのその通過点、具体的な評価、目的達成のための手段

 そもそも「目的」とは一体何でしょうか?それは「存在意義」です。「目標」とは、その通過点であったり、「目的」達成のための手段のことです。目標」のはるか先に目的」があるのです。それでは、企業の「目的」とは一体何でしょうか?本来、企業は良い商品やサービスを社会に提供し、お客さまに喜んでいただくことを、目的の一つとしています。それから、それを通じて働いてくれる仲間を幸せにすることも、目的の一つでしょう。地域社会に貢献することも存在意義です。ピーター・ドラッカー「独自の商品やサービスを提供すること」「働く人を活かす」ことを企業の目的に挙げていますが、同じことです。その目的達成のために、お客さまに喜んでいただけるような商品やサービスを提供して、今年は「50億円の売上高をあげよう」とか、その結果「2億円の利益を出そう」というのは、「目標」なのです。「東証一部に上場しよう」目標にすぎません。つまり、「50億円売ろう」というのは、50億円分良い仕事をしてお客さまに喜んでいただこうということです。それを目標に設定することは、社会に貢献しようとする目的と何一つ矛盾しませんし、良い仕事をしようとする時、それを尺度として「50億円分売れるくらい良い仕事をしよう」と考えるのが目標の役割でもあります。ところが、多くの会社が間違ってしまうのは、「50億円売ろう」「2億円の利益を出そう」という、本来なら「目標」とすべきことが、「目的」化してしまっているところです。これだと、部下に対して「数字を出してこい!」という話になってしまいます。そうなれば、東芝の例を出すまでもなく、経営がおかしくなり、働いている人が疲弊してしまうのです。「良い仕事」をし「お客さま第一」を実践することを目的にできるかどうか、さらに目的にし続けられるかどうか。ここが働く人をルンルン気分にし、会社が継続的に繁栄させられるかどうかの大きな分かれ目なのです。99歳でお亡くなりになった藤本幸邦老師曹洞宗円福寺)は、よく「お金を追うな、仕事を追えだよ」と戒めておられました。「仕事」、それもお客さまが喜んでくれるような「良い仕事」を提供することが目的なのです。世の中が求めているのは、会社の売上高や利益の数字ではなく、「良い仕事」なのです。同様に、「お客さま第一」目的ではなく、儲けるための手段と考えてしまうと、会社は一時的には儲かっても、いずれうまくいかなくなってしまいます。そんなことは理想論だと思う人がいるかもしれません。ある程度、ビジネスをやっている人は、特にそう思うかもしれませんね。でも、そう思っているうちは、働いていても楽しくないし、本当には儲かってはいないはずです。お金のためだけに働いていて、たいして満足感を得てはいないですし、それでいて、たいして稼いでもいないのです。その最大の理由は、考え方が間違っているからです。正しい考え方さえ持っていれば、ルンルン気分で働けますし、結果として儲かるのです。「お客さま第一」「良い仕事」を追求する働く人がルンルン気分で働き続けられるかどうかが、とても大切なのです。そのためには、経営者も従業員も、仕事を楽しむことができるレベルに達することが大切なのです。それには「目的」「目標」の違いを認識することなどの、経営者の基本的な考え方や姿勢が大きく影響しています。「良い仕事(1.お客さまが喜ぶこと、2.働く周りの仲間が喜ぶこと、3.工夫)」をすることに集中させていたら、とにかく「良い仕事」をしていればいいわけですから、従業員は楽しいのです。働きがいを感じるからです。従業員が会社にルンルン気分で来られるのは、仕事が好きだからであり、ひいては、「お客さま第一」「良い仕事」を通じて、お客さまや社会に貢献することを自覚しているからに他なりません。もし仕事が、お金を稼ぐための手段でしかなかったら、お金を稼ぐまでは楽しいけれど、ある程度稼いでしまったら「もうこんなものでいいか」と思ってしまいます。一方、いつも「良い仕事をしよう」と思い続けていたら、当然のことながら、いつまでもルンルン気分で仕事ができるはずです。なぜなら、多くの人に喜んでもらえるからです。そうして、どの従業員さんもルンルン気分で、良い仕事をすることをずっと追い求めている方が、間違いなく結果として会社は儲かるのです。そのような会社を働く人もお客さまも好きですからね。「お客さま第一」を本当の目的にして、お客さまに喜んでいただける商品やサービスを出し続ける会社は、それができます。だから永遠に発展し続け、永遠に儲かり続けるのです。でも、「お客さま第一」を手段にしている会社は、結局は伸びません。ある程度儲かったら、そこで経営者は満足して、儲かったお金をどう使おうか、余暇をどう使おうか、という話になってしまいます。ここで確認しておきたいことは、「良い仕事」とは、結果として稼ぐことができる仕事だということです。稼げない仕事というのは、人が十分には評価していない仕事ですから、「良い仕事」ではないのです。とにかく、結果として稼ぐことができるくらいの良い仕事をしなければならないのです。良い仕事かどうかは、人が評価するもので、自分で自己満足していてはダメなのです。評価するのはあくまでもお客さまや社会です。

