ハーリー・レイス

 自民党が大惨敗を喫した今回の衆議院総選挙戦で、プロレス大好きの野田立憲民主党代表石破自民党総理「ハーリー・レイス」に喩えました。「堂々とチョップを胸で受け止めてくれるハーリー・レイスだと思っていたら、今は、リングに上がるや、ガウンも脱がないままサーベルを手に殴りかかってきたタイガー・ジェット・シンみたいになっちゃった。悶絶し苦渋の決断なのだろうが、本来の彼ではない。だからこそこちらはリングのど真ん中で、逆エビ固めであぶくを吹かせ、タップさせたい」そしてその目論見通りになりました。やはりリーダーの言っていることとやっていることが違っていたら誰も信用することはないのですね(⇒「言行不一致」コチラです)。

 ハーリー・レイス、NWA世界ヘビー級王座を8度獲得した米国のレジェンド・レスラーで、日本でも“美獣”の異名でジャイアント馬場さんらと激闘を展開し人気を博しました。レイスは、1943年4月11日、米国ミズリー州出身。15歳でプロレスラーとしてデビューし、NWA、AWAなどの団体で活躍。73年5月にドリー・ファンク・ジュニアを破り、当時世界最高峰とうたわれたNWA世界ヘビー級王座を奪取しました。強さと風格を持ち合わせ、「ミスタープロレス」「ミスターNWA」「美獣」と呼ばれた名レスラーです。肺ガンによる合併症のために、2019年8月1日に亡くなりました。76歳でした。お亡くなりになった時に、プロレス専門誌『Gスピリッツ』54号において、未公開インタビューが取り上げられていますので、それを参考にして彼の人となりをまとめてみようと思います。私の「プロレス愛」を感じていただけることでしょう。

 レイスは1943年4月11日、ミズーリ州メアリーズビル生まれ。6人兄弟で,両親は農業で生計を立てていました。子どもの頃から肉体労働に従事していたので、レスリングに必要な基礎体力は自然に養われていきました。15歳中学生の頃、校内で売られた喧嘩を買って、何人もの生徒を相手にケガを負わせ、校長がレイス少年を一方的に責めたので、「じゃあ、もう学校に来ない。それでいいですね」と啖呵を切って退学しました。勉強は好きでなく、早くプロレスラーになりたかったので、停学処分を無条件で受け入れました。なぜか両親も特に反対することはありませんでした。腕っぷしが自慢で喧嘩が強く、15歳でカーニバル・レスラーとしてプロデビューしたのですから、半端ではありません。プロレスラーではなくカーニバルレスラーとしてです。これは腕自慢の素人をリングに上げて真剣勝負するレスラーなのですが、彼がプロレスラーとして長年活躍できたのも、カーニバルレスラーとして身につけた喧嘩が強い、という芯があったお陰です。NWA設立者のサム・マソニックに可愛がられ、ドリー&テリー兄弟の父親ドリー・ファンク・シニアに師事。フロリダ州タンパの大物プロモーター、エディー・グラハムの下で修行を積み、プロレスの最高峰NWA世界王座を8度も戴冠しています。1970年代前半から日米のマットを股にかけて大暴れした名物男です。表の顔は、プロレス界のキング。裏の顔は「あいつに睨まれたら食っていけない」と周囲から怖れられる、プロレス・ビジネス界におけるボスでした。肉体的にもタフで、あるレスラーが証言していましたが、試合で血だるまになり、そのダメージを心配していたら、試合後の酒場で額に絆創膏を貼ってお酒を飲んでいたといいます。

 1960年代前半にプロレス入りし、世界チャンピオンへの登竜門であったミズーリ州ヘビー級チャンピオンから、1973年5月に当時米国で最高権威であった「NWA世界ヘビー級王座」を獲得します(相手はドリー・ファンク・ジュニアインディアン・デスロックによる決着。あのジャンボ鶴田もこの技にギブアップしています)。そこから「全日本プロレス」を主戦場とし、ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、アブドーラ・ザ・ブッチャー、ミル・マスカラスらを挑戦者に迎え、防衛戦を行いました。1980年代初頭まで「NWAの象徴」として圧倒的な存在感を示し、通算8度の戴冠で「ミスターNWA」と呼ばれました。まだ若手だった1968年2月に、「日本プロレス」に初来日したときが初の海外試合で、「本当に成長させてもらった。海外で試合したが、日本は特別で思い出深い。あれが分岐点」と特別の思いを語っていました。

 私には忘れられない試合があります。ジャイアント馬場さんが、ここ一番で出す必殺技ランニング・フライング・ネックブリーカー・ドロップで、ハーリー・レイスからNWA王座を奪取した後の防衛戦。試合を押し気味に進めた馬場さんが、グロッギー状態でマット中央に横たわるハーリー・レイスを置いて、コーナーポスト上段に上がり始めます。あの巨体の馬場さんがです。会場の観客からはどよめきが起こります。でもあの巨体、どうしても時間がかかります。なんとポストに上がった馬場さんは最上段から、リング中央に横たわるレイスめがけて巨体を宙に舞い飛ぶのです。フライング・ボディープレスですね。虫の息だったレイスも、時間がかかったために回復しており、密かに薄目を開けて馬場んの動きを読むと、両膝を立てて馬場さんの巨体を迎撃します。もろに両膝に身体を打ち付けた馬場さんは悶絶。3カウントを聞きます(一度ベルトは取らせるが、リターンマッチでは返してもらうという取り決めがあったことなど、当時の私が知る由もありません。めちゃ悔しかったのを覚えています)。私はその試合をテレビで見ていて、「普段やらないことをやってはいけない」という「教訓」にしたものです。馬場さんは二度もレイスからこのベルトを奪取しています。いかに馬場さんの政治力がNWA本部で大きかったかの証明ですね。レイスの得意技は「ダイビングヘッドパット」。コーナーポストから相手の体めがけてものすごい距離を飛んで仕留める危険な必殺技で、馬場さんやジャンボ鶴田も何度もフォールを奪われています。今では単なる痛め技となっている「ブレーンバスター」も美しい必殺技で、ご本人は「バーティカル・スープレックス」と呼んでおられました。まさに垂直落下に落とす危険な必殺技でした。

