コインウォレット

▲今回購入したコインウォレット

 上の写真は最近手に入れた牛革特製の高級コインウォレットです。コインウォレットはコイン・マジシャンにとって欠かせない必需品で、 毎日持ち歩くコインを、 安全かつ快適条件で保管することができます。複雑なギミック・コインやデリケートな銀貨・銅貨など、 コインはダメージを受けやすい繊細なものですから、頑丈で耐久性のある良質のコインウォレットは、 コインの寿命を大きく延ばすことができます。私は普段コイン・マジックはほとんどやらないのですが、手軽に演じることのできるギミック(仕掛け)・コインだけは、高価ですが、発売された時にはできるだけ購入しておくようにしています。発表された時に買っておかないと、後にはもう手に入らなくなってしまうことが多いんです。ただそれを手軽に収納しておく入れ物がなかなか見つからなくて困っていました。もう長年愛用してきたコインウォレット(黒色)は経年劣化でボロボロになっていたんです(写真下)。この一年間というもの、この愛用のウォレットが行方不明になってどこに行ったか分からなかったんですが、最近家の片付けをしていて、テーブルの下の絨毯の上に落ちているのを偶然発見しました。3種類の貴重な私のお気に入りのギミック・コイン(約3万円相当)を入れていたので、見つかってくれてとても嬉しかったです。長い間放置されていたので、コインの表面にはホコリがついてくすんだ色に変色してしまっていましたが、そこはO・P・Iコインクリーナー(写真右)を使って磨いてピカピカになりました。硬貨が汚れて見えるのは、表面で化学反応が起き薄い膜ができた状態になっているからです。貨幣に使われた成分が、空気中の酸素や水分、手の汚れなどと結びついて化学反応を起こし、硬貨の表面に薄い膜を作り、その膜が黒ずんで見えているのが汚れの正体です。まずこのクリーナーの粗い面で磨き、その後裏の細かい面で擦って磨けば、簡単に汚れたコインがピカピカの光沢あるコインに戻りました。常にこのクリーナーをカバンに入れておき、演技前にはきれいなコインで演技をすることができます。今回はうってつけのコインウォレット(茶色)が見つかりました(写真上)。

▲長年の使用でボロボロになった愛用のコイン入れがひょんな所から出てきた!

 ボタンが見えない実にすっきりとしたデザインです。シンプルな長方形の外観と、隠れた留め具により、 ポケットにすっぽりと収まり、 身軽に移動することができます。外寸は約6cm×4.8cmで、 ハーフダラーサイズのコイン6枚、 またはワンダラーサイズのコイン4枚程度を簡単に収納できます。この容量は、 一般的なコイン・セットを収納するのに十分ですね。コンパクトなサイズに大容量を実現しています。内張りは、滑らかで耐摩耗性に優れています。金属製の留め具の裏側はライニングで覆われているため、 金属部分がコインを摩耗させる心配はありません。精巧な職人技と端正なステッチが特徴です。細かい所まで行き届いたウォレットでした。上質なレザーは、使い込むほどに経年変化を楽しむことができます。すぐに気に入りました。これに加えて今私が気に入って使っているのが、写真下の左(黒)の極小ウォレットとやや大きめの右(青)の3種類です。♠♣♥♦

▲現在私が愛用中のコインウォレット

 先日、八幡家の「蔵」を整理していて、思わぬ所から昔買った重厚なコインウォレットが出てきました。何段にも収納ポケットがあって結構な数のコインを収めることができます。くるりと巻くとコンパクトなサイズになります。このケースの中に、昔練習したものがいくつか入っていて懐かしく思い出しました。中央にスリットの入った1ドル銀貨をハーフダラー(50¢)硬貨が貫通するという現象のギミック・コインです。♠♣♥♦

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『LEAP Basic』改訂版発刊

   竹岡広信(たけおかひろのぶ)先生『必携英単語LEAP Basic 改訂版』(数研出版、1,078円税込)が出ました。5年ぶりの改訂になります。中学英単語の復習から始める4技能対応型の入門編英単語集で、「英語が苦手」「中学校レベルの英語が固まっていない」といった生徒をイメージして、「情報を最重要なものに絞った」単語集です。私は初版の時にも申し上げましたが(⇒初版の私の書評はコチラ)、他の英単語集によくあるように、親版『必携英単語LEAP改訂版』(私は今ある単語集の中では、これがベストのものと思っています)をチョコチョコと編集し直しただけの単なる簡約版ではないということです。全くの別物です。

 今回の大きな改訂ポイントは2つあります。まず第一に、見出し語を1,400語から1,600語に200語増やしています。さらに巻末付録として「+αで覚えておくと役立つ英単語」(200語)を収録しています。基礎力を確実に固め、「大学入学共通テスト」にも十分対応できる構成となりました。Part 1では〈中学英単語の復習と発信に役立つ英熟語〉(400語)、Part 2(300語)、Part 3(300語)の計1,000語をActive Vacabularyに分類し、Part 4(300語)と新たに追加したPart 5(300語)の計600語をPassive Vocabularyに分類しています。『LEAP』という書名には、Learn English Vocabulary Both Active and Passive”(英語に関わる発信語彙も受信語彙も両方を学ぶ)という書名には、英語を自在に使いこなし大きく飛躍して(Leap)欲しいという願いも込められています。また、両見返しには〈入試頻出外来語〉100語も掲載されています。第二に、紙面に掲載されたQRコードからは3種類のデジタルコンテンツ(①音声 ②解説動画 ③ドリル問題)を活用できるようになりました。昨年発刊された親本『LEAP改訂版』の流れを受け継いだものです。これによって、中学英語の復習から「共通テスト」対策までの語彙学習はこの1冊で万全となりました。