 私(=八幡)の人生の「目的」、つまり存在意義の一つは、「英語を通じて社会貢献をする」ということです。自分がこれまでに得た知識や体験を基に、生徒たちに英語を教えて育てることや、先生方に自分の拙い経験をお伝えすること、辞書・参考書・問題集を世に問うことで学習者の便を図ることで、社会に少しでもお役に立ちたい、恩返しをしたい、というのが私の願いです。

 目的とは、自分は何のために生きているのか、自分はどういう生き方をしたいのかを考え続けて、その中でやっと見えてくるものです。自分の目の前の仕事を精一杯やり続け、毎日の実践を真剣に続けて行く中でようやく見えてくるものです。高い目的を持って、それを志に高めて、ぶれないで生きたいものです。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする

「いい風呂の日」

 今日11月26日は、【1126=イイフロ(いい風呂)】という語呂合わせから「いい風呂の日」です。毎年11月26日は「いい風呂の日」として、日本の入浴文化を再認識する日となっています。これは、浴用剤の有効性や安全性、品質確保に関する活動を行う日本浴用剤工業会が日本記念日協会により正式に登録、認定された記念日です。11月下旬になると、寒さが増し、心身の疲れを癒すためにもお風呂に浸かりたいという人が増えることもこの記念日を後押ししています。この「いい風呂の日」は、入浴剤の効用とその普及を促進することを目的としています。入浴剤は、ただお湯に溶かすだけでなく、疲労回復やリラックス効果をもたらすため、現代のストレス社会において非常に重要な役割を果たしています。特に、肩こりや腰痛などの症状を和らげるために、多くの人々が日常的に利用しているのです。また、入浴剤には香りや色による気分転換効果もあり、お風呂に入ること自体が癒しの時間となり、心の健康にも寄与することが期待されます。こうした背景から「いい風呂の日」は、入浴剤の重要性を再確認する良い機会となっているのです。

▲八幡家のお風呂(パナソニック製)

 12月を目前に控え一段と寒さが厳しくなり、「お風呂」は体がポカポカ温まり、心がリラックスする空間ですね。私は自宅を建てた時に、書庫」(尊敬する渡部昇一先生の影響)「お風呂」の二つだけはこだわって、大金を使いました。特に「お風呂」は学校から夜遅くにクタクタで帰ってきて、体の疲れを取ってくれる唯一の空間ということで、目茶苦茶にこだわったんです。家はミサワホームに建ててもらいましたが、「お風呂」だけはミサワの出来合いのユニットバスに満足できなかったので、ずいぶんとショールームを回りました。何度も各所を回りながら、米子パナソニックのショールームに出かけた時に、「これだっ!!」一目で気に入ったバスルームを見つけました。私の大好きな淡いブルーの人造大理石浴槽は、ちょっと変わった形が気に入りました。体を浸かって両足をゆったりと伸ばすことのできる広さも気に入った点です。ジェットバス美泡湯機能、ミストサウナ冷暖房乾燥ヒーリングライト、音楽、シャワーと、至れり尽くせりです。すぐに契約をして、取り付けてもらいました。人の縁とは不思議なもので、パナソニックの担当は私が松江南高校で担任した女生徒でした。ミサワホームの所長さんが、「こんなにお風呂にお金を使う人は初めてです」と言われました。一度壊れて動かなくなって、天井裏の機械を取り換えてもらいましたが、その際に「部品の生産をもうしていないので、修理することができませんから大切に使って下さい」と釘をさされているので、大事に使っています。

