小野坂トンさん亡くなる
2026年5月29日の晩に、小野坂東(おのさかあずま/通称:トン)さんがお亡くなりになりました。享年92。日本のマジック界を語る上で欠かせない、まさに「生きる伝説」として慕われた偉大なクリーエーター、コーディネーター、そしてイラストレータでした。 プロ・アマを問わず、日本の多くのマジック愛好家からは「トンさん」の愛称で親しまれていました。東京の老舗マジックショップ「マジックランド」のオーナーであり、プロデューサー・翻訳者・イラストレーターとしても知られていました。 多くのマジシャンや愛好家が集う場所として、日本のマジック文化を支え続けてこられ、かけがえのない存在の方でした。一生をマジックの世界に奉仕し、積極的に海外に行って海外のマジシャンと交流をし、優れた海外マジシャンを日本に招聘しました。自らは50年前に、茅場町に「マジックランド」というマジックショップをオープンし、奥さんの節子さんと子息の聡さんをスタッフにして、自作のマジックをたくさん考案し、同時に海外の書籍や、トリックを販売しておられます。ご自身も優れたデザイン・マジック・クリエーターでありながら、常に「日本のマジック界の普及と発展」のために裏方として尽力し続けました。日本奇術協会の名誉会員でもあり、国内外の多くのマジシャンが「今の自分があるのはトンさんのおかげ」と語るほど、その影響力と人徳は計り知れないものがありました。
マジックランドでは、多くの海外マジシャンを日本に招聘し、クロ-スアップショーや、レクチュアーを催しました。当時はクロ-スアップマジックそのものが珍しく、書籍などで見知っていたマジシャンが直接見られることに大きな価値がありました。そうした活動が、当時学生でショップを手伝っていた、ヒロサカイや前田知洋に大きな影響を与えたのは言うまでもありません。結果として、その後1990年代に訪れる、日本国内のクロースアップブームの火付け役になっていったのです。トンさんの最大の功績の一つは、海外の超一流のマジシャンたちと深い信頼関係を築き、彼らのマジックや文化を日本に紹介したことでした。まだインターネットもない時代から積極的に海外へ赴き、現地の一流マジシャンを日本に招聘してレクチャーやイベントを主催しました。これにより、日本のマジックのレベルや認知度は大きく底上げされました。日本と世界の奇術界をつなぐ架け橋として尽力されたのです。ステージマジシャンもたくさん招聘し、トンさんは5回世界大会を開催しています。但し、マジックの世界大会は個人が背負うには費用が掛かり過ぎ、度々ショップが経営危機に陥っています。
東京(長年茅場町に構えていたことで有名です)にある、マジシャンたちの聖地とも言える老舗マジックショップ「マジックランド」のオーナーでもありました。単に手品グッズを売るだけでなく、世界中の最先端のマジック情報や、トンさん自身が考案・デザインしたユニークなオリジナルマジックが手に入る場所として、国内外の多くのマジシャンたちが彼を慕って店を訪れました。私も若い頃から何度もこのお店を訪れ、ママさんに実演してもらい、親しくさせていただきました。ある時たまたま、奥の作業場でトンさんが作業をしておられるのを写真に撮らせていただいたのに、携帯の不調で画像が残っていなかったのは最大の失敗でした。
トンさんは優れたイラストレーターでもありました。マジックの解説書(レクチャーノート)や書籍に描かれた彼のイラストは、非常に味があり、なおかつ手品の不思議な動きや仕組みを直感的に分かりやすく伝える、唯一無二のクオリティを持っていました。彼の描くイラストがあるだけで、その書籍の価値が高まると言われたほどです。マジックランド製のマジックには全てトンさんのイラストが添えられた解説が付いていました。
やりたいことをやり通して、人々から愛され続けたのですから幸せな人生だったと思います。でも残された我々にとっては、この先は、マジック界が寂しくなりますね。合掌。心よりご冥福をお祈りいたします。♠♠♠
gingerly
英語の副詞gingerlyは、「非常に用心深く、きわめて慎重に」「非常に慎重に、極めて用心深く」と英和辞典には出ています。The old man rose gingerly to his feet.という英文を、辞典の訳語そのままに「老人は非常に用心深く立ち上がった」と訳すと、The old man rose very carefully to his feet.の訳と同じになって、gingerlyの持つニュアンスが消えてしまいます。このことは、翻訳家の宮脇孝雄さんの『英和翻訳基本辞典』(研究社、2013年)にも取り上げられていました。ベテラン翻訳家の宮脇さんは「老人はこわごわ立ち上がった」と訳しておられました。