 親版の『LEAP』同様に、語のニュアンス・覚えるための工夫・使うための解説が満載です。見出語の語彙難易度をCEFRレベルで明示してあるのも格好の道しるべとなります。全Partに語のニュアンス、暗記の手がかり(語源語呂合わせなど)、重要な派生語、発音のコツ、前置詞のイメージ、などを掲載しています。ここら辺の記述は、竹岡先生ならでは親切な手引きとなっていて、Partごとにカラー刷りの紙面は実に見やすくなっています。前著同様に『活用ノート1~3』が付属教材として用意されていますから、これを本冊と一緒に取り組むことで、内容理解を一層深めることができます。私は刊行以来ずっと勝田ケ丘志学館で、この『活用ノート』を使って、「単語学習⇒英作文」の土台作りを実践しています。

 正確なニュアンスの記述には、先生の鋭い語感が反映されています。arrive at Tokyo「(東京駅)に到着する」arrive in Tokyo「東京(都)に到着する」で、atinの表すところを正確につかむことができます。基本熟語のgive ~upも「~をあきらめる ▲(今までやってきたこと)を途中であきらめる。「〔注意〕「(将来)~することをあきらめる」はgive up (on) the idea of doingと表現する」という記述で、高校生がよく間違える×My mother was ill, so I gave up going to the movies.(母の具合が悪かったので私は映画に行くのをあきらめた)がなぜまずいのかがよく分かります。これは意外な盲点です。かつて、Freeze!(動くな!)の英語が分からなくて射殺されてしまった痛ましい事件がありましたが、その用法を載せた上で、「▲(物が)凍りつく」から「(人が)(こわばって)動けなくなる」まで、と意味の広がりまで丁寧に記述しています。

 まず与えられた語義の正確さに感銘を受けます。favorite「(最も)気に入った」(※「大好きな」ではない)、relative「(家族も含めて)親戚」(※ほとんどは「親類、親戚」)、be willing to「嫌がらずに~する」▲(必要に応じて)~しても構わない(※多くが「喜んで~する」)、satisfactory「(基準をギリギリ満たしていて)満足な」、take part in~「(何かの役割を持って)~に参加する」(※大半が「参加する」)。take ~for granted「~を当然のことと思う ▲当然のことと思い、軽視する」、out of order「(公共物が)故障して」、assume「~と思い込む ▲(根拠はないが)~と思い込む」。almostという単語は、日本語で「ほとんど」と覚えるだけで、その正確なイメージをつかめていないために、間違いが起こりやすい単語です。そのことを問う問題が、センター試験試行テスト共通テストでも何度も出題されました。この単語集では、「ほとんど」と訳語を示して、~まであと少し足りない」という正確な注意書きが添えられています。また高校生が英作文でよく間違えるポイントとして、almost all people「ほとんど全ての人」には([×]almost people)という注意書きが添えられています。ここら辺を押さえて初めてアウトプットにつながります。竹岡先生の豊富な受験指導経験が凝縮された記述ですね。似たような意味の単語の使い分けが丁寧に解説してあるのも、この単語集の特徴と言ってよいと思います。例えば、高校生が作文の時につまづく「乗る」に関しても、get on~「~に乗る ▲「(立ったままでも乗れそうな大きい乗り物)に乗ること 〔頻出〕目的語にはa train「電車」、 a  bus「バス」、 a plane「飛行機」、 a ship「船」などが置かれる」get into~「~に乗る ▲(身体を曲げて比較的小さな乗り物)に乗り込む 〔頻出〕目的語にはa car「(自家用)車」、 a taxi「タクシー」などが置かれる」と有用な解説が見られます。

 感心した点です。ワンポイントアドバイス20に「語中の-y-について!」の記述は勉強になるでしょう。こんなことまで書いてある参考書は稀です(例外は恩師の安藤貞雄『基礎と完成新英文法』)。ワンポイントアドバイス18 「「問題」に対する英語!」issue/ problemも高校生がつまづきやすい問題です(⇒私の考えはコチラです)。envyに載せられた「〔注意〕会話では「あなたが羨ましい」は“Lucky you!”と表現するのが自然」という記述は、作文でそのまま“I envy you.”としてしまう生徒が多いことを考えると素晴らしい注意書きです。in front of~に挙げられた〔注意〕も高校生が陥りやすい間違いを正してくれます。owing to「~が原因で」(*堅い表現)もbecause of~=owing to~=due toと機械的に暗記することの注意点を喚起してくれます。after allの位置(文頭・文末)による意味の区別も読解では最重要な点です。exerciseに挙げられたコロケーションの記述は辞書編集の観点からも実に奥深いものを感じます。

 この単語集では「カタカナ表記」が採用されています。これに関しては先生方にもいろいろなご意見があると思われますが、初学者・英語の苦手な生徒にとっては、発音記号は読めませんから、背に腹は代えられません。2008年にノーベル物理学賞を受賞された益川敏英先生の英語嫌いは有名で(中学1年生の時から)、授業中に先生に当てられた時にマネー(money)という単語を『モーネー』と読みました。するとクラス中が大爆笑に。先生までもが『モーネーか。確かにお金はすぐなくなるよな』とからかいました。それですっかり「英語は性に合わん!」と捨ててしまわれたのです。そんな話を聞くにつけ、カタカナ表記もやむを得ないのかもしれません。

✔ 「理想的な単語集」であることは論を待ちませんが、sufficient「十分な ▲enoughより堅い語」(※ His income was sufficient to support his family.(彼の収入は家族を養うのにはどうにか足りた)〔ライトハウス英和〕の訳文を参照のこと。⇒私の考えはコチラ)、utilize「~を利用する」(※私なら「最大限活用する」とします。⇒私の観察はコチラ)、elderly「年配の ▲年配の、年老いた(old, aged)の丁寧で遠回しな表現」(※英語の変化が観察されます。⇒私の考えはコチラ)、do one’s best「全力を尽くす」(※ ⇒私の考えはコチラ)、various「様々な」(※⇒私の考えはコチラ)に関しては注文を付けたいところです。