 11月21日(金)にBSフジで放送された「華丸大吉が行く 大人もハマる神授業」では、二人がバスクリンつくば研究所「ぽかぽか入浴学」を学ぶものでした。今や浴室保有率95.5%のお風呂大国の日本。寒くなるこれからの時期には、ただ温まるだけではなく、入浴することで得られる驚きの健康効果を解説していました。

 科学で解明された入浴の驚きの健康効果があり、お風呂につかると得られる健康を保つ3つの作用を学びました。①温熱・・・お風呂のお湯は体温より熱いので、そこから熱をもらって血流がよくなる。 ②制水圧・・・水に浸かると水圧がかかる。ウェストでいうと3センチから6センチくらい縮まるので、血流がよくなる。 ③浮力・・・水の中の浮力で体重が9分の1から10分の1くらいになるので、常に受けている関節や筋肉への重力から解放されてリラックス効果につながる。深く沈めば沈むほど浮力を受ける。そして理想の入浴方法としては、①湯温は40℃前後、②時間は10~15分、③就寝90分~120分前、④全身浴、が体に良いことが分かっています。さらに家で温泉気分を楽しめる名湯を再現する入浴剤の秘密を勉強しました。浴槽がいくつも並んだ入浴評価室で6つの温泉入浴剤を当てるクイズに挑戦し、華大の地元・福岡にある原鶴温泉入浴剤作りを体験しました。バスクリン社に二人しかいない調香師のお仕事が紹介されました。

 私は毎日の入浴剤にほとんどバスクリン社のものを使っています。「きき湯」「アーユルタイム」「夢ごこち」「日本の名湯」などです。少しショッキングなニュースが入ってきました。昭和の入浴シーンに欠かせなかった「バスクリン」を製造する株式会社バスクリンが今年12月31日をもって事業終了すると発表しました。来年以降はアース製薬の完全子会社となり、「バスクリン」「きき湯」「日本の名湯」などの入浴剤事業は親会社のアース製薬に引き継がれるとのことです。

▲この中の「山代」がお気に入り

▲パソコン疲れで凝り固まった首・肩に効く最近の私のお気に入りの「デジケア」

 バスクリンの歴史には古いものがあります。「津村順天堂」の創業者・津村重舎が1893年、東京・日本橋に漢方薬局を開いたのが始まりです。1897年に津村の出身地で伝承された秘薬を元に日本初の入浴剤、婦人保健薬「くすり湯 薬剤中将湯」を発売しました。津村順天堂は2006年に、漢方薬を扱うツムラと生活商品を扱うツムラサイエンスに分社化し、ツムラサイエンス社は2010年に現在の株式会社バスクリンに変更しています。「事業終了」と聞くと、経営不振や倒産といったネガティブなイメージを抱きがちですが、今回のケースは全く異なります。今回の事業終了は、完全親会社であるアース製薬株式会社との合併に伴うものです。一言でいうと「合併による成長戦略」、つまり未来に向けた前向きな経営戦略の一環なのででしょう。私が普段から愛用している「バスクリン」「きき湯」「日本の名湯」「アーユルタイム」「夢ごこち」などの製品は、アース製薬が責任を持って引き継ぎ、これからも大切に育てていきます、と明言しています。つまり、ブランドや製品はそのままアース製薬に引き継がれ、生産も販売も継続されるのです。あー、よかった。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする

心温まるいい話~共通テスト第6問

 来年の「共通テスト」【第6問】(物語文)「心温まるいい話」が出題されると、八幡は予想しています。最近の出題例を詳細に検討し、「令和7年度大学入試共通テスト問題評価・分析委員会報告書」をじっくりと読んでみての予想です。今年度の「追試験」第6問の問題がまさにそうでした。私はいい問題だと思いました。「追試験」は本番のリハーサルになっていることが多いので、来年の本番はこのような「心温まるいい話」が出題されるものと踏んでいます。私は以前から言っていることですが、本番の予想には必ずしっくりと目を通しておくことが必要です。今日は生徒たちにこの追試問題を解いてもらいました。

▲2025年共通テスト追試験第6問

 ある男の子が一人で祖父母のところに旅行することになり、その道中で起きたことに関する物語を読み、ワークシートを完成させるという設定です。資料を読んで適切なイラストを選択したり、登場人物の感情の移り変わりをたどったりするなど、よくできた設問だと感じました。約720語で4つの設問。英文の量・難易度共に標準的で、設問数とのバランスも適切であると思いました。先生方にオススメしておきます。