 全日本プロレスへの昭和期最後の参戦を経てWWFに移籍。WWFでは元・NWA世界王者という肩書きは抹消され、代わりに王冠とケープを纏った「リングの王」というギミックの「キング」ハーリーレイスを名乗りました。これはNWA世界王座への戴冠歴に触れずにレイスの格にふさわしい扱いをするためのギミックであると同時に、同じくキングを名乗っていたジェリー・ローラーへのWWFからの当てつけでもありました(当時のローラーは反WWFの急先鋒の一人でしたから)。2004年には、プロレス界での功績を称えてWWE殿堂に迎えられています。

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Black Fridayとは?

 最近、年末商戦の始まりを告げる 「ブラックフライデー」(Black Friday)という言葉を至る所で見たり聞いたりします(例えばイオンアマゾン)。テレビをつけると、どこの会社のCMも「Balck Fridayセール」「ブラックフライデー」と連呼して、固くなった消費者の財布のひもを緩めようとしていますね。訳も分からずに日本人はうまく商売戦略に乗せられてしまっている感が強くします。

 今日はこのBlack Fridayについて取り上げます。これは、アメリカの商習慣の一つで、毎年11月第4木曜日に催される「感謝祭」の翌日に当たる金曜日のことを言い、11月の第4金曜日に実施するセールのことを指します。小売店の売上げが年間でもっとも多い日です。当日は「感謝祭」(サンクスギビング・デー)の翌日で、感謝祭のプレゼント商品の在庫一掃セールを行ったりもします。州によっては休日になる場合もありますね。また、当日は早朝(時には真夜中)に店を開けるのも特徴です。古くは、キリストが処刑された不吉の金曜日、1869年の金融大恐慌が始まった9月24日の「暗黒の金曜日」を指す言葉です。元々は「感謝祭」の翌日ということもあり、労働者が会社に欠勤の電話を入れる習慣を指した言葉のようです。あるいは、クリスマス商戦のスタートにあたり大渋滞を指す言葉として警察に使われるようになりましたが、いずれも定着はしませんでした。11月の末ということもあり、実質的に年末(クリスマス)商戦の幕開けを告げるイベントという側面も強く持っています。今では年末商戦のセールそのものを意味するようになってきました。本家アメリカでは、インターネット通販の普及などでセール開始の前倒しが進み、日本では2016年頃から広まり、ここ数年、この「ブラックフライデー」のセールは定着してきましたね。最近私が受け取ったセールの案内です。“Don’t forget, it’s available for 20% off until the end of our Black Friday Extravaganza or it sells out (whichever comes first).” ”And when you order today you get a TON of free magic with our biggest Black Friday Sale EVER!!!” “Every year, our customers eagerly await Black Friday. Some of them can’t even wait days and weeks before asking us if and what we are planning. And indeed, we have a very special offer for you that could only be implemented through our new shop system.” “PHASE 3 of Black Friday is LIVE! We have ANOTHER 700 Products marked down between 40-60% OFF! All Items From Phase 1 &2 are Still On Sale! Sale Ends December 4th at 4pm PST!”

 ここで当然のことながら、「なぜBlackなのか?」という疑問が湧いてきますね。「ブラック」という呼称は、この日の売り上げで店の年間収支が黒字になるという意味から来ているようです。買い物客が押し寄せ、道路や店舗がこみ合って黒山の人だかりとなることにも由来していると言われています。一方で「大量にモノを買わされてしまう暗黒の日」という裏の意味が含まれているという説もあります。この言葉は当日よりもずっと早くから新聞広告やテレビコマーシャルで流され始め、終わってからもしばらくは続くこともあるようです。

 なお、「ブラックフライデー」の3日後の月曜日は、オンライン・ショッピングの売り上げが1年で最も盛り上がることから「サイバーマンデー」(Cyber Monday)と呼ばれます。感謝祭の休暇中、実店舗は買い物客で混雑します。その後、感謝祭の休暇明けに自宅や職場に戻った人たちがオンラインショッピングをすることによって、次の月曜日にオンラインショップの売上が急増することから、「サイバーマンデー」と呼ばれているのです(日本では聞かなくなりました)。私が取引しているアメリカのマジック・ショップHocus Pocusから届いたメールには、Cyber Monday is HERE! Our Black Friday Sale Continues! HURRY! We Are Giving Away A NEW Free Gift With the First 50 Orders!  HUNDREDS OF ITEMS HAVE ALREADY SOLD OUT! LIMITED QUANTITY!!! Make Sure to Check Out BOTH Of Our Black Friday Blowout Categories!!!”とありました。♥♥♥

