今から48年も前、大学を卒業し、島根県教員採用試験に合格して、教員としての第一歩を踏み出そうという時、4月1日に島根県庁で行われた「辞令交付式」で、私は230人くらいいた新規採用教員を代表して挨拶をしました。大学時代に教えていただいた故・山本和夫先生(島根県立短期大学教授)の単語の教えを活かして、英語の教員らしく、educate(教育する)という言葉の語源を引き合いに出して、ex(外へ)+duce(引き出す)ということから、生徒たちの秘められた無限の数々の才能を外へ引き出してやるお手伝いをさせてもらいたい、という決意を、期待に胸を膨らませながら述べたのでありました。あれから48年か。そういう教師を目指して、秋山 仁先生の「教師五者論」+芸者+指揮者を実践しながら(⇒秋山先生について詳しくはコチラをご覧ください)、ひたすら駆け抜けてきました。

19世紀のイギリスの哲学者であるウィリアム・アーサー・ウォードは、こう述べています。名言だと思います。
The mediocre teacher tells.
The good teacher explains.
The superior teacher demonstrates.
The great teacher inspires.
凡庸な教師はただしゃべる。
良い教師は説明する。
優れた教師は自らやってみせる。
しかし偉大な教師は心に火をつける。
「生徒の心に火をつける教師」を目指して、これまで一生懸命やってきました。一人でも二人でも、そういう生徒が出てきたのであれば嬉しいのですが…。次の言葉も同様の主旨です。
いい先生は丁寧に説明してくれる。もうちょっといい先生は自ら範を垂れ、最高な先生は俄然やる気にさせてくれる。(W.A.ワーズ)
私は大学に入れるために英語を教えているのではありません。英語の面白さ・難しさ・奥深さを生徒に伝えて、大学へ行ってからも、そして社会人となってからも英語の勉強を続けてもらうために必要な基礎・基本をしっかりと教え、本物の英語の力をつけるために毎日の授業をしています。決して「分かりやすい授業」とか「面白い授業」が目標ではありません。「生徒の心に火を付ける」のが私の仕事だと思ってやっています。そのためには、成績が目に見えて上がった、模試の得点が飛躍的に伸びた、というのが一番の薬・励みになるようですから、「結果」にもこだわりたいと思っています。そのために毎日の反省・分析を怠りません。私の授業の目標は「分かりやすい授業」ではなく、「あ~、英語の勉強って面白いな」「ワクワク、ドキドキ」を伝えて、「もっと勉強してみよう!」と励ます授業こそが、私の目標なんです。生徒一人でも、二人でもそういう気持ちを体験してもらえる授業こそが、私にとって「良い授業」です。毎日の授業を私は、「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてゆかいなことはあくまでゆかいに」をモットーにしてやっています。これは作家の井上ひさしさんの言葉です。そんな私は、1時間の授業の中に「笑い」が必ず出るように心がけています。
生徒たちの心に火を付けるために、私は教え子たちに協力してもらって、学校案内やパンフレットでは知ることのできない大学生活の生のレポートを送ってもらい、それを「あむーる」と題する通信に掲載して生徒に配布してきました。もう何十年も続けていることです。松江南高校で担任を務めていた際に毎週発行していた「学級通信」が元になりました。大田高校で進路部長を務めていたときには、「進路だより」と形を変えて毎週発行しました。津和野高校では「学校だより」に形を変え、松江北高に帰ってからは「学級通信」「英語通信」と進化していきました。高校時代に担任した生徒の保護者が楽しみにしてくださって、今でも全部保存してあります、と言っていただいたこともあります。今は勝田ケ丘志学館で月に一回発行しています。ちなみに「あむーる」というのは私の大好きなフランス人ピアニスト・リチャード・クレーダーマンのアルバムのタイトルからいただきました。生徒たちに大変好評で、これを読んで、その大学を志した例も少なくありません。
さて、冒頭の英単語のeducate(教育する)を教える時に、duce「導く」という「語根」を押さえておくと、後々役に立ちますよ。『ライトハウス英和辞典』(第7版)の「単語のキズナ」というコラムをぜひ活用していただければ嬉しく思います。このように語源を活用してやると、英単語の記憶がずいぶん楽になるんですよ。❤❤❤
◎educate e(=ex)「外へ」+duce「導く」+ate「させる」⇒「能力を外へ導き出す」
⇒「教育する」
◎produce pro「前へ」+ duce「導く」⇒「前へ導き出す」⇒「作り出す」
◎introduce intro「中へ」+ duce「導く」⇒「中へ導き入れる」⇒「紹介する」
◎reduce re「後ろへ」+ duce「導く」⇒「後ろへ引き戻す」⇒「少なくする」
◎induce in「中に」+duce「導く」⇒「中に導き入れる」⇒「誘惑する」
◎seduce se「離れて」+duce「導く」⇒「わきへ導く」⇒「誘惑する」
◎duct 導くもの⇒「送水管」