 しかしながら、「令和7年度大学入試共通テスト問題評価・分析委員会報告書」では、この問題に対して幾つかの疑義と改善点が述べられています。まずは、英文で書かれているのに、日本国内と思われる場面設定は不自然に感じる、という点です。日本国内が舞台となっていると思われる物語を、英語で読ませることの不自然さが指摘されているのです。果たして不自然でしょうか?しかし私はそれは大きな問題にはならないと思います。日本の高校生に身近な設定で話が展開しているのです。

 問1に関わるワークシートの「Draw a picture that best shows  Hiroki and the “chocolate woman after she had gotten on the train.という指示のbestはワークシートの指示としては不自然だと感じる」という点も指摘されていますが、私には全く問題ありません。英語の試験・教科書・説明文でもよく使われる自然な表現です。この問いは物語文のある場面をイラストで答えさせる問題です。第4段落の“I moved my backpack from the aisle seat.”(aisleがキーワード)と“I retreated away from the left armrest and shifted my body toward the window.”の部分でほぼ正答は一義的に決まるので設問に問題はありませんが、“As she sat down, she spread her arms and legs into the space I had occupied before.”という部分が、心温まる物語の善良な登場人物が取る行動と余り結び付かないものではと疑義が表明されています。正解の根拠となる老婦人の行動(腕と足を広げて席に座る)について、「心温まる物語の善良な登場人物が取る行動と余り結び付かないものであった」という指摘です。これも私は特に疑義を感じませんでした。女性のイラストを見ればさほどひどい姿勢とは見えません。疲れている時など手足を伸ばして座ることはよくあります。問題作成部会は「解答には影響が及ばないとはいえ、受験者に読ませる文章の質をより高いものにするため、この指摘を今後の問題作成に生かしていきたい。」とのコメントをしています。私はそれよりも正解選択肢のイラストの少年の描写が、実に細かくよく描けている点に感心しました。じっくりと見てみてください。

 問2は、生徒が苦手とする事象の時系列の理解を問う問題です。この時系列整理問題は選択肢を先読みして、日本語で簡単にメモしておくだけで、効率的に解くことができます。選択肢④の英語を理解するのに高い力が求められたと考えられます。③が偽肢であることは明白ではありますが、④の“She shows interest in something else to make things less awkward.”という英文が、やや分かりにくかった受験者は少なくなかったと思われます。そしてそれが第7段落の“… then she took out her phone and started tapping on it”の部分との対応を見抜く問題です。上手い「抽象化」の言い換えです。④の内容と必ずしも結び付かなかった受験者もかなりいたと思われます。「もう少し明瞭な選択肢でも良かったと思われる」との意見がありますが、私は難易度を上げるためにこの言い換えを考案した出題者の意図は、よく理解できます。

 問3では、登場人物ヒロキとチョコレートの女性の性格を本文から読み取る力が求められました。 英文の内容から登場人物の特性を問ういい問題でした。

 問4は、ジュンコがヒロキに対して感動した理由を問う問題で、“You’ve handled this situation in a way that’s beyond your age.”(年齢以上にしっかりとふるまった)の抽象化であり、本文の正確な読解ができれば正答を得ることのできる問題でした。選択肢にも紛らわしいものはありませんでした。総じて私はよくできた、それでいて「心温まるいい話」だったと感じています。

 過去の「センター試験」には、この種の実に「心温まるいい話」がたくさん出題されていたので(私一番のお気に入りは2000年の第6問)、私はそれらをストックして日頃の演習に利用しています。♥♥♥

カテゴリー: 英語指導に関して | コメントする

「ランチェスターの法則」

 今日取り上げるのは、「ランチェスターの法則」というものです。「ランチェスターの法則」とは、簡単に説明すると「強者」と「弱者」がそれぞれ取るべき戦略を示した考え方で、第一次世界大戦時での軍事作戦をもとにして生まれたビジネス戦略です。別名を「戦力二乗の法則」といいます。二つの法則があります。

「第一法則」は、またの名を「一騎打ちの法則」といいます。1対1で戦う一騎打ちをイメージした法則で、同じ性能の武器を使用している場合には、兵士の数が多い方が勝ち、兵士の数が同じ場合には武器性能が高い方が勝つ、というものです。