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あえて訳す

 日本経済新聞社(現・日経BP)より2011年に刊行され、惜しまれつつも絶版になった後、伝説の書としてSNS等で復刊を望まれてきた一冊が、13年の時を経て、アスクより、この度増補改訂版となって復刊されました。山本史郎・森田修『増補改訂版 英語力を鍛えたいなら、あえて訳す!』(アスク、2024年)です。英文の意味が本当に分かっているかどうか?多読、速読もいいのですが、正しく理解しているかどうかを確認するにはきちんと訳してみるしかありません。そう、訳すことこそ英語力を鍛えることなんです。『指輪物語』『赤毛のアン』などで知られる翻訳家にして東大教授の著者が贈る知的エクササイズが本書です。日本人が誤読しやすい英文を「クイズ形式」で出題しています。旧版より32ページの大増補が行われており、多数の新しい問題と、役に立つ「英語学習のおすすめ参考書」の章が追加されています。みなさんならどう訳しますか?クイズ形式で、英語を日本語に訳す「難しさ」と「楽しさ」を、ぜひ味わってみてください。

1.翻訳の重要性: 多読や速読など、英語を直接理解することも確かに重要ですが、翻訳を通じて文章の意味やニュアンスを深く正しく理解することができます。翻訳を行うことで、文法や語彙、表現方法を細かく分析し、確実に理解することができると述べられています。

2.具体的なエクササイズ: 書籍内には具体的な翻訳の練習問題が含まれており、読者が実際に翻訳を練習できるようになっています。これにより、自分の理解度を確認しながら、翻訳技術を磨くことができます。

3.「分かったつもり」にならないために: 英文を読み流すだけではなく、翻訳を通じて本当に理解できているかどうかを確認する重要性が強調されています。「分かったつもり」で終わらせずに、確実な理解を目指すことが英語力向上の鍵とされています。

 著者の山本史郎先生は、2021年から、約4年間Asahi Weekly(朝日新聞社)で(松江北高の図書館には毎週入れてもらっていたのですが、今はさっぱり読む生徒がいません)、隔週で単純な辞書や文法書からでは分からない英文読解の連載記事「英文読解それってどんな意味?」を書いておられ勉強になります。Your son is struggling in math.がどんな意味になるのか?a good mindとは一体どんな意味なのか分かりますか?そのまま訳したのでは理解できない英語が数多く解説されており、とても勉強になる本です。著者たちのこの本にかける思いは最近のAsahi Weekly, November 17, 2024に「英語本の著者に聞く」で特集記事が載っており、とても参考になります。正しく読むことを前提に、その一歩先の「訳す」という知的作業を目指した本です。

▲著者たちの思いが伝わってくるインタビュー

 辞書さえ引けば何とか意味ぐらいは分かる、「学校英文法の基礎知識」+「英和辞典」さえあれば、「英語の意味」を正しく理解できるかというと、決してそんな甘い世界ではありません。言語や文化の壁が存在するのです。「訳すことはできる」のに「意味を説明できない」という生徒を私は毎日見ていますが、これってつまり、「意味が分かっていない」ということなのですよね。She narrowed her eyes and stared at him.(彼女は目を細めて彼をじっと見た)と辞典に載っていましたが、これではこの英語を分かったことにはなりません。これは「軽蔑」や「嫌悪感」を示す表現ですから「眉をひそめた」ということなのです。私がよく話題に挙げるin fact「実は」の問題点も取り上げられており、共感して読みました。問題集や模擬試験でも常に「実は」「実際」となっており、気になっている表現です。辞書や文法書が教えてくれる単純な知識を越えて、そこからもう一歩踏み込んで、貪欲に英語の機微、さらには文化の領域にまで脚を踏み入れようとする好奇心が求められます。♥♥♥

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音感

 英語の勉強は毎日が「単語の勉強」と言ってもよいと思います。大学合格を目標とするのではなく、その後に続いていくであろう英語の勉強に、永続的に役立つ語彙指導でありたい、と私は力説しています。そのためには、「努力×要領(コツ)=成果」であって、日頃チョットした要領を教えてあげるのが重要だと感じています。この度竹岡広信先生が単語集『LEAP』(数研出版)の改訂版(2024年)を上梓されるにあたって、こんなことを書いておられました。卓見です。

 語源とは本当は「音」を中心として編んでいくもので,「なんとなく音がつながっていくな」という認識が肝心です.baby「赤ん坊(←バーバーと意味不明な言葉を話すもの)」, barbarian 「野蛮人(←バーバーと意味不明な言葉を話す人)」barren「(野蛮人の住む→)不毛の(地)」とつながるわけです.ほかにも,mouth は「口(←突き出たもの)」,mountain「山(←突き出たもの)」,menace「脅かす(←突き出る)」をなんとなく「m- の音が共通しているよね」くらいの認識で捉えたほうがよいでしょう.「なんとなく音でつながっている」という認識ができれば上級者の仲間入りです.本書では,その「なんとなくつながっている」「覚えやすい」にとことんこだわり,かつ「従来の語源を説明する際の煩雑さ」をぐっと軽減させております. 