 英語の勉強は単語に始まり単語に終わります。従来(今も各所で?)行われてきた「丸暗記」の勉強(英単語=日本語の一対一対応)では、決して英語に強くなることはないでしょう。その理由としては、①まず退屈で面白くありません。②英単語=日本語で機械的に覚えていくと、両者のズレに気づくことがありません。③全て覚えたとしても、それ以上にはならず応用することができません。竹岡先生は高校時代に英語が嫌いだったと聞いたことがあります。何の理屈もなしにただただ覚えることには強い反発を覚えられたのでしょう。先生の数々の著作は高校時代にこういう本があったら自分も英語が好きになれたのになあ、という思いで作っておられるのでしょう。

 著者の竹岡広信先生自身が、『CHART NETWORK英語』No.107に、「『改訂版 必携 英単語LEAP Basic』の刊行によせて」(2025年9月)として、この単語集の執筆に対する熱い思いを語っておられますので、ぜひお読みください。⇒コチラです  入門期に『必携英単語LEAP Basic改訂版』を用いて基礎を固め、必携英単語LEAP改訂版』につなげるというのが、私の描く理想の単語指導となっています。親版の必携英単語LEAP改訂版』同様、みなさんに広くオススメしておきますね。♥♥♥

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otherwiseをどう覚えるか?

     難関大学の入試問題を演習していると、「その他の点では」「別の方法で」という意味のotherwiseがよく出てきます。力のない生徒はその文をたいてい「もしそうでなければ」と訳して、つじつまがあわなくなって困り果ててしまいます。そうです、otherwiseには、①「もしそうでなければ」(=if …not)の他に、②「その他の点では」(= in other ways)、③「別の方法で」(= in a different way)、という三つの意味があることを頭に入れておく必要があるんです。私はここで生徒に尋ねます。「何でこんな意味が出てくると思う?」 丸暗記では限界があります。これらを丸暗記してもすぐに忘れてしまうことでしょう。授業ではこういうことをいつも生徒と一緒に考えています。私が理想の単語集として評価する『LEAP』改訂版(p.304)では、「①さもなければ ②ほかの点では ③ほかの方法で」と記述し、other-「ほかの」+-wise [=way 方法、点]」として成り立ちを解説しているところが素晴らしい点です。ただ私ならもう一歩進めて、wise←way+sと踏み込みたいところです。 

 otherwise は、歴史的にother + ways  ← other + way + sから派生した単語です。最後の-sは副詞の状態を表す語尾の-sで、英語にはかなり見られます。always, sometimes, nowadays, besides, towards, indoors, outdoors, perhapsなど、みなそうですね。 -s は、古英語の属格の転用であろうと考えられていますが、中英語の段階で副詞形成語尾になりました。またonce, hence, whence, since などの -ce-s の変形です。この話をすると生徒たちは「エーーッ、そうだったのか!」意外という顔をします。今まで知らなかった(未知)事項が、自分の知っている世界(既知)と結びついた時に、進歩が生まれます。この「副詞のs」が理解できると、思わぬ波及効果も期待できます。

 そこで、wayがいろいろな意味を持つ(「状態」「点」「方法」)ことに着目すれば、「他の状態では」⇒もしそうでなければ」、「他のでは」⇒②「その他の点では」、「他の方法」⇒③「別の方法で」、と考えれば一目瞭然ですね。このことを説明した後で、忘れないように「別の 点 なければ」と、語呂合わせで覚えておくように指導しています。ちょっとしたことなんですが、これが大きく物を言うことがあるんです。このことは、clockwise(時計回りに) crosswise(斜めに)が出た時にも応用できますね。

 私が尊敬する故・渡部昇一先生『人生の出発点は低いほどいい』(PHP研究所、2007年、2014年に復刊)にはこんな記述がありました。この本を私は何度も何度も読み返しています。♥♥♥

 これは大学の先生に限らないのですが、教師が常に忘れてはならないのは、教育熱心であることと熱心に教えることは違うのだ、ということです。
 教育の主目的は、学生が自主的に学ぼうと意欲を誘いだすことです。と同時に、教師は学問を深く修めるという大切な責務を忘れてはなりません。自分の学問を二の次にして、「教育とは、教育とは」と論じてばかりいるのでは良い教師とはいえません。あまりうるさく教えても、そうそう生徒のアタマの中に入るものではありません。むしろ「淡々」に近いぐらいでいいのです。もちろん、質問されたら、ピシッと答えることができなくてはなりませんが。
 私が学部で英文法を教えていた頃、学生たちによくこう話したものです。
 「このような英文法は、君たち自身が教えることはまずないだろう。しかし、君たちが家庭教師になったり、教壇に立ったり、あるいは塾で教える時には、生徒の中にできる奴が必ず何人かいる。そして、そいつは変な質問をするに違いない。その時、スパッと答えられるか答えられないかで、その質問した生徒の運命が決まることがある。だから、その時、答えられるためにこの英文法をやっているのだ。『十年兵を養うは、一日これを使うがためなり』と。
 英文法というのは、そういうものなのです。たとえば、「nowadaysの末尾になぜsがつくのですか」「このsは複数なのですか」というような妙な質問をする学生がいないとは限りません。その時、教師がスパッと答えられるか答えられないかが、その学生の学問的な目がパッと開くか開かないかの分かれ目になることもあります。教師というのは、そういう瀬戸際に立ち会うこともある職業なのです。私はつねづねこのことを、弟子たちに話しています。(pp.88-89)

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数研出版

 竹岡広信先生のセミナーを聴講しに、京都数研出版関西本社を初めて訪問してきました。あの「チャート式」が生まれた会社です。新たな「京都らしさ」をもつ本社ビル・数研出版関西本社京都御所・京都御苑の近く、烏丸丸太町エリアにありました。鉄筋コンクリートの建物で、地下2階、地上4階建てです。地下鉄・烏丸線の丸太町駅の4番出口を上がったすぐの所です。懐かしい社員の方達が温かく出迎えてくださいました。みなさん偉くなっておられました。

 京都発祥の数研出版関西本社ビルは、形態・色彩両面で新たな「京都らしさ」の展開を試みています。京都という街の景観を守りながらも「新しい京都らしさ」を目指した建物です。外観は、各階の庇と、編み込まれたような格子状アルミキャストによる縁側中間領域より深い陰影、内外がシームレスに繋がる空間を、色彩では、素材感を活かし、光と影が織りなす彩を表現しました。館内の随所にアートや多様なコミュニケーションスペースを設け、感性を刺激し、新たな「智」を編み出す空間を目指しました。外装は京都御所近辺の街並みに配慮している、として京都市環境配慮建築物顕彰制度優秀賞を受賞しました。2016年度SDA賞日本サインデザイン奨励賞を受賞しています。設計施工したのは竹中工務店で、新しい付加価値を持つ建築の創造に挑戦しています。

▲建物には数研の出版物が!

