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プロフィール
八幡成人(やわたしげと)
1955年島根県安来市生まれ。英語教師として島根県公立高等学校に38年間にわたり勤務。2015年3月、島根県立松江北高等学校に10年間勤務したのを最後に退職。在任中は、朝は6時半に登校し、図書館で生徒と一緒に勉強に励む。『ライトハウス英和辞典』『ルミナス英和辞典』(研究社)の編集委員を務める。参考書、問題集など著書・論文多数。趣味はカードマジック・クロースアップマジック。自宅の「蔵」には世界中から収集したマジック・グッズ(特にカード)が多数眠っている。小田和正、さだまさし、一青窈、岡村孝子、辛島美登里、西村由紀江、柴田淳、リチャード・クレーダーマンをこよなく愛する。「好きなことをやり、メシが食えて、人から感謝される」(竹内 均氏)職業として教師を選び、「英語は絶対に裏切らない!」を掲げ、英語・読書の面白さを生徒たちに毎日熱く語った。文房具マニア、プロレスファンでもある。2015年6月松江北高に常勤講師として現場復帰。2017年6月より松江北高非常勤講師。2019年4月より米子「勝田ヶ丘志学館」講師。2024年3月松江北高退職。
「今井書店松江本店」オープン
実に7か月ぶり、待ちに待った今井書店の開店です。お客さんの声です。「やっぱり楽しみでしたよ。ちょっと休みの間はさびしかったですね」 「もうずっと待っていたのでオープンを。本だけじゃなくていろいろ楽しんで帰れるってところがいいんじゃないですか」
本屋自体が、今までのマーケティングや店づくりに関してあまり関わって来なかったデジタルを上手に使って、そして大きなリアルの本屋と融合させることによって、山陰の地元の皆様にしっかり本を楽しんでもらえたらと思います。(今井書店・達山常務取締役)
4月24日(木)、 松江市田和山町にリニューアルオープンしたのは「今井書店松江本店」です。この店は去年の9月まで「今井書店グループセンター店」として営業していましたが、約7か月かけて大規模改装し、「今井書店松江本店」として装いも新たに生まれ変わりました。鉄骨平屋約1,500メートルの店内は、えんじ色を基調に天井を吹き抜けにして開放感を演出しています。書店業界が苦境に立つ中での、大規模なリニューアルです。現在、国内の書店の数は約1万1,000店。ネット通販や電子書籍の普及などにより約20年でほぼ半減しており、山陰地方でも書店の閉店が相次ぎ、3割前後の市町村が新刊や雑誌を扱う本屋がない「書店ゼロ」の空白地域となっています。淋しいことです。




開店日の10時過ぎにのぞいてみましたが、ものすごい人で賑わっていました。「すごせる書店」をリニューアルのテーマ(基本理念)として空間設計された店内は、これまであった天井を取り払って吹き抜けになっており、鉄骨がむき出しの広い空間になりました。中央にあったレジを隅に配置して通路を広くするなど、今まで以上に開放的な雰囲気になっています。また、背の高い書棚には鳥取県智頭産の杉を使用、本を使った照明器具など、インテリアにもこだわって、ぬくもりのある落ち着いた空間を演出しています。店内に並ぶ書籍の在庫数を19万冊から22万冊に増やしたほか(書籍のタイトル数も95,000タイトルから125,000タイトルに拡充)、新刊以外の文芸書や実用書、文庫といったジャンルを強化、品揃えを充実させました。イメージカラーも、より安らぎを感じるえんじ色に、ブックカバーも刷新されました。店内は本だけでなく、文房具も数多く取り扱い、こだわりの雑貨や食料品,調理器具も並ぶほか、5月20日には窯で焼いたナポリ風ピザやパスタなどが楽しめるカフェ(約110席)もオープンする予定とか(IAMCoffee Pizzeri & Cafe)。Wifi・電源を完備したコワーキングスペースも設置され、仕事や勉強、交流の場としても活用できそうです。地元の生産者やクリエーターと協力してマルシェなどを毎月開催し、今後はペット同伴可能なソファ席も設けると言います。「暮らし」と「本」をつなぐ場を作ることで、本を売るだけではない書店を目指しているのでしょう。この書店では、2024年4月に専用アプリを導入。書籍の予約やネット購入などITを活用したサービスも提供、新しい書店の形を模索しています。