carefully と gingerly はどちらも「注意深く」という意味を持ちますが、ニュアンスがかなり違います。carefullyは「ミスや問題が起こらないように注意して」という広い意味で、最も一般的で、前向き・客観的な慎重さです。ミスや失敗を防ぐため、あるいは物事を正しく行うために、頭を使って意識を集中させている状態を指します。勉強・仕事・車の運転などによく使われます。
He carefully read the contract.(彼は契約書を注意深く読んだ=見落としがないように)
She carefully planned the trip.(彼女は旅行を入念に計画した)
ここでは「慎重に」「丁寧に」「念入りに」という意味で、身体動作にも知的作業にも使えます。感情のニュアンスは特にありません。
それに対して、gingerlyは「壊れやすいもの・危険なもの・痛みを伴うものを扱うので、おそるおそる慎重に」という意味です。用心深い、というニュアンスより、「こわごわ、おそるおそる」といったニュアンスの方が強い語です。主観的な「不安・恐怖・警戒心」が根底にあり、非常にデリケートな慎重さです。つまり「下手をすると痛い目に遭うかもしれない」「壊してしまうかもしれない」という恐怖やためらいがあり、身体や指先の動きが極めて慎重になっている様子を表します。そのことは、“if you move gingerly, or touch something gingerly, you do it in a slow careful way, because you are afraid it will be dangerous or painful”とLDOCEにはっきりと出ています。
He gingerly picked up the broken glass.(彼は割れたガラスをおそるおそる拾い上げた)
She gingerly stepped onto the icy road.(彼女は凍った道にそろそろと足を踏み出した)
After the surgery, he gingerly moved his arm.(手術後、彼は腕を恐る恐る動かした)
He touched his injured shoulder gingerly.(彼は怪我をした肩を腫れ物に触るように触った=痛むのが怖い)
「何か悪いことが起きそうだから、細心の注意を払って動く」という感覚があります。両者を比較してみると、
He carefully opened the box. (箱を注意深く開けた(中身を傷つけないように))
He gingerly opened the box. (箱をおそるおそる開けた(中に危険物があるかもしれない、壊れやすいものが入っているかもしれない、など))
イメージの違いを簡単にまとめておきましょう。
| 副詞 | ニュアンス |
|---|---|
| carefully | 注意深く、丁寧に、慎重に(一般的)⇒丁寧さ・正確さにピント |
| gingerly | おそるおそる、そろそろと、壊れ物や危険物を扱うように⇒怖さ・痛みへの警戒にピント |
そのため、 gingerly ⊂ carefully と考えると分かりやすいでしょう。gingerly は carefully よりも、「恐れ」「危険の予感」「身体的な慎重さ」を強く含みます。このように、副詞に関しては、日本の学習英和辞典はまだまだだと感じています。♥♥♥
「長崎親切」
長崎には「長崎親切」(ながさきしんせつ)という言葉があります。長崎人は一般に考えられるよりも「より」親切である、という意味の言葉です。とにかく皆が本当に優しい長崎県。長崎の県民性というのでしょうか、親切で誠に優しい。観光地の方はどこの県の方も親切ですが、長崎の方は、その親切さが半端なく、優し過ぎる程優しいのです。2018年にソニー生命が実施したアンケートでも、優しい人が多い県1位に選ばれていたのですが、理由として、「観光客に高く評価されている」とありました。私も毎年8月に長崎県を訪問していた時期がありましたが(「夏長崎から」)、ホテルの人、観光地、お店の人のとても親切なのにはつくづく有り難いと思ったものです。よそから来た人にやさしい、良い町だと思います。みんな長崎の人は親切だっていうけど、それは自慢だよね。長崎駅の路面電車乗り場でガイドブックなんかを広げていると「どこに行きたかと?」って声をかけてくださいました。そういう親切がまだ生きてるってことは、良い町だなぁ。