 会社のすぐ目の前に京都御苑が広がっていたので、入ってみましたが、行けども行けども京都御所が見えてきません。おかげで足が棒になりました〔笑〕。この日私の歩いた歩数は3万歩!!♥♥♥

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京セラ美術館「ハローキティ展」

▲京都・京セラ美術館

 「Hello Kitty展 -わたしが変わるとキティも変わる-」が、京都市・京セラ美術館にて2025年12月7日(日)まで開催されました。1974年にサンリオから誕生したハローキティは、誕生から半世紀を迎えた今もなお、世界中で愛され続けている存在です。私は毎年、東京多摩センターにあるベネッセ東京本社で開催されていたラーンズ(当時)の共通テスト」の講演の前には、お隣にあるサンリオピューロランド」に寄ってキティの世界を堪能してから会場入りしていたくらいキティ好きの八幡です。今回の「Hello Kitty展 -わたしが変わるとキティも変わる-」では、そんなハローキティの歴史を“圧倒的な物量”のグッズでたどることができます。しかも今回の展示は会場内の撮影がOK。お気に入りの展示をカメラに収めたり、フォトスポットで友達と一緒に写真を撮ったりと、SNSでも発信したくなる仕掛けが満載でした。個性豊かなアーティストとのコラボレーション展示やフォトスポットも満載で、見て・撮って・楽しめる構成となっていました。私も早速今日訪問してきました。京都水族館から向かったのですが、こちらの方面は超人気観光スポット(清水寺方面)なのでバスも超満員だ、と聞いた私は、タクシーで向かいました。窓からすれ違うバスを見るといずれも超満員で、正解でした。親切な運転手さんで、途中通り過ぎる京都の有名観光地をいろいろと案内していただきながら、無事に美術館に着くことができました(3,200円)。チケット売り場に行くと、予約時間指定制ということで、予約のしてない私は一瞬心配しましたが、運良く12時30分~の観覧に間に合って入館することができました(入館料2,000円)。ものすごい人だかりで、右も左も若い女の子ばかりです〔笑〕。

 ハローキティの展示史上最大量のグッズ展示をはじめ、個性あふれるアーティストとのコラボ作品や、楽しいフォトスポットなど魅力が盛りだくさんで、ハローキティの世界に没入できる体験型展示となっていました。会場の特設ショップでは、京都展から特別に販売されるキティグッズも満載です!展示室に入ると、まずはたくさんのキティグッズが出迎えてくれる本展。「懐かしい〜」「可愛い〜」と思わず声がでてしまいそうになる空間が広がっています。写真のバッグやリュックで、習い事や遠足に行ったという人も多いのではないでしょうか。グッズ出身のキャラクターであるハローキティは、時代や流行に合わせて変化するデザインで、長年たくさんのファンを魅了し続けてきました。会場にはそんな50年にわたるキティグッズを展示。まさにタイムカプセルのような展示でした。世代ごとの記憶を呼び起こしながら楽しめる空間は、まさに「わたしが変わるとキティも変わる」というテーマを体感できる瞬間でもあります。かつて自分が持っていた懐かしいグッズに出会えることでしょう。「これ持ってた〜!」「見たことある!」と、キティと共にかつての思い出が懐かしく蘇ります。中には「こんなグッズあったんだ!」と思うデザインのグッズまでも。さまざまな年代のキティグッズを一堂に観て楽しめる空間です。些細な日常を描いたものや、ポップな色彩で表現したものなど、さまざまなハローキティの姿を存分に堪能できました。

 本展はキティグッズを観ながら、それらを写真に撮ることができるのも魅力です。たくさんのキティグッズに囲まれて写真を撮ることができますよ。展示壁にはフォトスポットがところどころに設けられており、グッズに囲まれながら撮影できる構成になっていました。クリエイターとコラボした新感覚のキティイラストも。グッズだけではなく、30人のアーティストとコラボして書き下ろしたイラストレーション作品の展示もあります。本展のために描き下ろされた「わたしとキティ」作品です。アーティストにより同じ題材でも全く違うテイストを持つ「わたしとキティ」作品です。グッズとはまた違った、新感覚のキティを観ることができるコーナーです。ぜひあなたのお気に入りのキティとアーティストを探すことができます。さらに、キティがさまざまなブランドやキャラクターとコラボした商品展示のコーナーもあります。シンプルなお顔のハローキティはどんなものともうまく溶け合います。さまざまな企業やブランドキャラクターとのコラボで可愛い世界を増殖していました。それぞれのブランドの個性とキティの魅力が合わさった、唯一無二のグッズが展示されていました。

 たくさん写真を撮った後に待ち受けるのは、ハローキティ展最大のフォトスポット!こちらでは2タイプの懐かしい巨大キティグッズと共に写真を撮ることができます。巨大キティに抱きついてみたり、メモを書いている、または、定規で身長を測っているような、さまざまな写真が撮れるスポットです。そしてこのピンクのキティサンダル、中には「履いてた〜!」と言う方もいるのではないでしょうか。下からのアングルで写真を撮ると、巨大サンダルを履いているかのように写真を撮ることができます。

 展覧会を監修した高桑英樹さんが、来場者に向けて「キティが長く愛され続ける理由」の3つのポイントを語っています。「グッズ出身であること」「デザインが変化すること」「ファンに寄り添うこと」の3つです。