あまりにも人が多くて早々に退散しました。レジに並ぶ人の大行列は見ていて気の毒でした(相変わらずサービスの読みが甘い)。学生時代からお世話になっており、教員になってからも長いお付き合いをいただいて感謝している今井書店ですが、最近のサービスの変わり様には憤りに近いものがあります(⇒詳しくは私のブログ「今井書店がおかしい」をご覧ください)。今回は人が多すぎて、隅々まで詳しく見て歩くことはできませんでしたが、「あ、いいな」と思った点は、①朝の9時から開店してくれること(~夜10時)。②文房具(特に私に貴重な筆記用具類)の在庫が充実していそうなこと。③デスクスペースがあること(どのような形で解放されるのかは不明ですが)くらいでしょうか。ガッカリだったことは、専門書が全然ダメ。学習参考書も相変わらずダメ。店員さんもアルバイトが多いなという印象でした。
私が学生時代には殿町にあった「今井書店本店」2階には、洋書のコーナーがあり、新しいペーパバックが入荷していました。英語の専門書も結構充実しており、学校帰りには、バスを途中下車して寄り道したものです。島根大学の前󠄂にあった「園山書店」にはそれこそ専門書が大量に入荷し(洋書も)、新刊のペーパーバックも絶えず入荷していました。私はこのお店でアガサ・クリスティ(Agatha Christie)のペーパーバックを全冊揃えています。大学生が勉強しなくなったのでしょう、この書店も早々に潰れてしまいました。♥♥♥
広島女学院大学経営から撤退へ
学校法人「広島女学院」(広島市東区)は3月18日、広島女学院大学の管理主体を、京都市を拠点とする学校法人「YIC学院」に2026年度から移管する方針を明らかにしました。文部科学省に同日、移管計画の認可を申請しました。ビックリです。
広島女学院大学は1886年に開かれた私塾・広島女学会が前身で、広島で戦後初の私立大学として認可されて、1949年に4年制大学として開学し教育や研究に取り組んできました。人文学部と人間生活学部があり、昨年5月1日の時点で計約780人が在籍しています。2月末の学校法人理事会で、移管の方針を決めました。大学敷地内にある広島女学院ゲーンス幼稚園の管理も移します。一方、同中学・高校(広島市中区)は引き続き運営します。
大学経営からの撤退の背景には、若い世代の「女子大離れ」と「少子化」の加速により、慢性的な定員割れによる学生数の激減による経営難があります。広島女学院大学によると、入学者は2019年度以降は定員(330人)割れが続き、24年度は136人。「少子化」だけでなく、「共学志向の傾向」が強くなっていることなどが要因とみられます。2015年5月1日時点での大学(学部)在籍者数が1,509人だったのに対し、2024年5月1日現在は778人です。この10年間でほぼ半減していますね。学生は「定員割れの問題もあるし、最近ひどいので仕方ないかなと思う。」 広島県の湯崎英彦知事は、「学校事業が受け継がれるのは高旺盛などの多様な進路の確保に繋がるものになると思うし、そうなってほしい」と述べています。
移管先のYIC学院は、京都市内で専門学校や日本語学校を運営しています。大学の組織体制や教育課程などは当面、現状を維持しますが、専門学校の実践教育のノウハウを生かして、共学化の可能性をはじめ、多様化する学生ニーズへの対応を検討するといいます。文科省が移管を認めれば、9月に将来的な構想案を発表する方針といいます。
中国地方では、2025年度以降学生の募集を停止したのが、就実短大(岡山)、美作短大(岡山)、安田女子短大(広島)です。また、比治山大学(広島市東区)が、短期大学部について2026年春の入学者を最後に募集停止し、四年制の現代文化学部に統合・再編する構想を発表しました。四年制志向の高まりなどを背景に、近年は定員割れが進んでいました。