よく言えば他者の気が付かないところまで目が行き届き、よくお世話をする人々、悪く言えば「おせっかい」ということです。私の大好きなシンガーソングライターのさだまさしさんのさまざまな社会活動を見ていて、この言葉「長崎親切」の真髄を実感するところです。4,700回を超える(日本記録!)全国各地でのコンサート活動、20年間続いた無料平和コンサート「夏長崎から」、広島の原爆忌8月6日に長崎から広島の空に向けて歌う、1995年に始まった「ナガサキピーススフィア貝の火運動」から2003年に完成した「ナガサキピースミュージアム」(長崎市松が枝町)、日本各地の災害現場への援助活動、被災地のチャリティ活動、自然災害への対応や世界中で奮闘する日本人ボランティアをサポートするために設立された「風に立つライオン基金」、11回目となる「高校生ボランティア・アワード」、等々。「音楽を通してその想いを伝え、社会に遺していくこと、そしてひいては世界を平和にすること」という自身の想いを伝え、希望を共有できる仕組みをせっせと構築してきました。これらの大事をごく当たり前のように成し遂げていくさださんを見ていると、生粋の長崎人である彼が、ただ単に「長崎親切」を実践しているだけなのかもしれないと思ったりもします。さださんはこれまでに自身が成し遂げた偉業にはこれっぽっちの野心も興味を持たず、今日もせっせと頼まれもせぬ「おせっかい」を焼きながら、誰かの幸せのために「長崎親切」を行い続けています。

さださんは長崎人をこう評しています。♥♥♥
『さかはかばか』といって長崎の名物は、坂とお墓とバカ。まあバカというのは私に代表されるんですが、好奇心が強いんですね。だから珍しいものがあるとすぐワッと買ったりする。それでみんなにひけらかして、『いいだろう、いいだろう』。で、みんながそれを持ち始める頃にはコロッとそれを忘れて、次の何かをパッと持って『いいだろう』、この優越感にひたるのがやっぱり長崎人の最大の趣味といいますか、そんな感じがしないでもないんです。
ゲイシャブレンド
◎週末はグルメ情報!!今週はコーヒー
幻のコーヒーと言われることもある「ゲイシャコーヒー」。いわゆるスペシャリティコーヒーとして知られているもので、コーヒー好きなら聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。ゲイシャと言うと「芸者」を連想するかもしれませんが、実は日本文化とは全く関係ありません。ゲイシャコーヒーは2000年半ば頃からコーヒー愛好家の中で名前が知られるようになった品種で、もとはゲイシャではなく、発祥地であるエチオピアの「ゲシャ」という地域の名前が由来です。ゲイシャコーヒーはアラビカ種に属するコーヒー豆ですが、生産量が非常に少ない品種です。それでいて豊かな個性を持っていることから、スペシャリティコーヒーとして注目を集めるようになりました。
ゲイシャコーヒーの誕生はエチオピアです。そこからやがてコスタリカを経て、パナマへと広がっていきました。今ではパナマをはじめ、誕生国であるエチオピアや中南米で栽培されています。エチオピアで生まれコスタリカやパナマへ広がったものの、かつては栽培が困難で収穫量も少ないため見捨てられかけていました。それでもパナマにある「エスメラルダ農園」や少数の農園は、ほかの栽培品種を悩ませるサビ病の対策の一環として、ゲイシャコーヒーの栽培を続けました。その中で農園のオーナーが、ある日「この品種は今までのコーヒーとは違う味と風味がある」と気付いたといいます。そして2004年にパナマで開かれた国際オークションに出品したところ、当時の最高価格を大きく塗り替えて優勝。「これまでにない驚異的な風味」として世界中のバイヤーを震撼させ、一瞬トップブランドへと登りつめました。現在でも良質なパナマ産ゲイシャなどは、一杯数千円~数万円で取り引きされるほど希少価値が高い品種で、スペシャリティコーヒーとして認められるようになったというのがゲイシャコーヒーの歴史です。
ゲイシャコーヒーは「1度飲むと忘れられない」と言われるほど、個性豊かで美味しいという評判です。柑橘系のような酸味とスイーツのような甘みが強く、複雑なフレーバーが楽しめます。まるでワインのようだと評する人もいるようです。ゲイシャコーヒーがここまで人気になった理由の一つには、品評会で高い評価を得たことにあります。ただしそれだけではありません。ゲイシャコーヒーの希少価値が話題になるにつれてコーヒー好きの間で「一度は飲んでみたい」と人気になり、そして一度飲めばその美味しさの虜になる人が続出。そうして今のような人気の高い品種となったのです。ゲイシャコーヒーは他のコーヒーと比較すると、非常に高い値段がついています。商品によって幅はありますが、一般的に販売されているものだと100gで3,000円程度から。普通のコーヒーと比較し非常に高価であることがわかります。理由としては「生産量が非常に少ない」「ゲイシャコーヒーの豆そのものが高値で取引されている」の2点が挙げられます。日常的に飲むには贅沢なコーヒーといえるかもしれません。ゲイシャコーヒーを提供しているカフェや店舗はそう多くはありませんが、最近少しずつ増えています。また、最近では店舗名に取り入れるなどゲイシャコーヒーを売りにしているカフェもあります。