「第二法則」は、またの名を「集中効果の法則」といいます。これは、1対1の一騎打ちではなく、1人で複数の相手を同時に攻撃できる、またはある集団が同時に複数の相手に攻撃できる場合のもので、広範囲で戦う広域戦と遠方から戦う遠隔戦をイメージしています。計算式で表すと、「戦闘力= 武器効率(質)×兵力数の2乗」となり、兵士の数が多いほうが圧倒的に有利です。

 兵力と火力の積の小さいほど、戦闘をするたびに加速度的に損害が大きくなり、結局は敗けるというものです。例えば、戦闘機100機と50機が戦うと、二乗の法則が働き、50機の方は全滅し、100機の方はわずか14機の損害ですむというのです。戦力を分散させずに、ここぞというポイントに集中させた方が勝つというのは、誰にでも分かる戦術ですね。この法則をビジネス界にあてはめてみると、ライバル会社に勝つには特定の分野に資本も労力も集中させた方が良いということです。しかもこの法則に従えば、たとえ小企業とはいえ、特定の分野や地域に全戦力を集中させれば、限定つきとはいえ、大企業にも勝ち得るということになります。現実に、経営者の中にはこの一点集中法で成功をおさめた人が多いのです。これが「ランチェスターの法則」です。

 例を挙げてみましょう。スポーツ用品業界で躍進著しいアシックスは、そもそもはバスケットシューズで売り出した会社でした。というより、業界の最も弱い部分をバスケットシューズと見抜いた鬼塚喜八郎(おにつかきはちろう)社長は、全社をあげてそれを集中的にセールスしました。大企業の盲点を突いたのです。そしてとうとう、バスケットシューズ市場で全国制覇を成し遂げます。鬼塚社長は自らのこの商法を「錐もみ商法」(きりもみしょうほう)と名付けました。どんなに分厚い板でも錐を使って一点に集中すれば、必ず穴が開くという意味です。こうして一つの点を制覇して、線、面へと業容を拡大していったのです。

 「錐もみ商法」とは、鬼塚会長の考え方を端的に表したもので、「経営資源が分散しないように一点集中で事を進めていく」ことを指します。 例えて言えば「経営資源とは面積で表すことができ、同じ力(面積)であっても横に広げるよりも縦に伸ばすほうが対象に刺さりやすい」ことを表しています。「オニツカタイガー」はその後、世界的ブランドへと成長していきます。その第1号は、今から50年以上も前に、実際の競技者の声をつぶさに聞きながら開発されました。文字通り、鬼塚会長が、顧客に張り付いて開発したものです。当然のことながら、出来上がったシューズは、バスケットボール競技者にとって、とても満足度の高いものでした。ところが「すばらしい商品」ができたからといって、すぐに売上げが立つほど、流通の世界は甘いものではありません。無名企業が商品を持ち込んでも、大阪の問屋は、ほとんど相手にしてくれなかったと言います。新しい問屋や小売店のバイヤーに商品を持ち込んでも、最初はてんで相手にしてくれませんでした。そりゃそうですよね。生産力も配送体制も経営姿勢も分からない企業の商品を安直に仕入れる訳にはいかないでしょう。後で聞くと、バイヤーたちは、取引のある会社(オニツカにとってはライバル企業)に「この商品どう思う?」と、感想を聞いたりしていたらしいです。無理もない話です。そこで、鬼塚会長がとった手段。それは、またもや「最終顧客に密着」することでした。最終顧客とは、バスケットボール競技者のことです。鬼塚会長は、各県の強豪バスケットボール部を訪ね歩き、「オニツカタイガー」をPRしてまわりました。また、国体、インターハイ、全国大学選手権などに積極的に出向いて、PR活動を行い、有力選手には、商品を無償提供していきました。監督やコーチは、使ってみてその良さが分かると、地元の運動具店を斡旋してくれました。そうなると運動具店も「オニツカ」を置かないわけにはいきません。すると、当然、問屋も、鬼塚(株)に注文を出さざるを得ません。競技者→運動具店→問屋→メーカー、という強力な逆流通をたどったわけです。

 バスケットボールの一流選手が「オニツカタイガー」を履いているとなると、口コミですぐに広がるのが、競技者の世界です。鬼塚会長が標的としたのは、競技者層の上層部でした。つまり、一流選手および一流を目指す選手の層です。この層を攻略することで、後は、自然に浸透していきます。結果として、競技人口の50%のシェアを獲得するに至りました。これが「錐もみ商法」です。一つの狭い市場をさらに細分化して、コツコツコツコツと攻略を目指す。あえて難しい課題に挑むことで、社内のモチベーションと技術力を高め、40%以上のシェアを獲得するまでは、その一点に集中し続ける。これが、ランチェスター「弱者の戦略」です。