私が教師としてまだ若かった頃は、国公立大学よりも私立大学の方が競争率が高く、入るのが難しい時代でした。当時は、広島修道大学の方が広島大学より難しかったことを覚えています(修道大に落ちて広大に合格!)。その頃は、広島女学院大学も名門大学で、英語の勉強をしたい生徒達に薦めていたものです。結構レベルの高い大学だったんですが、時代がずいぶん変わったんですね。広島ホームテレビのニュース番組を見ていて、意外なことを知りました。広島女学院大学は「スキップ発祥の地」なんだそうです。明治34年、広島県広島市東区の広島女学院大学へ来ていた外国人教員マコーレー先生がスキップを教えた。日本の幼児がおとなしく、もっと活発に動くことを教えようと、幼児教育にスキップを取り入れた。それが全国の幼児教育へ広まったものだそうです。大学撤退を受け、同じ系列である名門の進学校、広島女学院中学高等学校にどんな影響が及ぶのかが心配です。
1993年のピーク時には国公私立合わせて595校、学生53万人が在籍した短大も、1990年代以降、女性の大学・共学志向の高まりを受けて、大学に移行する短大が急増しました。2024年度には297校に半減、学生数は8万人にまで現象しています。学生募集を停止した短大は2025年度23校、2026年度21校、2027年度1校と急増しています。私立短大の約7割の収支が赤字です。2024年度に文科省が始めたペナルティ措置「3年連続で学生数が収容定員の8割未満となるだけで、原則、国の奨学支援新制度(低所得者向け支援)の対象外」が撤退を加速させたのは間違いないでしょう。少子化が進む中(2024年の18歳人口は約106万人で1990年代前半の半減)、現在私立大学の約6割が定員割れをおこしており、特に地方は厳しい状況です。にもかかわらず、2024年時点で大学は813校で,1992年の約1.5倍になっています。みんなが大学に入れる時代を迎えているのです。
つい先日、今度は京都ノートルダム女子大学が、2026年度以降の学生募集を停止すると発表しました。現在は計4つの学部・学環に約800人が在籍していますが、本年度入学した学生が卒業する2029年3月をめどに閉学する見通しです。創立は1961年、カトリック精神を基盤に英語、国際教育などを重視してきた名門です。2021年以降は定員割れが続いており、入学定員330人のところ、2024年度の新入生は186人。2025年度は169人でした。2026年4月に予定していた人文学部言語文化学科も開設を取りやめます。定員割れの私立大・短大のこのような動き(撤退・再編)はまだまだ続くものと思います。文科省も破綻リスクがあり経営難で、経営改善や規模適正化を促す学校法人を100法人ほどに拡大して指導を強化するとの報道も流れてきました。
最近、財務省が、一部の私立大学の教育内容を厳しく指摘して、私学助成金の見直しを提唱しました。定員割れに陥っている私立大学の授業例として、四則演算や方程式の取り扱い(数学)、現在形と過去形の違い(英語)などを挙げ、これじゃまるで義務教育のようだと批判し、大学教育の質の評価が必要だという考えを示しました。がこれに対して、文科省は、「目指すべき方向は同じ」としつつも、「定員割れしていたり、基礎的な学びを取り入れたりしている大学の教育の質が一概に低いとは言い切れず、一面的で粗い考えだ。学力の成長度や進路実績なども含めた評価が必要だ」と反論しました。現在、私学助成は大学588校に約2,860億円が投じられており、学生数や大学の規模に応じて配分されています。本来大学で行うべきレベルの教育水準に達してもいない低レベルの学生を受け入れていること自体が、大学で義務教育レベルの授業をせざるを得ない理由だと感じています。私が実際に目撃したある国立大学理系の授業は、松江北高一年生以下のレベルでした。二次試験に英語が課されないので全く英語の勉強をせずに入ってくる学生が多いことが原因と思われました。大学も全入時代を迎えており、自分で選り好みしなければどこかには入れる時代となっています。およそ大学とは呼べないようなお粗末なものがあることは、間違いのない事実です。♥♥♥
11連休!