ゲイシャコーヒーは希少性もお値段も高く、なかなか飲む機会がないかもしれません。しかし「1度飲んだら忘れられない」とまで言われる幻の味なら、やはり味わってみたいものですよね。今までにない美味しさにきっと感動することができるはずです。
セリアの「ダブルクリップ」
毎日仕事で大量のコピー用紙を、「ダブルクリップ」で挟んで、鞄の中に入れて持ち歩いています。黒い本体に銀色のワイヤーがついたおなじみのあの「ダブルクリップ」ですね。松江駅の「ドトール」で、米子往復の電車の中で、駅のホームでの待ち時間に、ご飯を食べに入ったレストランで、授業の合間に、時間を見つけてはお気に入りの「エナジェルインフリー」(ぺんてる)のピンク(0.7㎜)を使ってブログ原稿や授業プリントの校正をしています。持ち歩く原稿が溜まってきて分厚くなってくると、小型のクリップでは挟むことができないので、より大きな「ダブルクリップ」が必要になってきます。最も大きなものは、文房具の専門店に行かないと手に入りませんので、白潟本町にある「原文タイプ パピロ21」で購入しています。
さらにずっと大きな「特大」クリップが、私のよく行く東京の文具専門店「伊東屋」などには売られています。東京大学・京都大学志望者のために私が編集した「英語演習プリント&解説」が300枚ほどあるんですが(写真下)、これを留めておくためには、この「特大」サイズが必要になってきます。どれくらい大きいかは、ミニと比較してみるとよく分かります。
なぜこれを通称「ダブルクリップ」と呼ぶのか不思議でしょう?クリップの持ち手(ワイヤー部分)を折りたたんで横から見るとアルファベットのWの形をしています。このW(ダブリュ)がダブルと変化したものらしいんです。この「ダブルクリップ」はテコの原理を利用してレバーでクリップを開くようになっています。結局、横から見た形がアルファベットの「W」に見えるから、「ダブルクリップ」ということなんですね。「ダブルクリップ」というのは日本独自の呼び方で、英語では“binder clip”や“foldback clip”と呼ばれています。
この「ダブルクリップ」は、1910年にアメリカのルイス・エドウィン・バルツレー(Louis E. Baltzley)氏が発明したものです。発明の背景には、彼の父親が原稿や書類をまとめるのに苦労していたことがあった、と伝えられています。・厚い書類も束ねられる ・穴を開けなくてもよい ・何度でも付け外しができる という特徴を持った便利なクリップが考案されました。ワイヤーレバーを使ってテコの力で板バネの口を開く基本構造は、100年以上前の発明段階からなんら変わっていません。実際に出された特許の書類と比べても、見た目は現在の市販品とほぼ一緒ですね。2~100枚を超える紙を簡単に束ねられて、不要になればすぐ外せて元通り。100年以上の長きにわたって進化する必要がなかったぐらいに、優れた製品なのです(材質は多少進化している)。100年以上も前󠄂の発明品なのに、今でもオフィスや家庭で現役というのは、工業デザインの成功例としても有名です。とはいえ、欠点が存在しなかったわけでもありません。自分で「ダブルクリップ」を使ってみればすぐに「ははーん、アレだな」と分かると思いますが、とにかくバネが固いのです。100枚以上の紙をがっちり束ねる必要上、板バネの弾力はどうしても強くなってしまいます。その弾力を細いレバーでグイッと広げるのですから、いくらテコの力を使っているとはいえ、なかなかの腕力が必要になってくるのです。弾力が強い特大サイズともなると、女性やお年寄りにとっては使うのもイヤだなと感じるレベルでしょう。近年、プラスから「エアかる」という画期的な「ダブルクリップ」が出て100年越しの進化が話題となりました。「てこの原理」を応用した新機構によって、開く力を従来品比で最大約50%に削減し、空気のように驚くほど軽く開くことができるダブルクリップです。名称の「エアかる」というのは、空気のように軽く開けられるという意味です。