 今私が強く興味を持っているのは、ネイティブ・スピーカーの「音感」(学問的なものではないのですが)に基づいて、英単語の整理をしてみたいということです。例えば、d-で始まる語には「暗さ」「陰鬱さ」といったイメージの単語が多いようでボキャビル術す。die(死ぬ)、dim(薄暗い)、doom(悲運)、dreary(陰鬱な)、dull(鈍い)、dearth(欠乏)、drag(引きずる)、  drift(漂う)、drip(ポタポタ落ちる)、drop(落ちる)、drown(溺れる)などですね。また、sp-で始まる語には「飛び出すような勢い」を感じます。spill(こぼす)、 spit(つばを吐く)、 splash(はねる)、 spray(しぶきを飛ばす)、 sprinkle(まき散らす)、 spark(火花を出す)、 spank(ぴしゃりと打つ)、 spin(回転する)、 spring(はねる)、 sprint(全力疾走です)、 sprout(芽を出す)、 spry(活発な)、 spurt(噴出する)などが思い浮かびます。また、gl-「キラキラと光に関連する」感じで、glamour(華々しい魅力)、 glance(ちらっと見る)、glare(ぎらぎら光る)、gleam(かすかに光る)、glimmer(ちらちらと光る)、glimpse(ちらっと光る)、glisten(キラキラと輝く)、glitter(キラキラ光る)、glorious(光り輝く)、glory(栄光)、gloss(光沢)、glow(白熱して光る)などがありますね。ある程度語彙力の付いた上級者に、こういった提示をしてやると、頭の中の語彙の整理に非常に有効だと思います。CNN ENGLISH EXPRESS 3月号、2013年(朝日出版)の特集が「音から意味がわかる!新感覚ボキャビル術」でした。参考になりますよ。私は、2013年2月20日(水)に、島根県立江津高等学校で開催された「しまね学力向上プロジェクト教科リーダー養成事業研修成果報告会」において、そんな単語学習にまつわる幾つかの例を提示させてもらいました。興味のある先生は次の発表資料をご覧ください。♥♥♥

  • 八幡成人「将来を見通した語彙指導」 2013年2月20日江津高校「しまね学力向上プロジェクト教科リーダー養成事業研修成果報告会」での口頭発表 ⇒コチラです

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悪人

▲仕切りのある自習机

 時々、新装なった松江市立図書館で仕事をすることがあります。自習机が数多く用意されていて静かに作業ができるので、重宝しています(写真上)。今日も私は机に座ってブログの校正をやっていました。ちょっとコピーが取りたくて、荷物を机に置いたまま、ものの5分ほど席を空けたんです。席に戻ってくると「置き引き注意」という紙が置いてありました(写真下)。「ご不在だったためこの案内を置かせていただきました。 ・状況によっては荷物をお預かりする場合もあります。 ・お戻りになりましたらこの紙は捨てて下さい。巡回時間:12時00分」とありました。職員の人が巡回見回りをしておられ、たまたま席が空いていてカバンがあったので、こんな紙を置かれたのでしょう。ということは、館内でそれだけ「置き引き」が多発しているのでしょうね。ぶっそうな世の中です。公立図書館でもそんな悪いことをする人がいるということです。

    今日も携帯に不審な音声の電話がかかってきて、「電話料金が未払いで手続きをしないと法的措置を取るので・・・」というのですぐに切りました。家に帰るとパソコンのメールに「日本郵便」から「お荷物をお届けにあがりましたが、不在のため持ち帰りました。配達するために本人確認をしてください」という案内が入っていました。郵便局に酷似したページだったので、名前と住所を入力すると、今度は口座番号を入力するようにという画面が出てきました。あやうくだまされるところでした。連日この「日本郵便」を語るメールが届くようになりました。日本郵便ではSMSによる不在連絡などは行っていません。もうだまされません。昔は「おめでとうございます!プレゼントに当選されました」というのがよく来ていましたね。最近、こういう怪しい連絡がものすごくたくさん届きます。「アマゾン」を語って、このままだとサービスが受けられなくなるから口座手続きをしろ、支払い確認をしろ、引き落としができなかった、お支払い方法に問題があります、というものもしょっちゅう来ます。アマゾンにはほぼ毎日のように注文してちゃんと荷物も届いていますから明らかに偽メールです。クロネコヤマトを語る配送未配の偽メールも。なんと国税庁からも来てビックリ!各種カード会社証券会社金融機関からも偽メールがしょっちゅうやって来ます。電力会社から電力料金が未納だという警告も。最近の私の自宅のメールボックスはこうした怪しいものであふれかえっています。先日はパソコン作業をやっている最中に、画面上に突然大きな警報音がビービー鳴り始めて、「あなたのパソコンはウィルスに感染しているので、すぐに○○に電話をしろ」という命令でした。ちゃんとウィルスソフトが機能しているので、偽の警告です。マイクロソフトを語るメールもあります。偽のマカフィーからの警告もしょっちゅう出てきます。詐欺グループが業者や会社などになりすまして、個人からお金をだましとるフィッシング詐欺ですね。フィッシング対策協議会によれば、SMSなどによる2023年の「フィッシング情報」届け出件数は119万6,390件で前年より22万7,558件増えたとのことです。実態はもっとたくさんあるのでしょう。

 いつから日本にはこのような悪人が増えてきたんでしょうか?楽をして、人を騙して金をむしり取ってやろうという輩がたくさんいます。テレビではこうした詐欺被害にあった人たちのニュースであふれていますね。騙されないように気を付けたいものです。最近の「闇バイト」事件といい、日本人の優しい思いやりの心は一体どこへ行ってしまったんでしょうか?♥♥♥