 「まず、ハローキティは“グッズ出身”のキャラクターなんです。アニメや漫画出身のキャラクターのように世界観やストーリーを持って生まれたのではなく、商品のデザインとしてデビューした。これこそがハローキティのユニークさです。

 そして、デザインが常に変化してきたこと。グッズ出身のキャラクターだからこそ、流行に合わせて色や形を変えられる。1970年代のはっきりした色味から、80年代のパステル調へ…時代に応じて変化してきたから、50年経っても新鮮に映るんです。

 最後に、ファンに寄り添ってきたこと。文具やリュックを通じて、学校や日常生活の中で一緒に喜怒哀楽を分かち合う。その思い出こそが、ファンとキティとの間の世界観なんです。世界観がないからこそ、いくらでもカスタマイズが可能。キティの世界においては、主人公はファン自身だと思います。

 京都展から販売される物欲を刺激するキティグッズもずらりと並びます。ハローキティ展の公式グッズは、オンラインショップサンリオショップでは買うことのできない会場限定販売となっています。展示の最後にあった会場特設ショップは大人気で(入れ替え制、各自商品の選択時間は10分)、その前には数百人の行列ができており、さすがの私も断念しました。♥♥♥

 

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イギリスのWord of the Year

     我が国の今年の「流行語大賞」は、高市総理「働いて働いて働いて働いて働いてまいります」でした。英国のオックスフォード大学出版局は12月1日、「今年の言葉」(Oxford Word of the Year)として、3日間にわたる3万人以上の投票により、「レイジベイト(rage bait)」を選んだと発表しました(最終候補はaura farming, biohack)。意図的に怒りを引き起こすようなオンライン上の文章や画像を意味し(「(n.) 特定のウェブページやソーシャルメディアアカウントへのトラフィックやエンゲージメントを増やすために、意図的に怒りや憤りを引き起こすために意図的に設計されたオンラインコンテンツ。」)、この言葉の使用量は過去1年で、以前の3倍に増加したと言います。読み手から苛立ちを引き出して感情を煽る、その手の記事や短文投稿はネット・SNSの閲覧数を稼ぐ常套手段となっています。直訳すると「怒りのエサ」ですが、「炎上狙い」に近いものがあります。次から次へと「餌」を求めてスマホをいじる指を想像してしまいます。

 2025年のニュースサイクルは、社会不安、オンラインコンテンツの規制に関する議論、デジタル・ウェルビーイングに関する懸念で占められており、今年のrage baitの使用は、私たちが注意をどのように与え、どのように求めるか、エンゲージメント、オンライン上の倫理について語る方法の深い変化を示すものとして進化していることに注目しました。発表によると、メディアの編集局やコンテンツ制作者間での議論でよく用いられ、ユーザーの関与を促すための戦術としても知られます。具体的には、特に「陰謀論に基づく意図的な誤情報という形」で表出するといいます。オックスフォード・ランゲージズキャスパー・グラスウォール社長は、この2025年について、テクノロジーと人工知能(AI)が日常に深く入り込み、「オンラインとオフラインの両方で『本当の自分とは何者か』をめぐる問いに特徴付けられる年だった」と述べた。その上で「ネットはかつて好奇心を刺激してクリックを得ることに注力していたが、いまは私たちの感情や反応を乗っ取ったり、影響を与えたりする方向に劇的にシフトしている」と指摘しています。昨年の「言葉」は、「ブレーンロット(brain rot、脳ぐされ)」でした。オンラインコンテンツの過剰消費によって精神・知的状態が劣化することを意味し、2年連続でオンライン関連の言葉が選ばれました。グラスウォール氏は発表で「怒りがエンゲージメントを呼び、アルゴリズムがそれを増幅し、絶え間ない『さらし』が我々を精神的に疲弊させる。二つの言葉はそんな強力な循環を形成する」と説明しています。

 「「怒りの餌」は二つの単語じゃないか?」という批判がありますが、Oxford University Pressは、「オックスフォード・ワード・オブ・ザ・イヤー」は単数形の単語や表現であることもあり、辞書学者たちはそれをひとつの意味単位として考えています。rage baitは、激しい怒りの爆発を意味するrageと、魅力的な餌を意味するbaitの合成語である。どちらの言葉も英語では定着しており、その歴史は中英語時代までさかのぼり、語源的に関連するクリックベイト(clickbait)とは類似しているが、rage baitは怒り、不和、偏向を呼び起こすという、より具体的な焦点を持っている。rage baitが独立した用語として登場したことは、英語の柔軟性を浮き彫りにしています。2つの確立された単語を組み合わせることで、特定の文脈(この場合はオンライン)においてより具体的な意味を持たせることができ、また2つの単語を組み合わせることで、私たちが今日生きている世界に共鳴する用語を生み出すことができるのだ、と説明しています。

 また、Cambridge Dictionary では、2025年の年間最優秀言葉を発表し、「parasocial(パラソーシャル)」という用語を選びました。これは、実際に知らず、人間関係も持っていない有名人や有名人と関係やつながりを築くときに、人々がどのような行動をとるかを示す、ますます一般的な表現となっています。定義はそう説明しています。「パラソーシャル:誰かが知らない有名人、書籍、映画、テレビシリーズの登場人物、または人工知能との間に感じるつながりに関わる、または関連するもの」。画面越しの有名人やキャラクターなどに対して、一方的に親近感や関係性を抱く心理現象です。最近、インフルエンサーの増加やChatGTPのような対話型AIの使用増加により、この言葉の人気が高まっているようです。この言葉は、アメリカの社会学者たちが1956年に作り出した言葉で、当初はテレビに登場する芸能人との関係性を説明するために用いられたものです。Cambridge Dictionary の編集長コリン・マッキントッシュは、パラソーシャルの選定について次のようにコメントしています。

 「Parasocialは2025年にいくつかの理由で際立っていました。今年、この用語への関心は大幅に高まりました。データからもわかるように、ケンブリッジ辞典やGoogleでの検索数が何度か急増しました。言語的な観点からは興味深いのは、学術用語から一般の人々がソーシャルメディアの投稿で使う用語へと移行したからです。また、2025年の時代精神を捉えており、セレブリティやそのライフスタイルへの一般の関心が新たな高みへと高まっているのです。」