さて、ここからが今日の話題です。松江・田和山の今井書店本店の向かいの今まではCD・DVDショップ(&レンタル)だった建物に、100円ショップの「セリア」が入りました。印象ではダイソーなどよりはオシャレな品物が多い感じがしています。その文具コーナーに珍しくオシャレな色(淡いグレー)の大型「ダブルクリップ」(3個入り、110円)を見つけました(写真上)。「ダブルクリップ」といえばこれまで黒が定番でしたから、珍しい色ですぐに買って帰りました。パッケージから取り出してみて気づいたのは、滅茶苦茶開くのが軽いんです。「クリップを開く際の力を軽減し、従来品より軽い力で開きやすい」と宣伝文句にはありました。これだけ大きなクリップでこんなに軽いのは初めての経験でした。幅51mmで、保持枚数はコピー用紙約230枚です。これは重宝しそうです。黒のダブルクリップに比べてはるかに軽く楽チンに開けることができます。3個入ってたったの110円です。これは便利で使えそうです!!恐ろしや、セリア!♥♥♥
moreoverとfurthermore
moreoverとfurthermoreは、どちらも「さらに」「そのうえ」「加えて」という意味で、前の内容に追加情報を足す副詞です。両者には違いがあるのでしょうか?結論から先に言うと、この2つの副詞に大きな意味の差はありません。ただ、ネイティブスピーカーのニュアンスや、使われる文脈にはわずかな「手触りの違い」があります。今日はそれを取り上げます。
両語のニュアンスを比較すると、
単語 |
ニュアンス |
イメージ |
Moreover |
「さらに言うと、それが重要なことなんだ」 |
別の角度から、より説得力のある根拠を重ねる。前の内容を補強・強く押すニュアンス。 |
Furthermore |
「さらに加えて」淡々と「追加ポイント」を出す感じ |
議論をさらに展開したり、情報を延長したりする。単に情報を積み重ねる感じ。 |
-
Moreover: 前に述べたことに加えて、さらに「ダメ押し」の一手を加えるイメージです。前述の内容とは異なる視点による内容を加える場合に用います。
-
Furthermore: リストに項目を追加していくような、論理的な「積み重ね」のイメージです。
使い分けのポイントとしては、正直なところ、現代の英語(特にアカデミックな論文やビジネス文書)では、この2つはほぼ交換可能です。あえて使い分けるなら:
●論文などで論理を補強したい時: どちらを使ってもOKですが、少し重厚な響きがあるのは moreoverです。
●手順や補足情報を並べる時: furthermore が自然に聞こえることが多いです。
どちらの語も非常にフォーマルな(formal)言葉です。日常会話で使うと、少し堅苦しすぎて浮いてしまうかもしれません。日常会話での言い換え例としては次のようなものが考えられます。
-
Also, … (また、)
-
And another thing is… (それと、もう一つは……)
-
Plus, … (おまけに、)
尊敬する竹岡広信先生の『LEAP Basic』(改訂版、2025年)では、moreoverに「▲前述の内容に「新情報」を加える。※「改まった場面」で使用。[注意]日常ではalso, what’s more「その上」, besides「おまけに」のほうが使われる」という有益な情報が載っています。例文で違いを見ておきましょう。
Moreover:
“The hotel was expensive. Moreover, the service was terrible.”(そのホテルは高かった。おまけに(追い打ちをかけるように)、サービスも最悪だった。)
Furthermore:
“The plan is budget-friendly. Furthermore, it is easy to implement.”(その計画は予算に優しい。さらに(加えて)、実行するのも簡単だ。)
私は『ライトハウス英和辞典』(研究社)の【類義語】欄に次のような解説を書きました。♥♥♥
moreover 書きことばで用い、前文により重要なことを追加したり、単に前に述べた ことを補強する時に用いる。 furthermore 格式ばった語でmoreoverの後でさらに追加するときに多く用いる。
副詞technicallyの使い方を深掘り
technicallyという副詞は、「技術的に」「専門的に」という意味が一般的な理解で、次のように使います:She’s a technically skilled pianist.(彼女は技術的に素晴らしいピアニストだ) 「別に何の問題もないじゃないか!」と思うかもしれませんが、実はこの副詞にもやっかいな用法があります。
It is technically illegal.