公立・県立の高校に通う高校生のゴールデンウィーク(golden weekは元々映画興行界の用語が起こりと言われますが、英米にはこのような習慣はありませんから「和製英語」で通じません。説明してあげる必要があります。日本に滞在経験の長い英米人はよくご存じで、私の知り合いのALTなどはよく使っています)は、2025年4月26日(土)から始まりました。今年度は4月28日が平日の月曜日、前半は登校日が多く、後半の5月3日(土)から5月6日(火)がGWです。今年は飛び石になっているために長い休みを取りづらい曜日の並びとなっており、なかなか旅行の計画が立てられないでいます。今年はどこにも行けそうにありません。私が通う勝田ケ丘志学館はカレンダー通りの授業で、教えては休み、休んでは教えるという生活です。ところがです。私が教えている勝田ケ丘志学館が入っている鳥取県立米子東高等学校は、「体験的学習活動等休業日」と称して、間の平日を全部休みにして、4月26日から(しかも25日は遠足)「11連休」になると聞きました。昨年度は10連休だったとのこと。「連休中は普段できないような体験的な活動を行うなど、時間を有意義に使いましょう。」(米子東高HP)生徒は大喜びでしょうが、こんなに休ませて一体どうするつもりなのでしょう?特に入学したばかりの一年生は勉強の習慣をつけるのに四苦八苦している最中のはずです。このツケは必ずどこかで払わなくてはならなくなることでしょう。卒業生に聞きました。「昨年の10連休は何をしてた?」――「テレビを見ていました」「ユーチューブを見てました」〔笑〕
平成29年9月に学校教育法施行令が一部改正され、「家庭や地域における体験的な学習活動その他の学習活動のための休業日」を、各教育委員会で定めることが可能となりました。これを活用し、各県立学校の判断により連休の合間の日などを当該休業日とすることを可能とするほか、市町村教育委員会へも導入を働きかけることで、一部の県立学校、市町村立学校が導入しました。当該休業日当日は教職員の有給休暇取得も推進して休むことを可能にしています。「体験的学習活動等休業日」の狙いは下記の通りです。
1 体験的学習活動等休業日の趣旨
家庭や地域における体験的な学習活動等多様な活動の充実を図るためのもの。平成29年9月に学校教育法施行令が一部改正され、新たな休業日を定めることが可能となった。
2 導入のねらい
・児童生徒が保護者の方等と一緒に体験的な学習活動等に参加することを通じて、心身の健全な発達を一層促進する環境の醸成
・地域における保護者の有給休暇の取得の促進
・学校休業日の分散化
「体験的学習活動」とは、自分自身が実際に経験し、学ぶ活動のことです。例えば次のような活動のことをいいます。
(1)生活・文化体験活動・・・(遊び、お手伝い、スポーツ、地域行事)
(2)自然体験活動・・・(登山、キャンプ、星空観察、動植物観察)
(3)社会体験活動・・・(ボランティア活動、職場体験活動など)
「体験的学習活動等休業日」では、「家庭や地域での活動を通じて自ら学び、考える力を育みます」。実に結構なお題目です。しかし、私などには、業務に追われて、忙しさに疲れている教員が休むための施策としか思えないのですが…。年次休暇を取れば11連休です。最高ですね。私たちの時代にはあっても3連休程度で、その連休もこの時期部活動(ソフトテニス)の総体予選で全部潰れていました。時代が変わったんでしょうね。教員が楽をするとロクなことにはなりません。私が勤めていた学校が、業者模試を減らしたり、校内模試を減らしたり、伝統の「学問探求講座」を廃止したり、「寒稽古」を廃止したり、進路検討会の時間を大幅に短縮したり、全て「生徒のため」と称していますが、私に言わせれば「教員が楽をするため」です。そして楽をした分は必ずツケが回ってきます。「働き方改革」と称して楽をすることばかりに専心している印象です。私は「力を尽くして狭き門より入れ」といつも言っていました。無茶はいけませんが、無理はしないと結果は出ないのです。楽をして結果が残るのなら、苦労はしません。
このゴールデンウィークに「ラーケーション」の活用が話題となっています。保護者の休みや都合に合わせて、子どもが平日に学校を休んでも欠席扱いとならない仕組みのことで、「学び」(ラーン)と「休暇」(バケーション)を組み合わせた造語です。事前申請すれば、授業を欠席扱いとせずに休める仕組みです。かつては学校を休んで旅行や観光をするにはかなりの抵抗がありましたが、近年は「教室以外の学び」とやらの価値が広がっています。2023年に愛知県で始まり、熊本、茨城、山口、徳島などで導入しています。♥♥♥
建築家・安藤忠雄