 Word of the Year のショートリストに入った言葉については、偽名化」 と 「ミーム化」の両方が この段階に達し、「 グレージング」「バイアス」バイビー」「ブレスワーク」ドゥーム・スペンディング」 もすべてCambridge Dictionary によって追跡されていました。

 もう一つ、イギリスのハーパーコリンズ社が発行するCollins Dictionaryが選んだ「今年の言葉」(Word of the Year)は、Vibe coding」でした。「雰囲気コーディング」と訳されるこの言葉は、AIを使用して自然言語をコンピューターコードに変換する新しいソフトウェア開発手法のことです。

 今回ご紹介したイギリスの各社英語辞典が選ぶ「今年の言葉」は、全てインターネットまたはAIに関連する単語でした。現在の社会に良くも悪くも多大なる影響を与えているからでしょう。間もなくアメリカの「今年の言葉」が発表になりますから注目をしています。♥♥♥

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「倉敷一照庵」

◎週末はグルメ情報!!今週はラーメン

 京都の帰りに倉敷駅でわざわざ途中下車をして、駅直結の商業施設・天満屋の6階にある「麺酒 一照庵(めんさけ いっしょうあん)」に立ち寄ってきました。ここは、岡山市内に3店舗、倉敷市内に1店舗を構えるラーメン店です。2024年7月にオープンしたばかりの新しいお店です。天満屋倉敷店6階の飲食店が集まるフロアーの一角にあります。私は岡山の本店にもお邪魔しています。

 岡山を明るく照らし、岡山で愛されるラーメンを作りたい。そんな想いからスタートしたお店は、ミシュランをはじめ数々の賞をいただくまでに成長しました。屋号の由来は、店主が深く感銘を受けた「一隅を照らす」という言葉です。「自分が今いる場所で精一杯努力し、光り輝くこと」という意味があります。これからも先人たちが築いてきたラーメン文化に敬意を払いつつ、「一照庵」ならではの自由でクリエイティブなラーメンを生み出していこうという意気込みです。一号店となった岡山本店は、2018年(平成30年)にオープンしました。「一照庵」ではラーメンを「鶏中華そば」と呼んでおり、親鶏のうまみを感じるスープをベースに、特注の麺を使用していることなどが特徴です。「ミシュランガイド京都・大阪+岡山 2021年」では「ミシュランプレート」を獲得したほか、「おかやまラーメン博グランプリ」では2021年に1位、2022年では備前エリア3位という好成績を残しました。

 エレベーターで6階に上がり、お店に入ると、広々とした店内に、カウンター席とテーブル席が用意されています。席数が多く、家族連れやグループでも利用しやすいのはうれしいポイントですね。

 「麺酒 一照庵 天満屋倉敷店」のラーメンは、大きく4種類あります。

  • 鶏中華そば クラム

  • 鶏中華そば 生醤油

  • 鶏中華そば 塩

  • 鶏中華そば 生醤油 旨辛仕立て

いずれもこだわりの素材を使ったラーメンで、盛りつけにもこだわっており美しいビジュアルも特徴的です。

 中でも「鶏中華そば クラム」(1,180円)「一照庵」の一番人気のメニューで、同店を代表するラーメンです。各鶏中華そば共通の具材である、ミツバ・ネギ・極太メンマ・半熟塩玉子・低温調理された豚と鶏のチャーシューが入っています。ネギ白髪ネギです。これに加えて、刻み生赤タマネギ・刻み海苔が載っています。「クラム(二枚貝)」という名前のとおり、鶏スープに、8㎏以上のハマグリ・アサリ・シジミのダシをブレンドしています。さらに香味油として自家製ホタテ油を使用。これによって、鶏と貝の驚くほど濃密な調和を楽しめるのです。ハマグリ・アサリ・シジミのだしをブレンドしたスープに、全粒粉を練り込んだ中太麺を絡ませると、上品で凝縮された貝のうま味がふわっと広がります。香味油のホタテ油からくる香ばしさがアクセントになっています!スープは、透明感のある薄ベージュ色です。飲むと鶏のうまみと貝の風味が絡み合った、奥深い味わいが広がります。何度もすすってしまうほど、クセになる味です。麺は中太麺を使用して「12番丸刃」を使って製麺された特注の中太麺で、クラムだけに使われています。モチモチとした麺の食感は、スープとの相性が抜群です。スープと海苔タマネギと一緒に食すことによって、違った味わいを楽しめます。また海苔の上には貝むき身のガーリックペーストが載り、鶏チャーシューの上にはホタテの干し貝柱を粉末状にしたものが載っていました。実に手が込んでいて、味変ができます。まるでラーメンでフルコースを味わうような体験をして欲しいという想いが込められていて、その言葉通り、三つ葉、ネギ、味玉、玉ネギ、メンマチャーシューなど10種類のトッピングが上に乗っかっています。半熟卵が難ともいい味を出していました。

【左】貝のむき身のガーリックペースト、【右】ホタテの干し貝柱の粉末

【左】貝のむき身のガーリックペースト、【右】ホタテの干し貝柱の粉末

これらをスープに少しずつ溶かしていくと、スープの味わいがさらに微妙に変化していくのです。最後までラーメンを楽しむことのできる工夫をしていることが感じられます。「鶏中華そば クラム」は、実に満足度の高いラーメンだと思いました。さっぱりとした出し汁の旨味はもう癖になる味です。すっかり魅了されてしまいました。

 それともう一品。どうしても外せないのがこのお店一番人気の「麺屋のポテサラ」(550円)です。いぶりがっこを(大根を燻製にして漬け込んだ発酵食品です。スモーキーな香りが特徴で、パリパリとした食感を楽しむことができます)入れています。ゆで卵を崩し、混ぜ混ぜして、出来上がり。濃厚なポテサラの旨さの上に、秋田名産いぶりがっこのコリっとした食感がたまりません。クセになる美味しいポテサラです。ベネッセ中村友樹さんに教えてもらったお店ですが、私は今までにこんなポテトサラダは食べたことがありませんでした。♥♥♥