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クラーク博士

 札幌「羊ケ丘展望台」は、観光客のために作られた観光名所です。少年よ、大志を抱け ! 」(Boys, be ambitious!)で有名なクラーク博士像が立つ羊ヶ丘展望台」。私も札幌で講演をした際に行ってきました。札幌ドームを背景に札幌市街地を見渡せ、羊が草を食む牧歌的風景は全国的な知名度を誇っていますね。ここはどうしても来てみたかった場所でした。この「羊ヶ丘」、元々は国の研究施設で、戦前は月寒種羊場、戦後は北海道農業試験場として羊を飼育していました。しかし研究に支障が出るほど見物客が増えたため、1959(昭和34)年に敷地の一部に展望台をオープンすることとなったのです。面白いことにクラーク像にも同じような歴史があります。かつて北海道大学構内の胸像(観光タクシーの運転手さんによれば今は写真を撮ることも禁じられているそうです)に1970年頃観光名所になってしまい観光客が押し寄せてしまい、研究に支障が出るとして、大学が1973年に観光バスの乗り入れを禁止、観光客の減少を心配した札幌観光協会がその代わりとして、博士の来道100年にあたる1976年に、北大から離れた羊ヶ丘に新たに全身像が建立されたのです。展望台クラーク博士像にはこんな共通点があったのです。

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 羊が丘クラーク博士は、左手を腰に右手は遥かかなたを指差していますね。なかなか格好のよいポーズです。高さ2mの台座の上に立つ2.85mの立像なので相当大きい。指はどこを指し、何を意味しているのでしょうね。「少年よ大志を抱け」と無限の世界を指差しているのでしょうか?それとも指差している方向に何かがあるのかな、と視線を向けると、丸々太った羊がのんびり草を食んでいます。制作者によると、どこか特定の場所を指しているのではなく、「真理の探究」を象徴したものだといいます。それにしても何を意味してるのかなと不思議に思わせるのがよいところで、実に威風堂々とした立像です。生徒たちへの別れの言葉として「Boys, be ambitious(少年よ大志を抱け)」と告げた場所は札幌だと思われていますが、実際は北広島市旧島松駅逓所なんです。 

 クラーク博士(1826~1886)札幌農学校教頭に迎えられる前は、アマ-スト大学学長でした。日本政府に招かれて、学長を一時退き1年契約で来日しましたが、実際には8ヶ月ちょっとしか日本にはいませんでした。別に嫌になったから、帰ったのではありません。当時の契約ではドア・ツウ・ドアで、東部のマサチュセッツから大陸を横断して西部のサンフランシスコへ、そこから船で太平洋の荒波に揺られて横浜へ、そして札幌まで来るのに片道2ヶ月は要したのです。契約を全うして帰って行きました。明治9年のことです。熱烈なキリスト教精神に基づく教育を施しました。札幌農学校に到着したクラーク博士は、校長であった調所廣丈(ずしょひろたけ)から校則の内容を聞かされると、たちまち大声で怒鳴り声を上げたと言います。「こんなもので人物の教育ができますか!」 第一条これこれ、第二条これこれ……と学生を束縛するような型どおりの校則は、新しい日本人を教育しようと一年間の約束で赴任したクラーク博士にとって、無用の長物どころか、有害無益もののに見えたのです。「日本には吉田松陰先生のような立派な教育家がいたではないか。先生は、14,15歳の少年にも、決してこれを子ども扱いせず、その出入りに際しても丁寧な礼を交わしたというではないか。その精神が大切です。」――「じゃあ、どういうふううに校則を変えましょうか?」と校長が聞くと、「諸君は紳士である!その一言で十分でしょう」と答えたのです。この「諸君は紳士である!」という信念のもとに、札幌農学校からは、新渡戸稲造内村鑑三のような有為の人材が生まれることになりました。いい話でしょ?

 それにしても、なぜクラーク博士吉田松陰を知っていたのでしょうか?実は、『宝島』を書いた小説家のスチーブンソン吉田松陰について書いた伝記を読んでいたからでした。スチーブンソンの親類の技師が、島根県松江市に灯台を建てるために維新直後にやって来ました。そこで吉田松陰の話を聞き、帰国後にスチーブンソンに話した所、彼が伝記にしたのです。それから吉田松陰の名前は、世界的に知られるようになったのです。♥♥♥

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「喫茶大観」

◎週末はグルメ情報!!今週は喫茶 

 地元出身の実業家である足立全康氏が開館した足立美術館。とくに有名なのがその壮大、華麗、優美な庭園。これほど見事な庭園は類がなく。有名な米国の日本庭園専門誌で21年連続日本一に輝いています(第2位は桂離宮)。さらにコレクションでは横山大観の130にものぼる絵画作品も日本一。他に竹内栖鳳、橋本関雪、川合玉堂、上村松園ら近代日本画壇の巨匠たちの作品や、北大路魯山人、河井寛次郎の陶芸作品も展示されています。私が疲れた時に、癒やしを求めてよく訪れる場所です。

 この足立美術館には2つの喫茶店があります。美術館を入った所に「翠」という喫茶店。前回来た時には、ここでコーヒー(1,000円)をいただきました。そしてその奥にある 「大観」という名前の喫茶店からも庭園を鑑賞できます。鯉のいる水量豊かな池庭に囲まれた喫茶室です。ケーキやぜんざいなどの甘味メニューのほか、島根和牛を使用したビーフカレー、笹巻きおこわなどの軽食も用意しています。横山大観の展示室に近く、出口に近いので比較的空いているようですが、観光客が多い時には行列待ちになることも多いようです。店内は天井まで届くガラス窓で景色が手に取るように眺められます。こちらはお食事メニューもありますので、お腹が空いた方にもいいですね。

 今日はここで落ち着いてコーヒーを味わい、美しい庭園を眺め心癒やされながら、ブログの手直しをしていました。♥♥♥

▲私は主に喫茶店でコーヒーを飲みながらブログの校正をしています

 

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吉川尚輝「ゴールデングラブ賞」に!