This problem is technically complex.
のような使い方のtechnicallyです。ここでは「技術的には」という訳語では理解できませんね。近い日本語を選ぶとすれば「形式的には」(→書類上はそう決まっているけど、実態は伴っていない)、「表面上は」「建前としては」(→そう言っておかないと角が立つ、またはルール違反になる)、「厳密に言えば」(→普通はそんな細かいことは気にしないけど、一応ね)、「実質上は」などとなるでしょう。この用法のポイントは「堅く言えば(形式的には)そうだけれども、裏では違うんだよ」というニュアンス(言外の意味)があるということです。上記の英文でいえば、「それは厳密に言えば違法だ」(→だけど普通は違法と見なされない)「この問題は表面的には複雑だ」(→だけど実際には簡単に解決できる)のような含みがあるのです。ですから当然、(→ )内のような含みが出てくることが予想されますね。翻訳家の中村保男(なかむらやすお)さんは、このtechnicallyを、「理論的には」などと意訳してもよいのではないか、と提案しておられました。「理屈やルール上から言えばそうなる(しかし実際にはそうではないことがある)」「形の上ではそうなる」「表向きは一応そういうことになっている」というニュアンスですね。パラフレイズするならば、“If we went into more detail, you’d find that the following is true….”となるでしょうか。要するに「今言っていることは100%正しいわけではないけれど、そのことは当面の議論には関係ない」というニュアンスで使う単語です。ネイティブの人たちが、この単語の後に、“but…”と裏の事情が述べられるのを予期するのはそういう理由からなんです。
「技術的」「専門的」「学術的に」などいろいろに訳せるかなりむずかしい語だが、次のような文脈では(theoreticallyの訳と同じになるが)「理論的には」などと意訳してもよいのではないか。Technically he had the authority and could do what he thought was proper.「建前としては、彼にはその権限があり、自分で適当と思ったことをしてもよいことになっていた」。が、actually(⇒)「実際」にはそうするわけにはいかない事情があった、という含みである。 ――中村保男『新装版英和翻訳表現辞典』(研究社、2019年)
『ジーニアス英和』(6版)ではここら辺が明らかではありませんが、私たちの『ライトハウス英和辞典』(第7版)では次のように記述しています。
①(しばしば[文修飾])規定[定義]上は、厳密には、建前では、理論上は:Technically, he’s still a student. 規定上は彼はまだ学生だ。 ②専門(技術)的に;技術[技巧]的に:be technically impossible (科学)技術的に不可能である。
デビッド・セイン先生の『100語で簡単!ネイティブに伝わる英会話』(成美堂出版、2017年12月)には、That’s technically the only way to make tofu.(それが一応は豆腐を作る唯一の方法だ。→でも、実際には別の方法もある)Technically, they are still married.(一応彼らはまだ結婚している。→でも一緒には住んでいない)という用例を挙げておられました。「厳密には~なのだが」「一応は~なのだが」という意味で、なんだか裏に事情がありそうだという含みを伝えている副詞です。ポイントとして次の3つを挙げておられます。
① technicallyで「厳密には~なのだが」という意味に。
② technicallyを使って、表現した内容とは違う意味を相手に伝える。
③ Technically, yes.で「一応はイエス。でも事情がある」という感じに。
そのことは、OALDに挙げられた用例 It is still technically possible for them to win (=but it seems unlikely).「彼らが勝つことはまだ一応は可能である(=でも実際には無理の
ように思えるけど)」から明らかですね。technicallyの使い方を示すのには良い例です。尊敬する山岸勝栄(やまぎしかつえい)先生の『スーパーアンカー英和辞典』(学研)には「専門的[法的]に言えば,厳密に規則を守るとすれば」▲規則と実際にずれがある、あるいは何らかの抜け道があるというニュアンスで用いる」という記述があり、さすがと思われます。Online gambling is technically illegal, but it is very popular. (ネット上のかけ事は厳密には違法であるが、広く行われている) ここまでこの副詞の実態に踏み込んで解説している辞典を私は知りません。
昨年受験した「7月進研記述模試」の長文読解問題で、このtechnicallyを正確に訳し上げていたのに感心しました。この出題者はこの副詞の用法をきちんと理解していることがよく伝わってくる訳文で見事でした(⇒詳しくはコチラをご覧ください)。
英語の副詞 technically の 最も一般的な意味・使い方 と 代表的な使用例を、わかりやすく整理して説明します。最も一般的な意味は、「厳密に言えば」「技術的・形式的には」で、事実・定義・規則の上では正しいが、実際の感覚や状況とは少しズレているというニュアンスで使われることが非常に多い副詞です。日本語では次のように訳されることが多いです:「厳密に言えば」「技術的には」「形式的には」「理屈の上ではそうかもしれないが…」「言葉の定義上は」「まあ、言葉の上ではね」「厳密にはそうだけどさ」典型的な使い方(最重要パターン)としては、表面的・形式的には正しいが、実質的にはそうでもないという含みを持たせています。technically は、「表面的な事実」と「実際の状況」のギャップを示すときにとても便利な副詞です。
Technically, the tomato is a fruit, but everyone treats it as a vegetable.(厳密に言えば、トマトは果物だが、みんな野菜として扱う)→植物学的定義では正しいが、日常感覚では野菜、というズレを示しています。
Technically, he didn’t break the law.