私は建築家・安藤忠雄(あんどうただお)さんの建築物が大好きで、全国の安藤建築を巡っています。最近では瀬戸内海に浮かぶアートな「直島」(なおしま)で、数々の安藤建築(地中美術館・ベネッセハウス等)をこれでもかというぐらい堪能してきました。安藤さんが建築に興味を持ったのは、中学2年生の時でした。住んでいた木造平屋建ての自宅を2階建てに改築することになり、やってきた大工さんが昼食もとらずに夢中で働いておられる姿を見て、面白そうだな~と思いました。京都や奈良の古寺を見て回り、睡眠時間を4時間に絞って読書に励みました。学歴のない安藤忠雄さんは、なぜこうも世界的に知られる著名な建築家になれたのでしょうか?それはきっと彼は建築の「本質」を徹底的に学んだからではないでしょうか。高校を出たあと、安藤さんはアルバイトをしながら一年間、建築学の教科書を徹底して勉強しました。独学です。大阪大学と京都大学の建築学科の学生が4年間かけて学ぶ教科書・専門書を全て買ってきて、一年間で全て読破したといいます。朝から夜遅くまで家にこもりっきりで勉強していたので、近所の人たちからは「忠雄ちゃんはおかしくなってしまった」と言われるほどだったそうです。自分なりの「命がけ」で独学をやり通せたのは、かつて見た大工さんの姿が心に焼き付いていたからでした。それくらい集中して、一年間で建築学の「本質」を勉強しました。その基礎・基本があるからこそ、一流の建築家になれたのではないでしょうか。
本質を知る人と、知らない人。その差はあとあとになって明確になっていきます。たとえ本質を勉強していない人でも、器用な人は、表面的に事象をとらえて、上手に仕事をこなすことができるでしょう。でもそれでは一流にはなれません。本質を勉強した人と、していない人の差は、初めはあまり現れません。特に若い時は、単純な仕事が多いので、本質を知らなくても、仕事は何とかこなせるのです。表面的に仕事を右から左に流しているだけの時は、大きな差は出ないことでしょう。しかし、ある程度の年齢になって、いろいろなことを総合的に判断しなければならない立場になった時、本質を知っているのと知らないのとでは大きな差が現れます。世の中は複雑で、年齢を重ね地位が上がるにしたがって仕事の複雑さは増していくからです。複雑なことを正しく判断するには本質を知らなければならないのです。
安藤さんは、「東京大学特別栄誉教授」という肩書で活躍をしておられた時期があります。ご存じの方もいらっしやるかもしれませんが、安藤さんは経済的な事情から大学を出ておられません。高校を卒業したあと独学で建築学を勉強し、実績を築いた人です。その方に「東大特別栄誉教授」という役職を与えた、東大の懐の深さには驚いたものです。そもそも大学の教授は、自校の出身者を選ぶのが普通でしょう。そこいらの大学では自校の出身者の教授の地位を確保するために、わざと優秀な教員を採用しなかったり、追い出したりという噂も聞きます。それでも東大はあえて安藤さんを選びました。安藤さんは、東京大学の入学式において祝辞を述べて欲しいと頼まれた時、自由に喋らせてくれるならという条件の下、引き受けました。入学式の会場になった日本武道館での話です。3,000人の新入生に対して2階の保護者席にはその倍の6,000人が参列していました。そこで彼は次のように言いました。2階席に座っている皆さんは本日は会場から出て行ってください。今日は非常に大切な日です。親が子供を断ち切り、子供が親を断ち切って自立した個人というものを作るスタートの日なのです。そんな重要な日に親がそばにいては邪魔になります。2階席はさぞやざわめいたことでしょうね。これは彼にしかできない発言だったかもしれません。安藤忠雄さんの生きざまを、まさに言葉にしたものだからです。彼は大阪の府立工業高校しか出ていません。高校在学中にプロボクサーのライセンスを取得し、フェザー級でデビューしたのも有名な話です。中学生の頃から建築には興味を持っていました。経済上の理由で大学には通えなかったため、建築の専門教育は一切受けていません。全て独学です。建築科の学生が通常4年かけて学ぶ内容を1年で習得し、建築士試験に合格したという伝説の持ち主です。ここら辺を知ると、なぜ入学式に参列した親たちに向かって、退場を願ったのかが理解できることでしょう。
自立した人間を育てるために、親が子供を甘やかしてはいけないということはよく言われます。しかし、現代において全てを与えられている恵まれた子供たちは、「夢」を持てないでいるのです。考えてみれば気の毒なことなのかもしれません。格差社会です。幼い頃からさまざまな塾へ通い、恵まれた環境にいなければ、高偏差値の大学へ入学することは難しいのが現実です。ある程度、どういう暮らしをしてきたのかで、その後の人生が決まってしまうのです。安藤忠雄さんが生き抜いてきたような社会は現在、目の前にはありません。大学は人生で最後の教育機関です。社会へ出るため、どのように自ら責任ある行動をとれるようになるのか。それを訓練するための場です。入学式について行きたい気持ちを抑え、自立への第1歩を踏み出す意志を見せなくてはならないのではないでしょうか?