 読売ジャイアンツの二塁手・吉川尚輝選手(29歳)が初のゴールデン・グラブ賞」を受賞しました。プロ野球の守備のベストナインを選ぶ「三井ゴールデン・グラブ賞」の受賞者が11月12日に発表され、巨人の吉川選手がセ、パ両リーグ最多の232票を獲得して初選出されました。彼の守備は身体能力とデータ分析に基づく周到な準備が生み出すもので、難しい打球もいとも簡単そうに処理する力が光ります。今シーズン中も広い守備範囲でヒット性の打球を何度もアウトにしていました。この受賞は彼にとって長年の夢であり、感謝の気持ちを表明しています。「232票」でセ・パ両リーグの全ポジションの“最高得票数”を獲得しての文句なしの受賞です(プロ野球記者による投票を行い得票数のいちばん多かった者が受賞)。巨人の二塁手では2002年仁志敏久選手以来、22年ぶりの栄冠です。10年連続だった広島・菊池選手の長期政権を阪神・中野選手が昨年止めました。そして今年は吉川選手が受賞。「232票」は、2位の広島・菊池選手に185票差をつける圧倒的な選出でした。今季、セカンドでの守備率.994はリーグトップ。幾度となくピンチを救ってくれましたし、この守備での貢献度は非常に大きいものがあります。私は今年は間違いなくゴールデングラブ賞を取れると思っていました。

 吉川選手の守備は華麗さだけでなく、確実性の高さが際立っており、彼の身体能力と球際の強さを活かしたプレーはチームにとって非常に重要です。彼は「たまたま」と謙遜しますが、試合の勝利を引き寄せる存在感は特別です。特に、吉川選手の守備の真髄は、難しい打球をいとも簡単そうに処理してしまう点にあります。今季、彼は打球が抜けると思われる一、二塁間や二遊間の打球を次々とアウトにしており、そのプレーは選手の打球方向に関して頭に入っているデータと自身の感性を融合させた結果です。事前に打球を予測し、ポジショニングを調整することで、厳しい打球に対しても瞬時に反応できます。吉川選手の細部へのこだわりが、何気ないアウトやファインプレーを生み出していることが、彼の守備の質を高めている要因です。

 入団1年目の2017年はコンディション不良で開幕二軍スタートでしたが、当時の高橋由伸監督は翌2018年開幕戦で2番二塁でスタメン起用しました。当初から身体能力やスピードは明らかに違っていました。ただケガに悩まされ、フル出場することができずに、悔しい思いをしていました。今季は全試合出場。その貢献度も際立ちます。セイバーメトリクスの指標を用いて分析などを行う株式会社DELTAのデータによると、打撃、守備、走塁、投球を総合的に評価して選手の貢献度を表す指標「WAR」は4.2。岡本和真内野手の5.0に続いてチーム2位です。守備全般での貢献を示す指標「UZR」は二塁手で6.4。2位は中日・田中幹也内野手の2.7で、リーグ断トツの数値を記録しています。打率.287、本塁打5本、打点46、チームトップの154安打、盗塁12、長打率.377、出塁率.341。シーズン終盤は肋骨を折りながら、痛み止めを服用して出場する執念を見せました。返す返すも残念だったのは、CSに彼がいなかったことが、巨人の敗因とも言えます。

 ネットのコメントでは、吉川尚輝選手の守備力に対する称賛が多く寄せられていました。特に彼が打球を捕る瞬間の素晴らしさや、守備範囲の広さが評価されており、ルーキー時代からのたくましい成長が感じられました。吉川選手は、シーズンを通して安定した守備力を発揮し、ジャイアンツの名セカンドとしての地位を確立したとの意見が多かったです。また、岡本選手との連携が強調され、彼がベース近くに投げることで吉川選手が安心してプレーできる環境が整っていることが指摘されていました。さらに、若手選手にとっても良いお手本となっていることが称賛され、今後の成長に期待が寄せられています。プロ8年目にして初の「三井ゴールデン・グラブ賞」の獲得。「投手やチームを何とか助けられたら」と、失策はわずか5。「ずっと目指していた賞なので、受賞できて本当にうれしいです。たくさんの人に感謝したい」と喜びをかみしめました。「また来年、再来年と選んでいただけるように頑張ります」と決意。来季も鉄壁の守備でチームを支えます。

 以前は、送球難が問題視されていましたが、現在はその懸念が解消され、強い肩と広い守備範囲が印象的だとの意見もありました。今後の活躍に対する期待も高く、怪我の影響を心配する声もありましたが、来年もさらなる成長を願うコメントが多く見られました。全体として、吉川選手の守備や成績に対するファンの熱い思いが伝わってきました。ただ、凄いスーパープレーをするかと思うと、実にイージーなミスをすることがあるのは今後の課題でしょう。

吉川は打たれた瞬間「ヒットにされた」と思うような打球を当たり前のようにそこにいて捕っている場面が多々あった。

吉川の技術もさることながら、岡本がいることで、とにかくベースに近い所に投げておけば難しいワンバウンドであってもほぼ100%取ってくれるという安心感は大きいと思った。

本当に素晴らしい守備。最多得票で獲得して嬉しいです。

ファンとして本当に嬉しい受賞です。怪我に泣かされフルで活躍できないこれまでの選手生活で、今年は打撃もよりアピールできる結果を出したし文句なしでした。

宮本慎也さん式に言いますと「データも入っているけど、プラスの感性も鋭い」のが尚輝なのだと思いました。

 今季セ・リーグでは、優勝した巨人から菅野智之投手、一塁手で岡本和真内野手、二塁手で吉川尚輝内野手、三塁手で坂本勇人内野手が受賞。8年ぶりに受賞者なしに終わった悔しい昨年から、初受賞の吉川ら4人と大幅増となりました。おめでとうございます。♥♥♥