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特急「ソニック」の耳

 昔、大分に向かう時に、博多駅から初めて「特急ソニック」883系に乗り、その車内に入った途端に驚かされました。アルミの床に、グリーンとブルーのメタリックカラーの壁、その向こうに客室を仕切る曇りガラス。まるで宇宙船であるかのようです。さらには飛行機のコックピットのように格好の良い運転席、そしてその運転席の後ろは木製のベンチシートのあるパノラマキャビン。それまでこんな列車を見たことがありませんでした。弧を描く木製のベンチシートに腰掛ければ、さらなる不思議の国への扉が開かれます。この電車はJR九州で初めて急カーブ対策の振り子システムを導入して、1995(平成7)年に登場しました。人の目を引き、好奇心を持たせ、乗った人を楽しませることに力が注がれました。登場時の883系は塗装のバリエーションが豊富でしたが、リニューアル時に全面的にメタリックブルーに塗装されました。

 当時この列車は、鉄道デザイナーの水戸岡鋭治(みとおかえいじ)さんによって設計されたことを知り、いっぺんでファンになりました。かつてこの路線を走っていた列車の雰囲気は、相当荒んでいたそうです。とてもよいとは言えないデザインでメンテナンスもあまりされていない列車で、夕方になると車内で酒を飲んでいる人が結構いたし、さきイカが床に落ちているのが当たり前といった感じで、ゴミも至る所に目立っていたそうです。そんな空間に居れば、人はどうしてもどうでもいいやという気持ちになってしまうでしょう。関係者からは、「水戸岡さん、ここでカッコをつけた列車をデザインしてもダメですよ。何をやっても無理だから」と言われたそうです。しかし、「日豊本線のイメージを変えるために、いまだかつて見たこともない車両を作りたい」と、水戸岡さんはなおざりにされていた空間を整理整頓して、「ワンダーランド・エクスプレス」のコンセプトで、楽しい空間を作り、沿線の活性化を求めたいと思ったそうです。楽しい空間を作れば、どうでもいいやといった運用・利用の仕方にはならないだろうと、車内のゴミを拾いながら思ったそうです。「どうせデザインするなら徹底的にやってやろう、全く新しいオリジナルな空間を作ろう」と決意しました。

 全ての部品の細部まで完全に100%オリジナルで、時間と手間を惜しまずにハンドル一つ、ビス一本に至るまで自分でデザインをしました。全く新しい空間をということで、音楽を聴く装置も導入しようとしていました。車内に入ると、2-2列のリクラインニングシートに、ミッキーマウスの耳のような座席が並んでいるじゃないですか(写真下)!まるで動物たちが出迎えてくれるような座席に心が弾みます。シートの上部にはクマの耳のようなユニークなヘッドレストが設けられています。その色はグリーン車では、普通車は赤、緑、青と実にカラフルです。原色を基調としながらヘッドレストを動物の耳をイメージしたものにしてあるのです。もたれると頭がしっかりとホールドされて快適に座ることができます。これは当初は一種のヘッドホンとして企画されたもので、列車の座席で音楽を楽しめるように、「ソニック=音速」という言葉とかけたアイデアだったそうです。しかしどうしても音が漏れてしまうということで取りやめとなり、ヘッドレストとしてそのまま残ったというわけです。「鉄道友の会」が選定する「ブルーリボン賞」をはじめ、「グッドデザイン賞」「ブルネル賞」*も受賞している私の好きな名列車です。製造されてからずいぶん年月が経過しているせいか、今乗るとずいぶん傷みを発見することが多いのは残念です。♥♥♥

▲クマの耳のようなヘッドレスト

*ブルネル賞・・・鉄道関係の施設やサービスを対象に選定される国際デザインコンペティションで、1985年(昭和60)に創設されました。その後、2~3年ごとにコンペが実施されています。2014年の「第12回ブルネル賞」を最後に、主催団体の資金不足などにより開催が途切れていました。今年、近代鉄道の歴史が英国で始まってから200年を迎えるのを記念して(英国では1825年9月27日、世界で初めて蒸気機関車(SL)に客を乗せて運行)復活しました。賞の名称は19世紀に活躍した英国グレート・ウェスタン鉄道の技師であるイザムバード・キングダム・ブルネル氏にちなんでいます。

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渡部昇一先生のエピソード(43)~2億円の借金

▲渡部先生の最新刊

 故・渡部昇一先生は、喜寿になる77歳の時に二億円を超える借金をして、現在の家を建てられました。巨大な2階建ての書庫を作って、世界に誇る自分の全蔵書(15万冊)を書棚に飾り、全蔵書と対面してから死を迎えたいと願われたからです。前の家にも書庫はあるにはあったのですが、本がだんだん増え続け、ついには応接室にまで本が溢れ出して、そのせいでホームパーティの開催も不便になってしまいました。本に深い理解のあった奥様の迪子(みちこ)さんまでもが「この家には本権はあるけれども人権がありません」とこぼし警戒感を示すようになられました。誠にもっともな主張でした。新しい家ではピアノ(奥様はピアニストです)を二台置ける応接室も作ったことで、ようやく人権も保証されることになりました〔笑〕。普通は、その歳では銀行もなかなかお金を貸してはくれないのでしょうが、土地があったので、それが担保になりました。幸運なことに、先生の若い頃は高度成長の時代でした。だから結婚後、すぐにローンを組んで、土地を買い、家を建てることもできました。毎年毎年、日本の経済が成長して給料も上がるので、ローンも割りと早く返済することができます。そうして求めた土地が担保となったのですから、ありがたいことでした。また、現役時代ほどではないにしても、退職後も収入があったし、借金に見合うだけの貯金もありました。だから、万が一のことがあって借金が返せなくなったとしても貯金で返せば、奥様が家を取り上げられることもないだろうと思っておられました。「わが家に多いもの四つあり。読んでいない本、見ていないDVD、弾いていないピアノ、返していない借金」などと家族で冗談を言って笑っておられましたね。聖書の「明日のことは明日のこと、明日のことを今日心配する必要なし」の聖句どおりで、思えば先生はひたすら借金を重ねる人生を送ってこられました。先生の子供さんたちはみな音楽家になられましたが、そのためにも随分お金が入り用だったのです。お嬢さんはピアノ、息子さんたちはチェロとヴァイオリンですが、弦楽器などは楽器代がべらぼうに高いうえに、子どもさんの成長に応じて買い替えていかなくてはいけません。さらにレッスン料だってバカになりません。それでどんどん借金をしていかれたのですが、借金をする折に保険にさえ入っていれば、何かあっても迷惑をかけることもないだろうと腹を括っておられました。その意味では、借金慣れしておられるともいえます。ですから、喜寿で二億を超える借金をするような蛮勇がふるえたのかもしれませんね。