 その後、鬼塚(株)は、バレーボール、テニス、登山、ハイキング、マラソン、体操、レスリングと、扱う商品を増やしていきました。もちろん、一気に品揃えを広げたわけではありません。一つ一つに「キリモミ」で穴を開けていったのです。鬼塚会長自身も病気で二度も死地をさまよいながら、懸命の経営を続けた結果でありました。お気づきかも知れませんが、この「錐もみ商法」は、鬼塚会長のオリジナルです。実は、後に、ランチェスター戦略の話を聞いて「自分のやってきたことがランチェスター戦略なんだ」と得心したということです。

 後に、(株)オニツカ、(株)ジィティオ、ジェレンク(株)とが、合併により(株)アシックスになりました。その頃には、「弱者の戦略」と共に「強者の戦略」を使う局面が出てきました。その際に、ランチェスター戦略の教えは、非常に役立ったと仰っていました。今や、アシックスは、世界的な企業です。アテネオリンピックで、マラソンの野口みずきさんが、優勝した際、靴にキスをしたのは有名な話ですね。あれは、アシックスの靴でした。一流のオリンピック選手の困難な要望に見事応えて、最高の靴を提供し、オンリーワンブランドとなりました。

 「我々は、技術ありき、生産ありき、販売ありきのビジネスをしてきた。しかし、彼らは、工場に投資する代わりにマーケットに投資している。今後、我々が飛躍するためには、見習うべきところは見習わないといけない」のだと。ランチェスター戦略では、起業にとって最も大切なことは、ナンバーワンになることで、そのためには市場を細分化して、狭い範囲にー点集中しなければならないことを説いて来ました。スポーツシューズメーカーのオニツカもまた、戦後の焼け野原の神戸でバスケットボールシューズに一点集中して起業しました。一点集中こそ、弱者がナンバーワンになる道です。では「起業は弱者の戦略で」に従って、狭い範囲でも一番になったら、その後はどうすべきでしょうか?1位の地位に安心せず、2位に対して圧倒的な差をつけたダントツの1位(ナンバーワンと呼ぶ)になるまで、脇目もふらずに攻め続けます。ランチェスター戦略では局地戦の場合は3倍、総合戦の場合は3年で√3(約1.7)倍の差、5年で√1.7(約1.3倍)をつけなさいと、しています。なぜならば、1位であっても2位との差がわずかであれば、いつ逆転されるかわかりませんから不安定な立場です。ダントツの存在になれば、無駄な競争は終わり、収益性がグッと高 まり、その地位は安定するのです。バスケットボールシューズで1位になったオニツカは、その地位をナンバーワンにするために、トップアスリート用、一般アスリート用、ジュニア用などの様々なタイプ、デザイン、サイズなど、他社がつけいる隙がないように、バッシューなら何でも揃うフルアイテム化し、不動のナンバーワンの座を獲得したのでした。その次に、バレーボールシューズに参入。同じようにナンバーワンになるまでやったら、その次はマラソンへと各個撃破で市場を制覇していったのです。このやり方をオニツカ鬼塚喜八郎さんは「オニツカ錐もみ商法」と呼びました。

 こうしてオニツカは競技用スポーツシューズなら何でも揃うフルライン化して、業界全体でナンバーワンとなりました。こうなると戦いの局面は変わり、ライバルはアディダスなど世界のメーカーです。鬼塚さんは決断します。オニツカは国内スポーツウェアメーカー2社と合併し、アシックスとなるのです。今日、アシックスはスポーツシューズメーカーとしては国内ナンバーワンで世界でも4大メーカーの一角です。総合スポーツ用品メーカーとしても、ミズノとならぶ国内2大メーカーの一つです。1位になったら、ナンバーワンを目指す。そして次の分野でナンバーワンを作る。実は、この考え方は「強者の戦略」です。1位であれば零細企業であっても強者の戦い方、すなわちライバルにつけいる隙を与えない戦い方をしなくてはならないのです。「起業は弱者の戦略でナンバーワンを目指す。1位になったら強者の戦略へ切り替えよ」です。今日は「ランチェスターの法則」のお話でした。♥♥♥

カテゴリー: 日々の日記 | コメントする