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「牢働」と「朗働」

 アメリカのある鉄道会社の男性の社長スティーブさんのお話です。前リッツ・カールトン日本支社長 だった高野登(たかののぼる)さんの『リッツ・カールトン「型」から入る仕事術』(中公新書ラクレ、2014年)で読みました。彼は10年前に、列車の枕木を修理する仕事をしていました。仕事は真夜中まで及ぶことも多く、また危険を伴うとてもハードな作業でしたが、彼は非常に熱心に仕事に取り組み、10年後には社長になることができました。そして、各現場を視察に行くことがあり、ある時たまたま彼が10年前に働いていた同じ職場に行く機会があったのです。するとそこには、当時一緒に働いていた仲間の一人がまだ同じ仕事をしているのを見つけました。彼は、スティーブを見かけると近づいてきて、「やあ、スティーブじゃないか!おまえ、すごいなあ、社長になったんだって?10年前は、ここで一緒に時給2ドルのために頑張ってたのになあ。すごい出世じゃないか!」と声をかけてきました。スティーブはこう言いました。「おお、なつかしいなあ。そうか、お前は時給2ドルのために働いていたのか。俺は当時から、この鉄道を使ってくれる人たちの安全と幸せを考えながら仕事をしていたんだ」このお話からみなさんは何を学びますか?

 スティーブの仲間は、10年前も今も、ただ時給を稼ぐために働いています。一方のスティーブは時給を稼ぐことではなく、「安全で快適な旅を、列車に乗って下さるお客様のまえに提供すること」に意識を集中させて働いていたのです。自分の仕事の意味を考えながら、その先に何が見えるのか?を意識しながら働いていたのです。どちらも枕木を修理するという行為には変わりはなくても、それが「作業」となるのか、それとも「仕事」となるのかの違いはここにありました。

 今度は、エジプトの話です。三人の人夫が重たい石を運んでいました。かなりの重労働です。そこに一人の旅人が通りかかり、一人目の人夫に尋ねました。「何をやってるの?」人夫は答えました。「ごらんの通り石を運んでいるんだ」(牢働)二人目の人夫に尋ねました。「何をやってるの?」――「あそこをごらん。何か建物がつくりかけてあるだろ。あのための石さ」(労働)三人目の人夫に尋ねました。「何をやっているの?」三人目の人夫は額の汗をぬぐいながら答えました。「自分はいまエジプトの文明を築く仕事をしている最中です」(朗働)三人目の人夫には明らかにビジョンがあり、理念があり、使命感に燃えていました。この三人のうちで誰が一番良い仕事をするでしょうか?私が講演会などでよく話題にする、「牢働」「労働」「朗働」の分かりやすい具体例として挙げてみました。

 仕事には、「牢働」「労働」「朗働」(ロウドウ)の三つがあるといいます(労働三態)。「牢働」とは、牢獄の中で手足を鎖でつながれ、ムチで容赦なく叩かれながら嫌々酷使されることです。3K的な苦役で、働く喜びよりも苦しみの方が強い仕事です。辛くて苦しいばかりの毎日です。これに対して「労働」は、苦役と言うほどではないけれども、やっていて楽しいとか、ワクワクするわけでもありません。肉体的にはきつくても、精神的にはほどほどにやり甲斐のある仕事です。普通の「労働」ですね。実はこの二つの他に、「朗働」という働き方があります。仕事に面白さや遊びを実感して、朗らかな気持ちで毎日仕事に励んでいるのです。そこには「ワクワク感」が存在していますね。「労働」「楽しさ」「満足感」が加わったものです。さて、みなさんの仕事はどれに相当しますか?地獄のような「牢働」ですか。それとも毎日が楽しくて楽しくてしょうがない「朗働」ですか?これといって何の変哲もない淡々とした「労働」でしょうか?

 そもそも、人はどんな時に仕事が楽しいと喜びを感じるのでしょうか?それは、仕事を通じて自分を磨き、高められるという期待・実感が抱ける時。会社が成長し、それに呼応して自分の給料も上がっていく。自分のやったことで、周りの人も喜んでくれ、知名度も上がり、家族も喜びを感じる。人生の目標が自分自身にはっきりと見え、仕事を通じて、誇りや、感謝の気持ちが芽生えた時。こうした物心両面の「得」があって初めて、その社員にとって毎日の仕事が「朗働」となり得えます。リーダーは、社員にこうした「朗働」の場と機会を提供することこそが仕事なのです。では、「牢働」「労働」「朗働」に変えるためには何が必要でしょうか?次のような条件が満たされないと、うまくいかないでしょうね。

①職場を好きになる。 ②上司や同僚や部下に好意を持つ ③仕事の価値を認める ④仕事に改善と変化を求める ⑤人から感謝される ⑥何よりも自分が健康である

 教員は毎日一生懸命に教えているのですが、生徒から感謝されることなど全く期待してはいません。なのに生徒が強い興味と関心を示してくれ、「もっとお話をお聞きしたい」「先生のおかげで英語が好きになりました」などと言われれば、これほど教師冥利に尽きることはありません。そこから、人生をより豊かにする「よい人間関係」が生まれます。指導した生徒たちから、ありがたい言葉をよくいただきました。私にとって英語教師の仕事は間違いなく「朗働」ですね。♥♥♥