(厳密には、彼は法律を破っていない)→法律上はセーフだが、道徳的・常識的には問題があるかもしれない、という含み。
I’m technically on vacation, but I’m still answering emails.
(形式上は休暇中だけど、まだメールに対応している)→「休暇」という言葉の定義と現実のギャップを表しています。
Technically, it’s not my fault.
(厳密には、私のせいじゃない)→責任逃れ・言い訳感が出ることも多い表現です。
英語の technically は、日常会話でもビジネスでもよく使われる便利な副詞で、主に 「形式的には」「厳密に言えば」「技術的には」 の3つの意味で使われます。ニュアンスが少しずつ違うので、場面ごとに整理してみましょう。
1. 「厳密に言えば」「形式上は」
最もよく使われる意味で、一般的な理解とは少し違う“ルール上・定義上”の事実を指摘する時に使います。
-
Technically, he’s my boss, but we’re the same age and we hang out like friends. (厳密に言えば、彼は私の上司だけど、同い年だし友達みたいに遊んでいる)
-
Technically, the store closes at 8, but they usually let people in until 8:10. (形式上は店は8時閉店だけど、だいたい8時10分までは入れてくれる)
-
Technically, you’re right, but that’s not how people usually say it. (厳密にはあなたが正しいけれど、普通はそうは言わない)
-
Technically, you can park here, but people usually avoid it because the police check a lot.(厳密にはここに駐車できるけど、警察がよく見回るからみんな避けている)
-
Technically, this is food…but I don’t eat it.(形式上は食べ物だけど…私は食べないね)→名目上はそうだけど実は違うという皮肉
-
Technically, a tomato is a fruit.(トマトは厳密に言えばフルーツだ)→植物的な定義(形式)ではそうだけど、料理(現実・実感)としては野菜だよね
2.「技術的には」「専門的には」
技術・専門知識に関する話題で、技術面の観点から言うと、という意味。私たちからすると、この意味が最も自然ですが。
-
Technically, the machine can run without this part. (技術的には、この部品がなくても機械は動く)
-
Technically, the software supports that feature, but it’s still unstable. (技術的にはその機能をサポートしているが、まだ不安定だ)
3. 「一応は」「表向きは」(ややカジュアル)
会話でよくある使い方で、“建前上はそうだけど実際は…” という含みを持たせるときに使います。相手に“Techinically, yes.”と言われたら「(理屈の上ではそうだけど)手放しではイエスとは言えない複雑な事情があるんだな」と察するのが正解です。
-
Technically, I’m on a diet, but I’ll have some cake. (一応ダイエット中だけど、ケーキ食べるよ)
-
Technically, we’re supposed to finish this today, but no one expects us to. (建前では今日終わらせることになっているけど、誰も本気でそう思っていない)
technicallyが「裏では違う」という含みを持つのは、①対比がある時・・・but/ though/ actually/ in reality ②常識・感覚とズレている時(時間、距離、ルール、分野、人間関係など)です。
| 意味 | ニュアンス | よくある場面 |
|---|---|---|
| 厳密に言えば | ルール・定義に基づく正確さ | 日常会話・議論 |
| 技術的には | 技術・専門知識の観点 | IT・科学・工学 |
| 一応は | 建前と本音のズレ | カジュアルな会話 |