安藤さんは2009年8月に、胆管と胆嚢と十二指腸の交点にガンが見つかり、三つとも取り除いておられます。2014年6月には膵臓にガンがあることが分かり、膵臓と脾臓を取ることにしました。医者から「膵臓の全摘をして生きている人はいるけれど、元気になった人はいない」と言われ驚きました。「五つも臓器を取って元気なのは縁起がいい」と、設計の仕事を依頼されたこともあるとか。今の仕事の比率は、設計3、後進の指導3、ボランティア3といった感じで取り組んでおられるそうです。これからも人の心の中に残るような建築を造りたいと願って闘っておられます。「人々の記憶に残り、あってよかったと思ってもらえるものを造りたい」。ものはいずれ消えてなくなりますが、住んだり、見たり、使ったりした人の心や記憶の中で、どれだけ再現されるのか。それを大事にした建築物を設計したいという挑戦心なのでしょう。年齢を重ね、体だけでなく、好奇心のメンテナンスも心がけておられる安藤さんです。「人生100年、熟さない青いりんごのように青春を生きる」が人生哲学だとか。次々と新しい建築物を引き受けて快進撃しておられる印象がありますが、コンペでの勝率は「1勝9敗」とご自身がおっしゃっておられました。
NHKのEテレで、2017年3月26日(日) 午前5時~(60分)に放送した「こころの時代~宗教・人生~「“しゃあない”を生きぬく」」が再放送されていたのを興味深く見ました。世界的な建築家の安藤忠雄(あんどうただお)さんを取り上げた番組で、がんで5つの臓器を全摘した今も仕事を続けておられます。幾多の困難を「しゃあない」と受け入れ、その状況に応じて工夫する生き方を聞きます。安藤さんは、7年前からがんと向き合い「しゃあない」と受け止めながら、活動を続けておられます。安藤さんは大阪の長屋で育ち、独学で建築家になりました。恵まれない環境や幾多の困難を「しゃあない」と受け入れ、その体験を発想源として建築に生かしてきました。「立ちはだかる壁にこそ無限の可能性がある」と語ります。今、病や死という大きな苦難を受け止めながら、前に進む心のあり方を伺う内容の濃い番組でした。
建築家の枠にとどまることなく、幅広い社会活動にも専心しておられます。2019年に大阪市に寄贈した図書館「こども本の森 中之島」を発端とした「こども本の森プロジェクト」の国内外への広がりを見渡すことができます。香川県では、離島の子どもたちのために安藤さんが県に寄贈した「こども図書館船ほんの森号」の運航も4月24日から始まりました。船内には、地域住民から寄贈された海に関する絵本や図鑑など約2,000冊が収蔵されています。
安藤さんは、人生を通して建築に打ち込んでこられましたが、青春とは年齢ではない、と感じておられます。建物が手入れをすれば良いコンディションを保てるように、人間も心の持ち方をメンテナンスすることで、いつまでも青春を生きることができるのだ、と言われます。♥♥♥
「成城石井」のアップルパイ
◎週末はグルメ情報!!今週はアップルパイ
寒くなると、りんごがますますおいしく感じる季節ですね。りんごを使ったスイーツといえば、やっぱり「アップルパイ」ですね。あま〜く煮込まれたりんごのフィリングがたまりません。私はアップルパイにはちょっとうるさくて、全国の美味しい「アップルパイ」を食べ歩いています。今日、「ポテトサラダ」を買うために、岡山駅サンステ2階にある「成城石井」をのぞいていたら、偶然見るからに美味しそうな「アップルパイ」を見つけました。いかにも美味しそうですね。私は早速買って帰りました。「成城石井」の「アップルパイ」は、一般的なイメージをひっくり返す“常識破りな逸品”なんです。今日はその「成城石井自家製 青森県産りんごまるごと1個使ったアップルパイ」(863円)をご紹介しようと思います。りんご好きさんにオススメの逸品ですよ。




