 こうして巨大な電動化された書庫(2階建て)を作って、自分の全蔵書を書棚に飾り、「全蔵書と対面してから死にたい」という夢を実現されたのでした。先生のイメージした書斎は、15万冊の蔵書(個人の蔵書としては世界一)が全て収容できるものでした。蓄えを吐き出し、さらには借金までする。「たかだか書斎にそんな投資をして」と、常識的に考えて、経済合理性、経済効果といった判断基準を持ち出せば、なんと愚かな選択と思われるかもしれません。しかし先生にとって優先されるべき大事なことは、これからの晩年をいかに生きるか、しかも楽しく生きるためとなれば、「書斎の新築」に迷いや躊躇などは一切ありませんでした。渡部先生にとって「楽園」ともいうべき書斎の新築は、晩年の知的生活のために欠かせないものでしたし、95歳まで生きようと思っておられた(『95歳へ!―幸福な晩年を築く33の技術』(飛鳥新社))先生にとっては(86歳でお亡くなりになりましたが)、絶対に譲れないものでした。寿命が来て、新築した書斎に仮に一日しか居られなかったとしても実行しただろう、と渡部先生はおっしゃっておられました。次の言葉は、当時渡部家で当時飛び交っていたものです〔笑〕。歳をとったからといって自分のやりたいことをあきらめる必要はない、ということを強調しておられました。

本の引っ越しにね、五百万円もかかるらしいのよ」 「渡部家の崩壊は本の崩落から始まる」 「地震がきて、崩れ落ちた本で圧死するなら本望!」 「うちにはねえ、本の権利、本権はあるけれど人権がないのよ!」 ♥♥♥

▲渡部昇一先生の書斎

 

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「アレキサンドライト」

 しばらくの間離れて聴いていませんでしたが(彼女も三児の母です)、先日久しぶりに一青 窈(ひととよう)さんのライブを観ていて、なぜかジーンと心に染みて記憶に残った一曲がありました。7月に出た新曲の「アレキサンドライト」です。作曲は、あの名曲「ハナミズキ」を共に生み出した盟友・マシコタツロウさんです。編曲には、「もらい泣き」「ハナミズキ」など、数々のヒットソングを手がけてきた音楽プロデューサー・武部聡志(たけべさとし)さんが参加しています。この曲は友人を励ますために一青 窈さんが詩を書き下ろしたものです。光によって色を変える石「アレキサンドライト」のように、本来あなたが持っていた輝きを取り戻して欲しい!自分よりも誰かを大切にして生きてきた、全ての女性に贈る「力をくれる歌」です。いつもながら、胸にグサッとささる歌詞や、音色たちに目頭が熱くなりました。これまでに自分の人生は何だったんだろうと思う時、無性に淋しくなることありますね。そんな時がんばったよ、と認めてくれる応援歌だと思いました。いい歌です。

 1830年に、ロシアのウラル山脈で発見されたアレキサンドライト。発見されたアレキサンドライトは極めて上質で、最初はエメラルドだと考えられていました。しかし夜になると色が変化したため、エメラルドではない新しい石であることが分かったのです。この石は、4月29日に当時のロシア皇帝だったニコライ1世へ献上されることになりました。この4月29日は、皇太子であったアレクサンドル2世が成人を迎える12歳の誕生日であったことから、「アレキサンドライト」と命名されたと伝えられています。アレクサンドル2世は、その後にロシアの農奴を解放した皇帝として知られている人物です。アレキサンドライトは、未来の皇帝の誕生日に発見されただけでなく、ロシアの旗や軍服に使用されていた赤と緑に変色する性質であったことから、ロシア国内で大変人気の石となりました。アレキサンドライト最大の特徴は、当たる光によって色が大幅に変わることにあります。当たる光によって色が変わる石は他にもありますが、アレキサンドライトの変色効果は独特で、「アレキサンドライト効果」と呼ばれるほどです。アレキサンドライトは、珍しい光吸収の特性を持っているのです。青から紫、黄色などを吸収し、緑色と赤色はほとんど同じ割合で反射します。太陽光や蛍光灯などの5,000K以上の色温度となる光に当たると緑色、ろうそくの光やランプ、白熱光など、5,000K以下となる色温度の光に当たると赤色に見える仕組みです。宝石としての魅力は、劇的に変わる色をそれぞれ楽しめる点にあります「昼はエメラルド、夜はルビー」と表現され、昼はクールに、夜はロマンチックにと違った表情を楽しめる宝石とされてきました。

 かつて一青 窈さんが松江(島根県民会館)にコンサートにやって来られた時、松江の老舗ラーメン店「太平楽」でスープがないと断られた後に、やって来られたのが松江北高を下りた所にある出雲蕎麦の名店「きがる」です。毎日のようにここは行列ができているお店です(写真下)。特に土・日・祝日の行列は半端ではありません。今日も通りかかったらすごい人混みでした。松江暮らしの長い私は近所に住んでいながら、まだ一度も行ったことのない名店です〔笑〕。♥♥♥

▲お昼時、出雲蕎麦「きがる」の行列

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