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さださんの「凛憧(りんどう)」

 秋のこの時期になると私が思わず口ずさんでしまう歌に、大好きなさだまさしさんの切ないバラード曲凛憧」(りんどう)があります。アルバム『風待通りの人々』(1988年)の中にひっそりと収められた一曲で、コンサートでもほとんど披露されることもなく、よほどのマニアくらいしか知らない曲です。さださんの今は亡き父・佐田雅人(さだまさと)さんと、妹の佐田玲子(さだれいこ)さんをモデルにしています。

     凛憧
              作詩・作曲 さだまさし
父と共に 城跡から見おろす
夕焼けが好きだった
息を切らす 肩に置かれた
手の体温(ぬくもり)はもっと好きだった
ある日 父が いつもの気まぐれに
僕を抱きしめたりしたが
そのままじっと 声も立てず
静かに泣いたことがあった

その朧気(おぼろげ)な 記憶がいつか
重さを増すと 知るはずもなく
幼い僕は 何か恥ずかしく
崖の淵に咲いた
薄紫の花を じっとみつめていた
早咲きのりんどうと
それは あとで 知った

僕が父の 涙を見たのは
その一度きりだった
祖母を送り 友を送り
その時にも 涙は見せなかった
あれ程に 可愛がった妹が
嫁ぐと決めた日も
ただ おだやかな 父の姿に
僕はふと あの日を思い出した

父といえど 男といえど
時の はざまに 落ちる刻(とき)がある
今となれば わかることがあり
そっと 胸が つまる
花嫁の父が今 少し照れた背中で
娘から花束を 贈られているところ
薄紫の花が じっと見つめていた
遅咲きのりんどうと
それは すぐに わかった

 通常、植物の「りんどう」は漢字で「竜胆」と表記されますが、さださんはあて字で「凛憧」と綴りました。凛とした 憧憬(父に対する)の花だと、タイトルに込められた気持ちを私は勝手に理解をしています。

りんどう 「りんどう」(通称autumn bell-flower)は長寿の花として有名な花で、私も風にそよぐ薄紫の花が大好きです。秋空に映える青紫色の花は、野趣・美しさ・かわいらしさなどを兼ね備えた日本人の心に響き、古くから親しまれてきた野草とも言えると思います。りんどう(竜胆)の花言葉は、「悲しんでいるあなたを愛する」というものです。群生をせず、一本ずつ咲く姿からつけられた花言葉です。また別の花言葉では、「誠実」「正義」「寛容な心」もあります。りんどうの根から「りんどうこん」という胃薬がとれるのですが、これが漢方薬として有名な「熊胆」と同じくらい苦く、これに匹敵するのは竜のキモくらいしかないんじゃないか、ということで「竜胆」、なまって「りんどう」と呼ばれるようになりました。

 感動的なエピソードがあります。この曲を作った前日に、さださんを「息子」のように可愛がってくださった文芸評論家の山本健吉(やまもとけんきち)先生がお亡くなりになりました。名曲「防人の歌」(さきもりのうた)を出した時に、戦争賛美!」「右翼!」「好戦的!」と、音楽評論家たちからこっぴどくバッシングを受けていたさださんを、擁護してくださったのが山本健吉先生でした。そのときの詳しい様子はこのブログにも紹介しました(⇒コチラをお読み下さい)。 翌日、お宅に弔問に訪れたさださんは、あまりに突然のことでまだ実感がわきません。当時アルバムの曲作りの追い込みに入っていたさださんは、あまりのショックに茫然自失とし、散漫になり明け方近くまで何もできずにいました。仕方なくもう寝ようと思ったその矢先に、不意に口をついて出てきたのが、このメロディーだったのです。何か山本先生からのプレゼントでできた曲のような気がする、とさださんは回想しておられました(「ライナーノーツ」による)。私は二番の歌詞がとっても好きです(前半は実話。結婚シーンは創作)。昔のさださんの曲の中には、こういう心を揺さぶる名曲がゴロゴロと転がっています。

 さて、さださんが参考にしたであろう北原白秋(きたはらはくしゅう)の歌集『桐の花』哀傷終篇の中に、こんな句がありました。

  《 男なきに 泣かむとすれば 竜胆が わが足もとに 光りて居たり 

さださんは、間違いなくこの句をイメージして、お父さんとの思い出を〈詩〉にしたのでしょう。かつてさださんの作った曲のタイトルが「桐の花」(1985)でしたからね。決して涙を見せることのなかった父親が、一度だけ泣いた。その辛さを、一度だけ、息子の前にさらけ出してみせた。その姿を凛憧(りんどう)の花に重ねたのでしょう。たや、北原白秋が、どんな思いでこの句を読んだかは、私には分かりません。隣家に住む松下俊子という女性と恋仲になりますが(1人目の妻)、俊子は夫と別居中の人妻であり、2人の関係が夫にバレたことで白秋は姦通罪で夫から訴えられてしまいます。当時の不倫は今よりも重罪だったため、これにより白秋は2週間の投獄生活を余儀なくされました。弟の尽力により和解が成立はしたものの、それまでの白秋の人気は地に落ち、以降の作風に大きな影響を与えたと言われています。俊子とのスキャンダルで歌壇での評価が、地にまで落ちた時のことであったのかもしれないし、事実、三崎に引っ越した時にはかなりのノイローゼ状態で、自殺未遂も起こしています。涙した時に、そこに竜胆」の花が咲いていたのでしょう。さださんの詩が人々の心を打つのはこうした数多くの文学作品が根底にあり、それを咀嚼した世界が限りなく広がっているからだと思います。名曲です。ぜひ聞いてみて下さい。♥♥♥

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